"魔物"と呼ばれるもの


(工事中)

この世界には、人間を含む小さき民の
脅威となる存在が数多く存在しています。
ここではそれらの存在について触れます。






"魔物"と呼ばれるもの





■ "魔物"とは


この世界には、一般的に"魔物"と呼ばれている
存在が数多く存在し、"小さき民"や"普通"の動物達の生活を脅かしています。

この"魔物"と言う呼び名は
人間族が自分達の常識の範疇を超えた、
自分達にとって脅威となる存在を
まとめてそう呼んでいるに過ぎないのであって
具体的に、こういうものが魔物であると言う定義は存在していません。
"魔物"と称される存在を場合によっては
単に化け物、魔獣、妖魔と呼んだり、
悪魔と呼んだりとかなりいいかげんなものです。
これらの存在について一般に知られていることとして
魔物の多くは周りにさまざまな悪影響をもたらす"毒気"を撒き散らすともいわれていますが、
これに関しても必ずしも正しいというわけではないようです。
一応、伝承の一部として語られたり
数多く姿を現すために、その由来が知られているものもいますが、
それは"魔物"と呼ばれる存在の中でごく限られた例に過ぎません。


そして、この世界が創造されて以来、
小さき民や神々、その協力者達は
いずこからともなく現れる魔物と戦いつづけてきましたが、
魔物達の勢力が衰えたことはありません。
魔物のといわれている者のうち、
一部は、一般に"死にぞこない―アンデット"と呼ばれるものであったり、
"地獄"や"魔界"に代表される異界の存在であったり、
毒気にあてられ変わり果てた動物であったりするわけですが、
それ以外のほとんどの魔物は、どのようにしてこの世界に現れ、
何のために存在しているのかもはっきりしていないのです。


また、本来、強大な力を持っているはずの神々が直接魔物に対して手を下さないのは、
根絶やしにすることのできない魔物の相手をするよりも
重要なことを(魔物たちによってゆがめられた世界の在り様を元に戻したり
精霊たちを守護し、世界を定められたように運行すること)
行わなければならないからだといわれています。

現に、世界暦の500年ごろ
魔物に狩り立てられる小さき民の惨状を見かねた
火の神リガートが、自ら「魔物」との戦いに加わった結果、
その戦いには勝利したものの、
戦いの際に彼の役目がおろそかになった結果
その後、数年にわたって大きな天変地異が
続いたと伝えられています。












有名な"魔物"




■ "堕ちた龍"アザルム(数値データはこちら




堕ちた龍の名で呼ばれるアザルムは
その名のとおり、禍々しい血の色の鱗におおわれた"ドラゴン"で、
その名は畏怖と共に世界に知れ渡っています。

この世界においてドラゴンが幻界の住人であることは
(彼らが市井で語られる物語に頻繁に登場することもあって)
よほど学の無いものでもない限り知っていることであり、
どのように邪悪な性格のでドラゴンでさえ、魔物と称されることは普通ありません。

それにも関わらず、この"落ちた龍"が
なぜ魔物と呼ばれるのか
その由来は、はるか上古の時代にさかのぼります。



当時、地上に在ったドラゴンの中でも
五本の指に入るほどに強大であったアザルムは
同時に財宝に対して非常に強い執着心を持つドラゴンでもありました。
現に彼の巣穴には、目もくらむほどの財宝がうなっていたといわれています。

そのアザルムに取引を持ちかけた者がいました。
その者 ―"西の悪魔"の名で知られる悪魔 は
アザルムに対して地上に二つとない宝物と引き換えに
とある国を滅ぼしてほしいという取引を持ちかけたといわれています。

その際に西の悪魔がいかにしてアザルムに言い寄ったのかは知られていませんが、
彼は"西の悪魔"の甘言と財宝の誘惑に負け
その取引に応じたといわれています。
そして、アザルムの手によって、一つの国が地上から姿を消し・・・
財宝は彼のものになるはずでした…
が、しかし、それが現実となることはありませんでした。

いかなる手段が用いられたのかは知られていませんが、"西の悪魔"の手によって
財宝の引渡しを迫るアザルムの身に強大な呪いが降りかかったのです。
そして、その呪いのもたらす苦痛により、アザルムは十八日の間もがき苦しんだ後、
その知性のすべてを奪われて、ただの獣も同然の存在へと成り果てたといわれています。

