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何処からか、微かな光が差し込んでいる。 重く臥せっていた目蓋を抉じ開けてみると、それは思ったよりもずっと大きな光だった。 闇に覆われた道を、照らし導くような。 ゾロにはよく見覚えのある光だった。自分は、かつてこの光に救われたことがある。 光の差し込む方向へと歩いていくと、案の定そこには見知った姿があった。まだ幼い、少年だった。 こちらを向いて、手を振っている。眩いばかりの笑顔を浮かべて。 誘われるように一歩踏み出すと、辺り一面がパッと開けて目の前が光で満ちた。 闇に馴染んでいた目は、一瞬の光の洪水に対応しきれず、咄嗟に固く瞑ってしまう。 「こっちだ、ゾロ」 脳裏に直接語りかけるような声が響き、不意に手を握られた。ゾロのものよりずっと小さな手に引かれて、光の道を駆けて行く。 ようやく慣れてきた目をそっと開くと、無邪気に笑う少年の、赤銅色の瞳とかち合った。 「ゾロ!大好きだぞ!」 心の底から、幸せなのだと主張するような。そんな笑顔で抱き付いてくる少年を、ゾロは戸惑いながらもしっかりと受け留めた。 じんわりと伝わってくる体温。 他人の肌がこんなにも温かいのだということを、ゾロは初めて知った。 切ないほどの熱が心にまで伝わって、ゾロは少年を抱き締める腕の力を強めた。 この、まだ幼く純粋な心が、ずっと美しいままでいられたらいいと願いながら。 やがて二人は真っ白な光に溶けて、また闇が訪れた。 |
| 続く >> |