実家でなされた嫁の躾

 何処の家でも似たようなもので「渡る世間は鬼ばかり」なのだ。嫁を送り出す実家としては、手塩にかけて

育て上げた娘なのだが、姑からすれば「やれ、ヌカミソのかき回し方が」「やれ、窓枠に埃が」だとか、鼻に

突く事ばかり。そこで嫁が泣くのは古き善き時代の話で、現代は・・・

 

 今日のパッケージ・ソフトは多機能であるが故に、各機能毎にモジュール化されている。そしてユーザーが

接しているのは、夫々のモジュールを呼び出す管理プログラムなのである。だから、WORDで文書作成を

行う際も、ユーザーから見えない舞台裏では、フォントを変えたり検索する度に機能に対応するモジュールを

呼び出して、加工を終えたデータは再び管理プログラムに戻されて来るのだ。

 使用しているCADソフトの場合も通常、モデリング・パート で作成した形状データはモデリング・

パート内で品質検査を受けた後にメッシング・パートに渡される。

 しかしモデリング・パートの品質検査で合格しても、メッシング・パートで要素を生成すると一部に品質が

悪い欠陥要素を含む場合がある(それでも以前に「要素が生成できない場合」を経験した事があるから、

これはまだマシな事例だ)

 

 

 経験的な話をすると、各面を構成する稜線の中で最小寸法の3〜5倍の要素長ならば、充分に実用に足る

品質を確保出来るが、局部的に欠陥要素を生む場合はモデルの形状データに問題がある。実際に困った実例を

挙げると下図のような事がある。矢印の部位では、上面と側面の継ぎ目の位置が0.5 mmほどズレている。

(各面の継ぎ目に隙間は無いのでモデリング・パートの品質検査では合格するが、右下図のLMin が0.5 mmで

Max が50 mm となる)そのため、この面に接する要素は寸法が制約されて潰れてしまう。低品質の欠陥要素が

一つでも有ると解析計算の途中で「重大エラー」を起こしかねない。システムがダウンするとシステム管理者を

呼ばなくてはならなくなる。(「直前に何やったの?」と聞かれて「操作ミス」という事になると人間関係が

悪くなる)

 

  更に、これと類似した欠陥事例は他にも多数の個所で発生した。こうした問題を目視検査で発見する事は、

実に難しい。従って要素生成を行い、上に示すを全要素(34万要素)で算出し、リストアップした時点で

初めて明らかとなる。の値が0.1を確実に上回る要素だけが優良品質である

 このような形状誤差の場合、形状作成過程の終わり近くでやった操作を修正するのは、比較的に容易だが、

最初の方は形状の基礎となるだけに面倒な事になる。とてもじゃないが、初心に立ち返って出直す訳には

いかない。従って対処療法、すなわち形状の追加加工で対応する事を迫られた。

(形状の加工はモデリング・パートだから、これまでに生成した要素は泣く泣く捨てる事になる・・・)

 

  対策例

 

 このような場合、要素のサイズを小さくして対応する事も手段の内だが、要素数が2倍になると

後の解析計算では時間が4倍かかり、かつ、マトリックスを展開するためのディスク使用量も2乗で増える。

時間は待つにしても、OSの制約により、一つのファイルにおけるサイズの上限が2GBである事から、

スワップ・ファイルのサイズから総要素数の制限が出てくるので、上記のような涙ぐましい努力が必要なのだ。

 

                                                              (Fulcrum 著)