話題の発端
F1が自動車技術のエポックメーカーである事は否定しないが、すべてにおいてF1が発祥の原点ではない。
1928年にスピード・レコード(要はギネスブックの記録更新)用に開発したロケットカーには、両側に裏返し
の翼を付けていた。また、因縁の1955年にはニューブルクリンク1000Km に出場したスイス人ドライバーの
ミハエル・マイが、ポルシェ550スパイダーのコクピット真上にパラソル型の大きな翼を装着した。彼はこの
クルマでワークスのポルシェより速いラップタイムを出したが、当時としては奇妙な設計のため車検を通過
しなかった。
1965年に登場した元祖翼グルマは、車輪を覆う車体のカンナム・カーに参加していたシャパラルである。
Caparral 2F(1967年 Le Mans)
このクルマは有翼車両としては2作目で、最初のモデルは屋根無しだった。
当時のカンナム・カーの代表作。 銀河帝国の祖先とでも言うべきか。
設計者のジム・ホールもウィングが、自動車史初の大議論を呼び、その後、すべてのカテゴリーで、
レーシング・カーの性能を左右する第一因となるとは予想しなかったはずだ。
これに触発されて 1967年以降、F1はカンナム・カーの如く高い位置に翼を備えた。
(Fulcrum 著)