剛性の概要
現実世界では、すべての物体がバネの性質を持っている。硬い、柔らかいはバネ定数Kが大きい小さいの
問題で、曲げ、引張り・圧縮、剪断といった荷重のタイプ毎に夫々の特性を示し、各材料毎に固有のものと
なる。このあたりが材料力学の範疇である。
なお、物体にはパーソナリティが有って、外力がかかると、生まれた時の姿を維持しようとする。この性質を
剛性と呼ぶ。剛性がはたらく時に外力に対抗する力が発生するが、これをストレスつまり応力という。
応力がある程度大きくなると、弾性変形領域から塑性変形領域に移り、果ては破壊に至る。
大きな外力をかけると、確かに物体の破壊を促す引き金とはなるが、外力が直接、物体を破壊するのではない。
ところで、力はベクトルで表される。ベクトルとは、大きさのみならず方向を含むから、矢印で表記
され、平行でない二つ以上の力が存在する場合、それらの力を合成したり、逆に一つの力を複数の方向に分解
できる。いわいる力の平行四辺形がそれである。
とすると、物体は、同じ材料で出来ていても形状の違いによって、発生した応力が分散したり、集中して
しまったりするのだろうか?
局所的に見た時、応力が集中する場所がポッキリと折れるのだろうか?
そのあたりの物体の形状と力の関係を扱っているのが構造力学のようである。
柱などの強度部材における能力を決定する因子に断面積、断面二次モーメント、断面係数があるが、
夫々の意味と強度との関係については下に示す参考文献を一読して頂きたい。1冊あたり1000円程度の本で、
数式による説明は非常に少ないので、高校生以上なら誰にでも理解できる簡単な書き方をした本である。
参考文献
「強さのおはなし」 森口 繁一 著 日本規格協会
「硬さのおはなし」 寺澤 正男 著 日本規格協会
「おはなし信頼性」 斎藤 善三郎 著 日本規格協会
「図解でわかる 構造力学」 高木 任之 著 日本実業出版社
いずれにせよ、クルマのシャーシーの強さを表す一つの指標して、捩じり剛性という考え方が有るので
紹介しておく。単位は Kg・m/deg である。意味するところは、下図の如くボディを雑巾絞りに捩じる時、
1゜捩じるのに必要なトルクが、どのくらいか論じているのである。 (Fulcrum 著)