果たして、一国を滅ぼすということに意味があったのかどうかは不明ですが、
"西の悪魔"は最初からアザルムに呪いをかけ、
知性を奪って自らの僕とすることが目的で彼に取引を持ちかけたとのだといわれています。

その後、"西の悪魔"は当初の計画通りにアザルムを自らの僕とする試みを実行に移しました。
しかし、アザルムからは知性は失われていたものの
獣と化し、荒ぶる彼の力はあまりに大きすぎ、
"西の悪魔"の手にさえ余るほどのものでした。
そこで"西の悪魔"はアザルムの躯を十数に引裂き
その上で、自らの僕としたのです。


こうして、いくつにも引き裂かれた"アザルムであったもの"は
地上の至る所に解き放なたれ、"堕ちた龍"が誕生しました。
そして、現在も、この伝承に伝わっているとおり、"堕ちた龍"は
今も健在である"西の悪魔"の意思に従い地上の至る所で破壊を撒き散らしています。
その躯を十数に引裂かれたとはいえ、その力は強大で
戦慣れした騎士たちでさえ、なかなか太刀打ちの出来るものではなく、
"堕ちた龍"は非常に恐れられています。
また、"堕ちた龍"は一度倒されても、分かたれた躯のすべてを滅ぼさない限り
何処とも無く蘇るといわれてます。
現に今までに百を超える数の"堕ちた龍"が多大な犠牲の上に屠らていますが、
いまだにその存在が地上から放逐されるにはいたっていません。









■ 幽鬼の森と狂える悪霊の群れ(数値データはこちら



ニルアベールの南東の端、ガザドの山々を超えたところにある
幽鬼の森(行ける死者達の森)は地上においても指折りの"魔境"です。
この森には、無数の狂える死霊が終わることの無い苦痛に身をよじりながらわだかまっており、
生あるものが足を踏み入れたが最後、
生者のぬくもりを奪わんと殺到する彼らにばらばらに引裂かれて息絶えるといわれています。
また、地上にあって死霊の力が増すといわれる新月の晩には
遠くガザドの山々を超えたところにある村々にまでその怨嗟の声が届くといわれています。

いつから、この"幽鬼の森"と呼ばれる場所が生まれたのかは定かではありません。
古の時代にこの地で死した強大な悪魔の骸が、行きどころの無い死霊を引き寄せているとも、
上古の終わりに世界を蝕んだ"呪い"の残滓とも言われています。

いまや、この森に巣食う幾万という死霊は長い年月を経て
彼我の区別を失い、ある意味一つの"魔物"と化しています。
それは全く人の手におえる物ではないのですが、
死霊の扱いに長けた魔術師の間では
この幽鬼の森に巣食う死霊の"欠片"を召喚する術が知られており、
召喚した死霊の欠片を召喚したうえで"実体化"さたものや、
死体に憑かせたものを自らの護衛として用いていることがあります。
そもそも、死霊の扱いに長けた者達自体が日常生活と縁遠い存在であるため、
これらの"魔物"はそこまで有名ではありませんが、
比較的簡単に扱うことができるため、"魔物"退治を生業にしているような戦士等であれば、
遭遇する機会があるかもしれません。
幽鬼の森の死霊に限らず
死霊との戦いでは身を護る鎧が役に立たないこともあるため、
これらの"魔物"は戦士たちにも恐れられる存在でもあります。



また、幽鬼の森に生えている木々は
死霊の放つ毒気をたっぷりと吸っており
この幽鬼の森の樹の苗木一本を大地に植えただけで、
広大な森を死に絶えさせるといわれています。

また、幽鬼の森から持ち出された樹はそれ自身が
幽鬼の森の死霊を呼び込むとも言われているため、
邪な目的を持った者にとっては非常に魅力的なものであると言えます。
しかし、死霊の森に踏み込むことが通常は不可能であること
また、よしんば入手できたとしても
普通の人間であれば近づいただけで死に至るような
強烈な瘴気をはらんでいるために扱いが難しく、
世に出ることはめったにありません。







■ 忌まわしき小鬼"ガラムリ"


