ホンダ初の3リッター車 RA273
1966年のレギュレーション変更で、1.5リッターから3リッターに拡大されたが、初年度は下馬評どおり
旧1.5リッター改造型や2.5リッター改修型のみの開幕となり、本格的な3リッター車は不在のままだった。
頭角を現したのは、例のジャック・ブラバムである。彼は3リッターの高出力よりも信頼性を追及し、
オーストラリア(ブラバムの出身地)にある部品メーカーのレプコ社で、オールズモビルの量産V8ブロックを
使ったレプコV8を開発した。確かに270馬力程度の非力ながら、他の2.5リッター改修型より遥かに安定した
特性を武器に、確実な勝ち星を上げていた。
1966年後半になるとフェラーリ、BRM、イーグルの他、マセラッティなどが、純然たる3リッター車を
送り込み、我がホンダ初の3リッター車 RA273も9月開催のイタリアGPから参戦した。RA273は
デビュー当時、すでに 400馬力を発生し、翌年のオランダGPに至っては 420馬力にも及ぶ。300馬力前後の
レプコは勿論、当時にあって他の追随を許す事はなかった。しかしRA273の重量は 600Kg を超す巨漢の
ため、本領を発揮できたのは、馬力にモノを言わす高速型コースだけだった。 (Fulcrum 著)