・比較因子
1、フロント・ウィングの形状
Fウィングは2種類を検討した。一方をノーマル3Dウィング、他方を三つ瘤3Dウィングと呼ぶ事にする。
解析結果 フロント・ウィング比較 1
静圧分布図 ノーマル3Dウイング 地上24mm断面(床下断面 走行速度:180 km/h)
(相対圧)
静圧分布図 三つ瘤3Dウイング 地上24mm断面 (同条件)
(相対圧)
考察
上図はゲージ圧(相対圧)を示した図であり、緑部を標準気圧(相対 0気圧)とすると、赤部が正圧、つまり面を
押す作用をする事を示す。同様に青部が負圧、つまり面を引っ張る、もしくは吸うように作用する事を示す。
とすると、深緑、水色、青の領域でグラウンド・エフェクトが発生していると考える。
夫々のフロント・ウィングでは、顕著な相違が見える。
注目すべきは2点。一つはフロント・ウィング真下の圧力、二つ目はハンドル真下の圧力である。
・フロント・ウィング真下では、ウィング全体が正圧領域(黄色)の中にあって、標準気圧の領域が三つ瘤3Dウイング
(以降、「三つ瘤」と表記)はノーマル3Dウイング(以降、「ノーマル」と表記)に比べて広いため、リフトが少なくて済む。
恐らく設計者はこの効果を狙ったに違いない。
・ハンドル真下でのグラウンド・エフェクトから言えば、ノーマルにおける負圧領域(水色)は、まるで羽を広げたコウモリ
のような形に分布しているが、三つ瘤における負圧領域(水色)は、コウモリの顔が欠けている。この部位での違いは、
色から判断して概略 2ヘクトパスカル程度なので、ノーマルに軍配が上がるだろう。
フロント・タイヤの荷重という観点から見ると、どちらが良いとは結論を出し辛いが、車両の重心位置から近い位置に
荷重がかかるノーマルと、車両の先端に荷重がかかる三つ瘤という相違点があろう。この場合、二つのFウィングでは
ドライブ・フィールに相違が出ても不思議は無いと考える。
(Fulcrum 著)