・比較因子

2、バージーボードの有無

  ノーマル 3D ウィングのマシーンにおいて、バージーボードが有る場合と、無い場合を検討する。

 

    (上図はイメージ図のため、厳密に言えば、解析モデルは形状が異なる)

 

 

解析結果    バージー・ボードの有無  1

静圧分布図  ノーマル3Dウイング  バージー・ボード有り  地上24mm断面(床下断面  走行速度:180 km/h

 (相対圧)

 

静圧分布図  ノーマル3Dウイング  バージー・ボード無し  地上24mm断面 (同条件)

 (相対圧)

 

考察

  上図はゲージ圧(相対圧)を示した図であり、緑部を標準気圧(相対 0気圧)とすると、赤部が正圧、つまり面を

押す作用をする事を示す。同様に青部が負圧、つまり面を引っ張る、もしくは吸うように作用する事を示す。

とすると、深緑、水色、青の領域グラウンド・エフェクトが発生していると考える。

 

ハンドル真下でのグラウンド・エフェクトから言えば、バージー有りにおける負圧領域(水色)は、まるで羽を広げた

  コウモリのような形に分布しているが、バージー無しにおける負圧領域(水色)は、コウモリの顔が欠けている。

  この部位での違いは、色から判断して概略 2ヘクトパスカル程度なので、バージー無しではアンダー・ステア

  なるだろう。

 

  フロント・タイヤの荷重という観点から見ると、バージー・ボードの役割は明らかで、これが無いと、ハンドル真下の

グラウンド・エフェクトは、前出の三つ瘤以下に落ちてしまう。Ferrari-F2002(2003年マレーシア、M・シューマッハ)、

もしくはF2003-GA(2003年カナダ、R・バリチェロ)がバージー・ボードを失ったにも関わらず何事も無いが如く

振舞ったのは、これらのモデルではカウンター・ウェイトを前方に寄せて、重心位置を大きく前進させており、後輪の

グリップはリア・ウィング及びグラウンド・エフェクトによるダウン・フォースに任せる設計思想だったため、ハンドル真下の

ダウン・フォースが多少(一説によると8%に登るというが・・・)殺がれたとしても、ウェイト・バランスがそれを緩和したと

考える。しかし、ドライブ・フィールに変化が出ても不思議は無いし、アンダー・ステアになった分、ライン取りも早めから

曲がり始める軌道を採って凌いだと考える。

(Fulcrum 著)