エンジンって何?

 昔、中学生の頃に、授業に退屈するとクラスのマドンナの背中めがけて、輪ゴムを飛ばしたものだ。

こっちを振り向いてくれることだけを目的に、授業中ずっと飛ばし続けるのだが、輪ゴムというのは正しく

「鉄砲弾のお使い」で、彼女の返事を取り付けて戻ってきた例は一度もない。

 輪ゴムを伸ばしてピンと弾くと、ひとしきり飛んだ後は地面に落ちて、それっきりだ。「お前には我が恋心を

届ける使命があるのだ!さぁ!もう一度、満身の力を込めて飛べ!」と鼓舞したところで、後はストライキ。

飛ばしたければ、拾い上げて再び弾いてやるしかない。この理由は御存知の如く「エントロピーは増大する」

とか「永久機関は存在しない」だとか・・・詳しく知りたければ、高校の物理の授業でも聞いて、睡眠学習を

していただこう。

 

 しかし、外部からエネルギーを供給し続けて、人間が使う分の他に機械に手数料を払うならば、仕事の代行を

してくれるサービスがあるそうで、聞いた話によればエンジンというのが力仕事代行屋のサービスマンなんだ

そうだ。ところで下に示す式が、エンジンさんの料金体系(一般に 熱エネルギーの変換効率 と呼ぶ式)

なのだが、これが実に奇妙だ。

 

この式の分子側を見ると解るように、暖かい状態と冷たい状態の差分が正味となる。だから、暖かい状態

のみが非常に極端でもダメだということだ。燃焼室内の温度は、一度燃焼すると余熱のお陰で、次からは当初の

差分が取れなくなる。そこで、願いましては御破産頂き、次に備えるわけだ。御破産と言うくらいだから、

ここでは冷却することになる。

 (Fulcrum 著)