GURPS Suspended World
―Introduction




■ GURPS Suspended World(サスペンデッドワールド)について
(更新2009年9月)

このTRPGの項にはGURPSサスペンデッドワールド(停滞した世界)ということで,
GURPS4版の自作サプリメントに関する記事を置いています。
とりあえず,この"概要"のページではこのサプリメントの概要と
そして,どういう意図で製作しているかについて軽く触れたいと思います。

GURPSサスペンデッドワールドは汎用TRPGシステムであるGURPS(4版)のサプリメントであり,
俗に言う現代伝奇物でTRPGを遊ぶためのサプリメントとなっています。
伝奇物というジャンルもかなり幅広い物で漠然としていますが、このサプリメントは以下のような傾向を持っています。

・舞台となるのは現実世界と似た世界
・最初にサポートされる舞台は利用可能な科学技術がTL7の初期で止まった昭和的な雰囲気の日本
・ある歴史的な出来事により、妖怪や神々といった存在が認知され、日常生活でもそれらと関わる可能性がある
・いわゆる民話、昔話、神話等を出自とする人外の存在が関わる出来事をベースにセッションを行う
・PCは主に妖怪や怪異、その他人外の者に対抗しうる力を持った人間、ならびに妖怪や怪異、その他人外を想定

元も子もないことをいうと、エロゲー(果てしなく青い、この空の下で…。とかAirとか)とか,
漫画(もっけ,夏目友人帳,宵闇幻燈草紙,足洗邸の住人たちとか)でたまにある
ちょっと懐かしい感じの日本を舞台にした妖怪伝奇物っぽいのをやろう!ということになります。
なお、ワールド設定上、さまざまな怪異や魔法を取り込んだ科学技術が高度に発達している地域もあるため、
最終的にはそちらを舞台にして遊べるようにもしていきたいと考えています。



…以下ワールド設定のはしり書きなど。

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そもそも世界には太古より神々や妖怪と呼ばれるものが存在していた。
人間達はそれらのものを畏れつつも敬い、折り合いながら暮らしてきた。

だが、科学技術の発達により、人ならざる存在は世界の隅に追いやられ、次第に忘れ去られてゆく。
そして,1800年代から1900年代の初頭,
"文明の闇"を駆逐する流れは加速し,人類の版図の拡大に拠って形骸化が進んでいた
人ならざるものとの関わりも大きく崩壊していくこととなる。
例えは開発や公害による自然の破壊、"科学"では説明できないものの否定、
富国化の障害となる伝統やコミュニティの破壊。
日本でも、明治新政府の下、戦争により荒廃した地方農村の精神的統合を図る目的で布告された
神社合祀令により、村落生活に密着した氏神・産土神への信仰が大きく破壊されるいう事態が起きていた。
これにより、それまで人と共に在った人ならざるものの力も影響力が急速に薄れていくこととなる。
それに警鐘を鳴らす者がいなかったわけではないが、人々がその声に耳を傾けることはなかった。

そして、1934年の夏の日,突然の異変が世界を襲う。
今まで人と共にあった神々やその他偉大なる者たちによってこの世から遠ざけられてきた
悪魔、邪神、悪霊、妖怪…それらのものが世界に溢れ出したのである。
折りしも、互いに争うために力を蓄えていた各国は軍隊によってそれらに対抗しようとするが、
不可解な現象によって、敗戦を重ねていくことになる。
"化け物"と相対すると、彼らが手にする武器や兵器が動作しなくなるのだ。
機関砲や爆弾、戦車砲があれば化け物といえどもどうということはない、そのはずであったが、
彼の者を前にして、機関砲や爆弾を携えた攻撃機は空から落ち、戦車はものを言わぬ鉄の棺桶となった。
"化け物"に対抗する手段を失った人間達は次第に追いつめられていき、
人類は勝利の見込みのない戦いにいやおうなく駆り立てられていくことになる。


だが、1939年、戦況が絶望的に悪化するさなかに、突然、人類の勝利という形で戦いに決着が付く。
人々から遠ざかり,世界への影響力を失っていた多くの偉大なるものたちが
現世に顕現し、その力によって世界に跋扈していた妖異がこの世から放逐されたのである。

絶望的な戦いが終わり、生き残った人々は妖異に怯えずに暮らせる明日が来ることを喜んだ。
だが、すぐに重大な事実に気づくことになる。
今までは、化け物の近くでだけ動かなくなっていた文明の利器が、化け物がいなくなったというのに、
動かなくなっていたのである。
そして,戦いが終わって間もないうちに,この世に顕現した偉大なるこそ,
その現象の原因であることが明らかになる。
この事実が明らかになったことにより,戦いからの復興という共通の目的の元,
まとまりかけていた人類は再び分裂し,世界は混迷の時代へと突入することとなる。

それから数十年、西暦2010年。20世紀初頭の大異変を契機に始まった混迷期を経て、
世界は三つに分断されていた。
ひとつは神々と共に生きることを選び、数百年レベルに及ぶ文明の後退を受け入れた人々が暮らす地域。
ひとつは神々を拒絶し、高度な科学技術を背景に文明を謳歌する地域。
そして、文明とも神々とも決別できず、彼らと折り合い、緩やかな恩恵を受けつつも、停滞した文明のもとに人々が暮らす地域。


そのような世界にあって、日本列島は

異変の際に降臨した天津神・国津神の版図が大半を占める九州・山陰・南紀。
大異変の際に流布した魔法技術と憑霊素子 ―人工の付喪神を宿らせる素子 を搭載したコンピュータにより、
神々の力を退け文明社会を謳歌するメガロポリス東京。
そして、数十年前と変わらぬ風景のなか、人ならざる隣人達と共存する暮らしを選んだ"旧"日本と呼ばれる地域。

その三つの地域に分断されていた。



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