追加された能力値

このサプリメントではＧＵＲＰＳにおける四つの能力値に加えて、
【霊力-SP】という五つ目の能力値をあらたに加えます。

【霊力】とは"魔法的"なもの、霊的なもの、その他、五感と理性でとらえられないものへの親和性、
および、それらのものに対する敏感さをあらわします。
要は私達が言うところの霊感に相当するものと考えればいいでしょう。
この能力値は、体力と同じように、疲労点を持ちます。

■　ＣＰと基準値　

【霊力】は他の能力値と同じように基本は１０、
ＣＰは体力、生命力と同じように１点に付き１０CPです。
ただ、他の四つの能力値と違い、
年齢によって修正がかかることはありません。

※この能力値は意図的に伸ばすのが非常に難しい能力値です。
敏捷力や体力であれば体を鍛える基礎訓練を行うことによって伸ばすことができるでしょうが、
霊力は上記のような能力値の成長を効率的に促す方法がありません。
魔法使いや気操法の使い手の間では
五感と理性で捉えることの出来ないものへの感受性を伸ばす手段として
滝にうたれたり、瞑想を行う、体を極限まで痛めつける、といった方法が知られていますが、
それらの事を行ったとしても確実に成果をあげられるとは限らないのです。
どちらかというと、霊力という能力値が上がる機会というのは、
訓練によってはもたらされず、特異な体験によってもたらされる場合がほとんどといえるでしょう。
"特異な体験"の例を挙げると

・一度死ぬ、もしくは死にかける
・"神秘的"な存在（神々、強大な魔物、精霊、強力な魔剣、異界の存在、幽霊など）との邂逅
・異界に足を踏み入れる

などです。特に厳密に考える必要はありませんが、マスターはプレイヤーに霊力を上げたいと言われた場合、
これらの点を斟酌して許可するようにしてください。

■　【霊力】を追加した理由

霊力を追加した理由についてですが、
このサプリメントで用いるワールドにはいわゆる「不思議なもの」、「理性では理解しがたいもの」が数多く存在しています。
このシステムを作る際、
それらのものに対する敏感さや親和性というものを
「知力」―理屈や知識に基づいた精神の働き―とは
まったく別の能力―よく言われるところの霊感のようなもの―として
ルールに組み込みたいという考えがありました。
それがゲーム上の能力値として
知力から独立した「霊力」という能力値を追加した理由です。

ちなみに、「魔法の素質」や「知覚」のように「知力」に上乗せする形式にしなかったのは､
「霊力」が、論理的な理解力と五感に基づいた知覚力、および知識の寡多を現す「知力」とは
関連性のない能力であるという考えがあったからです。

■霊力の指針

以下に、霊力の能力値が実際にどのような影響を及ぼすかを示します。

霊力							大まかなガイドライン
１							あなたの霊的な力は魂を肉体にとどめるだけの最低限のものでしかありません。その不足を補うために、あなたは身体は常に眠りつづけ、年に数度しか目を覚ますことはありません。また、一ヶ月に一度生命力判定を行い、失敗した場合、生命力が永遠に１低下します。そして、あなたが目にし、耳にする「世界」は非常に寂寞としており、そこに存在するあらゆるものは、ある種の恐怖に似た感情を呼び起こします。

２							あなたの霊的な力は通常の人とは比べ物にならないほど弱く霊的な力の不足を補うためにあなたは一日のうち、4/5を睡眠に費やさなければなりません。また、二ヶ月に一度生命力判定を行い、失敗した場合、生命力が永遠に１低下します。

３							―

４							あなたの霊的な力は通常の人とは比べて非常に弱く霊的な力の不足を補うためにあなたは一日のうち、3/4を睡眠に費やさなければなりません。また、半年に一度生命力判定を行い、失敗した場合、生命力が永遠に１低下します。

５							―

６							あなたはには直感やセンスというものが全くと言っていいほどありません。また、得体の知れないものに取り憑かれて、死にかけたような経験を何度かしたことがあります。それに、あなたの周りの人は夜空に光り輝く"星"や"月"というものがみえると言いますが、あなたにはそんなものなど見えません。

７							―

８							あなたはきちんと訓練をすれば、決められたとおり正確に歌を歌ったり、精密な絵を書くことはできますが、どういうわけか、それらはうけとるものに無味乾燥な印象しか与えることができません。また、あなたは、ほかの人が見えるといっているものが見えないといった奇妙な経験をすることがたまにあります。

９							あなたは多少鈍いようですが、日常生活にはそれほど支障はありません。

１０							あなたは普段、物語に出てくるような精霊の姿や、死者の霊を目にすることはありませんが、ふとした瞬間に視界の隅を横切る何者かの影を目にしたり、古くから伝わる道具や古木に触れたときに何者かの意思を感じるときがあリます。また、過去に死別した家族や友人、名も知らぬ祖先と出会ったとか、そのような体験をしたことがあるかもしれません。

