アオリ
ファッション雑誌の裏表紙に、よく鏡の写真が載っているが、コンピューター画像処理が使われる以前から有った。
これらの鏡の写真にはモデルが写っていても撮影者が写っていない。今日、ありふれている鏡の写真の撮影方法が
レンズとフィルムの位置関係を崩すアオリ撮影なのだ。 アオリには SHIFT と TILT の二つあって、鏡のトリックは
SHIFT を使う。 SHIFT というのは、フィルムと光軸が直交したまま、レンズの中心をフィルムの端に寄せる事である。
これだけだと大きな効能が見えて来ないが、下図は、背の高い建物を下から撮ると先細りになる効果が説明できる。
それでは、卒業式の集合写真で、カメラマンが黒い布に頭を突っ込んで撮影する蛇腹のカメラは、よく見ると
レンズが蛇腹を潰して下向きにしている事に気付くだろうか? これがマジック その2 TILTである。
主平面の延長線とフィルム面の延長線の交点にぶつかる平面上にある物体に焦点が合う。 上図では、紙面の都合で
大きくレンズを傾けているが、実際は 5゜〜10゜程度の範囲で傾ける。TILTを使うと、例えば花畑全面をベストピントにした、
絞り開放の写真が可能になる。
(Fulcrum 著)
読みやすい参考書
天文アマチュアのための望遠鏡光学・屈折編 吉田 正太郎 著 誠文堂新光社