経絡治療・Q&A ホーム】【サイトマップ】【戻る

 はじめに  鍼灸の歴史  経絡治療とは?    東西医  

* よくある質問  * 経絡治療はこんな人にお薦め
* WHO(世界保健機構)による鍼灸の適応症
* 受診上のご注意  * 安産のお灸

○ はじめに
 鍼灸といえば一般には東洋医学ということになっていますが、実際には西洋医学の刺激理論を基にした鍼灸と、古典を基礎とした伝統的な鍼灸術の2つの流れがあります。
 伝統的な鍼灸術の代表が
経絡治療で、両者の決定的な違いは「気」を扱うかどうかと言う事に尽きます。
 当院では、東洋医学本来の治療法である
経絡治療により、生命力を強化していきます。
 生命力とは、人間が生きていくために必要な自律神経機能や、免疫力、食欲などをいいます。薬に頼るのではなく、自然治癒力を高めて自分自身の力で疾病を治していくものです。
                                                   
○ 鍼灸の歴史
 鍼灸は、湯液(とうえき・漢方薬のこと)、養生と共に東洋(漢方)医学 の一分野として五千年位前の中国で発祥し、夏・殷・周時代を経て口から口へ、手から手へと伝えられ、およそ二千年前の漢の時代には素問・霊枢及び難経という古典に書き残され、医療として確立し、仁術として発展してきました。
 この医学原典を鍼灸の起源とすれば、鍼灸療法は二千年以上の歴史があり、西洋医学主流の現代まで延々と続いていることを考えると、いかに素晴らしい治療法であるかを証明しています。

 我が国には、紀元六百年頃の飛鳥・奈良時代に仏教とともに伝わり、数々の医書が輸入され、奈良時代には医疾令という日本で最も古い医制ができ、その中には鍼師、鍼博士、鍼生の職制が定められました。しかし当時の鍼灸は貴族階級ののものだったのです。
 平安時代には医博士、鍼博士の丹波康頼が日本最古の医書「医心方」を著し、医学の原型を作り上げました。
 その後、多くの名医があらわれ、鍼灸は一般庶民の間に広がっていきました。
 江戸時代には杉山和一という鍼医が管鍼法を開発し、鍼灸は日本独自に発展していきます。
 明治初期まで鍼灸・漢方(東洋医学)は、日本の医学の主流の立場にありましたが、明治7年、明治維新の医療制度改革で西洋医学が主流になりました。
 終戦後、米占領軍のマッカーサーは鍼灸禁止令を出しましたが、多くの人の努力により撤回されました。1948年には鍼灸師に関する法律ができ、医学の一分野として認められたのです。
 1970年代に入ると中国の鍼麻酔の報道で世界中に鍼灸ブームが巻き起こり、欧米でも鍼灸が認められていきます。世界保健機関(WHO)が鍼灸医学の発展と効果を評価して、その適応疾患として40以上の病気を定めました。
 このように鍼灸医学はこの数十年で世界的地位を獲得するに至りました。欧米では東洋医学は新しい医学なので、良いものはどんどん取り入れているのです。
 今日又、我が国においても鍼灸を見直す環境が出来上がりつつあります。
 
○ 経絡治療とは?
 経絡治療は、この病気にはこの経穴をというような病名治療とは異なり望・聞・問・切の四診法によって病の本質としての証を導きだし、その証に従って気を調整する治療法、即ち随証療法です。その治療理念は「脉診・証・補瀉」という言葉に集約されています。 

 東洋医学において病気とは、身体の隅々を巡っている経絡(生命エネルギーの流れるルート)のアンバランスから起こると考えます。
 このアンバランスを鍼や灸を用いて調整し、生命エネルギーを五臓六腑に行き渡らせるように治療するのが、
経絡治療です。
 
経絡治療では、それぞれの症状に対して直接治療を行うのではなく、生命力を強化することにより、様々な症状を消失・和らげることができます。
 東洋医学には、「未病を治す」という考えがあります。病気にならない、なりにくい身体を作るためにも、定期的な治療をお薦めします。
                                    

