コーナーリング・フォース
クルマを旋回させる時はハンドルをきるが、それに応じてタイヤには進行方向に直行する横向きの力が
生まれる。この力をコーナーリング・フォースと呼ぶ。クルマはコーナーリング・フォースを利用して
旋回するので、車両は必ずしもタイヤの向いた方向に進んでいるわけではない。
(タイヤの向いた方向から、若干逸れた方向に車両は進む)
進行方向(旋回円の接線方向)とタイヤの傾きがなす角度βをスリップ・アングルと呼ぶ。
タイヤが、スリップ・アングルがついた状態で回転すると、右上図の様に変形する。この時に赤い部位
(つまり接地部)に発生する反発力がコーナーリング・フォースとなる。
スリップ・アングルが0<β<20゜までは、コーナーリング・フォースはスリップ・アングルに比例する。
この時の比例定数をコーナーリング・パワーと呼ぶ。
補足
旋回中にこそ素直な操舵特性が必要であるが、旋回中に加速すると、
旋回半径が大きくなり、アウト側に持っていかれる アンダー・ステア
旋回半径が小さくなり、イン側 に持っていかれる オーバー・ステア
一般に各クルマによって、いずれかの特性を持つのが普通である。
オーバー・ステアが強すぎると旋回中にスピンを起こすで、市販車はアンダー・ステアに設定している。
アンダー・ステアの場合、曲がり切れなければハンドルを切り増せば良い。(慌てて急減速すると、
見かけ上オーバー・ステアに近い現象が起こるので、教習所では「旋回時は、一定速で徐行せよ」と教える)
アンダー・ステア、オーバー・ステア特性が現れる原因は、コーナーリング・フォースが前後の車輪で
異なるためである。傾向としては以下のようになる。
アンダー・ステア : 前輪のコーナーリング・フォース < 後輪のコーナーリング・フォース
オーバー・ステア : 前輪のコーナーリング・フォース > 後輪のコーナーリング・フォース
この事をスリップ・アングルで説明しても比例関係が成り立つ範囲では問題はない。しかし4輪とも同じ
タイヤを使用する事を前提とする。F1のように前輪と後輪で極端に異なるタイヤを使用する場合も含めると
コーナーリング・フォースで説明すべきと考える。
(Fulcrum 著)