南大陸内陸部、サルキュリア地方に広がるウィルローン
"魔物"が多いことで有名ですが、ガラムリ(忌まわしき小鬼)はその中でも
特に数が多く、また、人々の間で知られている"魔物"です


この"忌まわしき小鬼"は古に"膿の王"と呼ばれる悪魔が
琥珀海の底深くにある海の夫婦神の神殿より盗み出した
"妙なる命の欠片"と呼ばれる宝珠を使い、穢れた土より作り出したといわれています。
そして、この盗まれた"妙なる命の欠片"はウィルローン南部からそのはるか南方、"猛り震える大地"の
地下にかけて広がる"タネルダインの呪い穴"のいずこかに今も眠っており、
そこではいまだに"忌まわしき小鬼"が穢れた土より生まれつづけているといわれています。


"忌まわしき小鬼"自体はそこまで力の強い"魔物"ではありません。
非力で知恵もまわらないため、
(一対一なら)武器の扱い方をわずかでもを知っている大人であれば、ほぼ退けることができます。
ただし、"忌まわしき小鬼"は基本的に50体以上の大集団で行動し、
その生まれゆえか、周囲の植物や食物を腐らせ、病を運ぶため、
ウィルローンの民から非常に忌み嫌われています。
また、彼らが巣食った土地は腐り、
長年かけて清めない限り、作物やまともな植物がが育たなくなるとも言われています。

そのため、"忌まわしき小鬼"が見かけられた場合、
ウィルローンの民は戦える者総出で彼らを根絶やしにし、
その周辺に"清めの火"を放って、その土地を清めるのが常となっています。









■ 嵐の騎手


嵐が吹き荒ぶ荒野や新月の晩の森というのは
激しい風雨や深い闇のせいで危険が付きまとうものです。
しかし、不用意にも(もしくは不本意にも)それらの領域に足を踏み入れた者達を襲うのは
"自然の脅威"だけではありません。
新月の晩は人に存らざるものが盛んにうごめく時であるといわれていますし、
嵐の荒野には不幸な旅人の命を無慈悲に刈り取る"魔物"―嵐の騎手(オガム)が現れるといわれています...

この"嵐の騎手"はその名の通り、
雷光を纏い、硫黄の息を吐く黒馬にまたがって現れる
黒衣の人影としてその名を知られています。
"嵐の騎手"の目撃憚ははるか昔から伝っており、
そのことからしても古い"魔物"といえるのですが、その正体は分かっていません。
荒野で死した旅人の怨念や嵐に対する人々の恐怖心が形を持って現れたものであるとも、
自らの死に気付くことなくさまよう騎士の成れの果てであるともいわれています。
また、"嵐の騎手"について伝える伝承の中には
"嵐の騎手"を統べるといわれる"王"の存在を伝えるものもありますが、
そのような存在が見かけられたというはっきりとした証拠はどこにも伝えられていません。
確かに"嵐の騎手"の背後に佇む巨大な影を目にしたといったような話もあるのですが
その話があまりにもあやふやなため、
単に、命の危機にさらされて錯乱した者が見た幻に過ぎないともいわれています。


市井に伝わる物語を通じて人々の間に伝わる伝承の中は
"嵐の騎手"の討伐憚も存在するため、
腕試しや名声を得ようとして嵐の荒野におもむく者がたまにいるようです。
しかし、そのような者のほとんどは帰ってこなかったり、
無残な骸となって見つかることになります。

曰く、冥い輝きを纏った剣に斬られたら最後、
それが致命傷で無くとも身体の内から毒気に蝕まれ命を落とす。
曰く、常に身も凍るような冷気を纏っており、屈強なものでなければ近付かれただけで息絶えてしまう。
曰く、"嵐の騎手"が乗る黒馬のこの世の物とも思えないような嘶きはそれを耳にした者の心を打ちのめし、
紫電を纏った蹄の一撃は板金鎧を軽々と踏み抜く。

これらは全て、"嵐の騎手"について伝承の中で伝えられている話ですが、
一体どこまでが真実でどこからが真実でないのかは
"嵐の騎手"と相対して生き長らえた者が少ないため、はっきりとは分かっていません。
とはいえ"嵐の騎手"が恐るべき存在であることは間違いありません。












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