随伴渦と翼端板

 話題が逸れるが、最近の旅客機を見ると、主翼の翼端に小羽根が付いている機体を見かけるようになった。

こんな物を追加したからと言って、直進性の向上に寄与するものだろうかと、かなり考え込んだものである。

 

 調べてみると、全く別の目的があるらしい。周知の如く、翼という物は、上部を舐める気流と下部を舐める

気流の速度差を利用して、局所的な圧力差を作る事で揚力を得る部品である。空力的作用をしている翼では、

高圧の下面から低圧の上面に向けて、翼端から回り込む気流も発生するのである。これが翼端付近で渦を

作る。この渦を随伴渦と言うが、厄介な事に主翼を上から下に押し下げる方向に作用しているのである。

この随伴渦の回り込みを抑制しただけでも、燃費が5%近く向上するらしい。そこで考案されたのが、

翼端の遮蔽板である。長距離便の運行コスト削減を見込んで追加した装備で最近の流行なのだそうだ。

厳密には、翼端板ウィングレットは異なるらしい。

 

 ちなみに F16F/A18 などの、翼端にミサイルを装備した格闘戦用の軽戦闘機の場合は、ミサイルを発射

する前の方が発射後よりも機敏に動けるようである。これも理由は同様で、揚力の妨げになる有害な渦が無い

だけ翼面荷重が軽減されるからである。                        (Fulcrum 著)