11							―

1２							あなたはよく勘が良いと人に言われます。また、技術的には全く同レベルでも、あなたの歌や絵はなぜか他の人に比べて良い評価を受けることがあります。

1３							―

1４							あなたは感受性が強く、芸術的才能に恵まれています。それに、適当に言ったことがなぜか当たったり、賭け事で妙についていたりすることがあるかもしれません。また、使い込まれた道具や歳を経た木々、厳かな祭りなど目にしたとき、そこに宿る何者かの存在を感じることが少なくありません。


1５							―


1６							―

1７							あなたは目にする世界は非常に鮮やかなものです。あなたはそこかしこに在る多くの姿無き者達の存在を感じ、理性では理解することのできない因果によって世界が形作られていることを"知って"います。あなたが"目"をこらせば、あたかも幻のように過ぎ去るそれらの姿を目にすることができるでしょう。また、あなたは芸術的才能にも非常に恵まれており、全く技術的なことを知らなくても、たまに、人を感心させるような作品を作り出すことがあります。

1８							―

1９							―

２０							あなたは五感によって感じることのできるものがこの世界のほんの一部でしかないことを知っています。目を閉じ、耳をふさいだとしてもあなたは日常生活で困ることは無いでしょう。なぜならば、あなたが"みている"のは世界の在りようそのものであり、それは目で見るものでもなく、耳で聞くものでもないからです。そしてまた、世界の"在りよう"を知るあなたはそれに対して影響を与えることに関しても非常に長けています。

このサプリメントで用いるワールドの住人はルール上、
「活力点」呼ばれる数値をもっています。
「活力点」とはいわゆる「生命力」、「精気」といわれるものと同様のもの、と考えてもらえば結構です。
キャラクターの「活力点」は次の方法で算出されます。

活力点の最大値
＝
10（基準値）＋( 体力－10)＋(敏捷力－10)÷２＋( 知力－10)÷２＋(生命力－10)＋( 霊力－10)×２＋<気繰法>÷３

例）　体力：９、敏捷力：１３、知力：１０、生命力：１２、霊力：１１、気操法：１８Ｌｖのキャラクターの場合

-1　　　＋　　1.5　　＋　　0　　＋　　2　　＋　　2　　＋　18÷3（＝6）　　　＋10＝20

このキャラクターの「活力点」は２１となります。

注）活力点は通常、3分に１点の割合で回復します｡
激しい運動をなどをやっていたとしても回復しますが、
極度の飢え、病気などの状態におかれると、回復しません｡

「活力点」という数値がルール上、いかなる役割を果たすのかについては
この項に続くルールセクションでおって触れていきます。
また、ゲーム中では活力点の現在値をPPと表記します。

この世界の住人達はこの活力点がどのような状態にあるかということを正確に自覚することはできません。
これは私達が自分の"HPがいくらか"を知ることができないのと一緒です。
ただ、PPの減少は疲労として自覚できるので、おおまかな状態については普通の人でも把握できるでしょうし、
気操法の使い手などであれば、自分の限界まであとどれくらいであるか、といったことををほぼ正確に把握できるでしょう。
また、この世界の住人達がどのようにこの活力点というものを認識しているかというと、一般ではほとんど意識されていません。
ただ、賢者や医者、魔法使い、戦士などの間では"精気"などと呼ばれ、
体調に関わったり気操法、祝福を行使す際の力の源となっているということが知られています。
（ただし、論理的な研究などはおこなわれていませんし、この"力"を鍛える論理だった方法論も確立されていません。
せいぜい、体を鍛えれば"精力"が充実する、といった程度の認識です。）

・	【活力点（PP）】を算出する際に基準値のひとつとなる

・	《歌唱》、《絵画》、《作詞》、《書道》、《楽器》の基準値となる（ことがある）

・	《呪文射撃》、《祈り》、《幻界歩行》の基準値の算出に用いる（敏捷力もしくは知力との平均値）

・	《気操法》技能の基準値の算出に用いる

・	霊剣、霊弓、およびクアヴォーフの致傷力の基準となる

・	【直感】、【危険察知】、【感情察知】の判定の際に知力の代わりに用いる

・	特殊な知覚判定（霊的なものの感知、直感に強く依存する類のもの）の基準値として用いる（通常の聴覚、視覚判定などには【知覚力-PER】を用います。）

・	GURPS　MAGICにおいて、知力で抵抗するとされている魔法に対する抵抗の基準値として用いる

・	魔法を使用した場合のエネルギーは【疲労点-FP】からではなく【霊力疲労点】から消費する。