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 ポタリポタリ、と。
 全身に降り注ぐ水滴が、身体を芯から冷していく。血を流しすぎた身には、それが一層寒くて仕方がなかった。
 霞んだ視界のすぐそこに見える、あの建物の陰に入りさえすれば。この冷たい雨からは逃れられるだろう。
 けれど、両足の骨が砕けてしまっていては、歩いてそこまで辿り着くことも叶わない。這って行くことすら、全身を走る激痛が許してはくれない。
 人にあらざりしこの治癒能力を上回るほどの傷を、ゾロは負ってしまったのだ。回復が追いつかない。

 このまま死ぬのか。
 と、思った。
 自分でも、死ぬことが出来るのか、と。
 やっと、この残酷な運命から解放されるのだ。
 もう、生きていても目的がない。
 無様な死に方だけれど・・・自分には相応だ・・・

 そうして、生きることを諦めかけた時、不意にゾロに降り注いでいた雨が頬を打たなくなった。何かが顔の上に陰を作ったかのような・・・
「お前、大丈夫か?」
 そして、子供の声がゾロの耳を打った。
 良く通る、綺麗な声だ。割れるように痛む脳にも、それは優しく響く。
 その相手を確かめたくて、ゾロは最後の力を振り絞って顔を上げた。
 もう、判別することさえもままならない視界に映ったのは、大きな赤銅色の瞳だった。
 何故か、それだけが鮮明な印象として残ったのだ。
「しっかりしろ。おれが、助けてやるからな!」
 ゾロにはもう、その言葉の意味も理解できず。
 ああこの声は心地良い、などとどうでもいいことを思いながら。
 僅かに残っていた意識は、そのまま闇に飲まれてしまった。

 深手を負ったゾロはこの時、一人の少年に救われた。
 そして、この少年こそが、幼い日のルフィだった。



  ※

 その後。

 一人だった『悪魔狩り』は、二人になった。
 三本刀の剣士の隣にはいつも、全身黒のレザースーツに身を包んだ男の姿があったという。
 彼らは常に二人で行動し、能力者の間では『黒の双翼』と呼ばれ、恐れられた。

 激動の時代を駆け抜けた、二人の結末を知る者は、いない。





親愛なるローグとウルヴァリンによせて・・・



これはあるお方のルゾロ本にゲストでお呼ばれした時に書いたものです。
当時(というか今も)「X-MEN」の映画にハマっておりまして、
チャンス!とばかりに、書きたかったパロネタを搾り出してみました。
つっても、全然違う話になっちゃってますが;
『ミュータント』を、ワンピに掛けて『悪魔の能力者』と言い換えております。
作中のウルヴァリンとローグを何とか幸せにしてあげたい!
という想いから、今回ルゾロに変換して書いてみました。
・・・が、結局幸せにできたかどうかはアヤシイところです(汗)
力不足でした・・・
ひたすらルフィが甘ちゃんでスミマセン・・・
もうこの際カッコイイ(と書いた本人は思っている)ゾロだけ見て下さい・・・
好きあってるのに触れ合えない・・・そんな切なさを、要は表現したかったということで。
機会があれば是非映画もご覧下さいませ♪
ネットに再録するにあたって、壁紙を色々換えられたのが楽しかったですvv