○  気  
 気」の概念は、古代中国を起源とします。これは元来非常に広範囲に使われる言葉で、見えない物、物の働き等を「気」と呼んだのです。天気・電気・元気・病気・志気・気持ち・気が晴れる等のように、日常使われている「気」です。
 東洋医学、とりわけ経絡治療においては
「気」を抜きにしては成り立ちません。
 人体においては、腎には腎の気があり、肺には肺の気があって、各々の器官それぞれの働きを為しています。また、これらの器官をつなぐ経絡というものがあり、これらもそれぞれの性質(独自の気)を持ていて、体の栄養や生理的活動を行っていると考えたのです。
 ちなみに、西洋医学にはこの気の概念はありません。
 「病は気から」と言います。事実、
「気」の乱れ(不調和)から病気は起こります。
 経絡治療はこの
「気」の乱れを調整する治療法なのです。
○  西洋医学と東洋医学 
 どちらも病気を治すという目的では一致していますが、考え方は大きく違います。
 西洋医学(近代医学)では、細胞や組織、臓器ごとの異常を診断して病名を定め、これに基づいて治療が行われます。
 病院にかかればよくわかるとおり、まず検査をして病気の原因をさぐり、その原因を取り除く(主に薬、時に手術など)ことによって病気を治すものです。
 その結果、感染症にはすぐれた効果を表し、先端的な技術で致命的な病気も治療できるようになりました。
 しかし病院に行っていろいろ検査をしたけれど、データに異常な数値が出ない。これといった病名もつかず、お医者さんには「特に悪いところはありません」と言われ、仕方なく帰ってきた、なんて経験をされた方もいる事でしょう。
 逆にうんざりするほどの検査と薬の服用で「よけいに悪くなった」と感じる方もいるかもしれません。
 
 一方、東洋医学では身体は一つの小宇宙で、病気は全身のバランス(自然治癒力や免疫力)に乱れがあった時に起こると考え、それを正せば病気も治るという考えに立っています。
 この全身の不調和を整えるための治療法の判定に重きをおき、患者さんの個人差を重視して治療を行う、これを「随証治療」といいます。
 「証」とは、頭痛、下痢といった個々の症状を表す言葉ではなく、患者さんが現わす種々の症状を総合的に観察した上で、どんな治療をすれば治癒するかを診断するものです。例えば、肺虚肝実証、これは肺と脾経を補い、肝経を瀉すという治療になります。

○ 鍼灸治療に対するよくある質問
Q1  治療法は?
A1  脈・お腹の状態・皮膚の艶などを観察し、一人一人の体質・体力・全身の状態を充分に把握します。そして、五臓六腑の機能的アンバランスを診断し、調整します。
Q2  鍼は痛くないの?
A2  経絡治療用の鍼は、髪の毛より細く、深く刺さないので、痛みや不快感はありません。むしろ、心地良い感覚があります。
Q3  お灸は熱くないの?  
A3  経絡治療のお灸には2通りあります。
1.熱を通すお灸(ごま灸)は、灸点紙を使いますのでチクッとするくらいで、痕も残りません。
2.患部を温めるお灸(温灸)は、大変気持ちの良いものです。
Q4  鍼の消毒は万全?
A4 ディスポ鍼(セイリン)の画像 保健所や鍼灸師会の指導に基づき、使い捨ての鍼の使用や、滅菌器による消毒を行っています。
Q5  治療の間隔は?
A5  一般的に、急性症は短期間に集中的に、慢性症は週に1.2回の治療を定期的に行うのが理想的です。
 東洋医学には「未病を治す」と言う考えがあり、病気にならないなりにくい身体を作るために、定期的な治療をお薦めします。
Q6  治療時間は?
A6  当院での治療時間は、だいたい20分から30分程度としていますが、症状や体質などによって多少かわってきます。特に子供さんの場合は、敏感で気血のめぐりがよいので、5分から10分程度で済ますことができます。
 治療時間が長く、刺激が強い方が効くかというと、そうでもありません。
 何事にも適量というものがあります。たとえば薬でも1錠で効くのだから、その倍の2錠飲めばもっと効果が上がかというと、そうでもありません。かえって副作用が心配です。
 鍼灸の治療はできるだけ短時間に、少ない鍼数で治療する方がよいようです。

○ 経絡治療はこんな人にお薦め 
 アトピー、花粉症などの各種アレルギー疾患や風邪をひいた時
 肩こり、頭痛や五十肩、腰痛、膝の痛みなどの運動器疾患
 生理不順、更年期障害などの婦人科疾患、および産前産後の体調を崩した時 
 ストレスによる各種の心身の不調
 虚弱体質の解消など
 病気にならない、なりにくい身体を作り、介護のお世話にならぬように、ボケの予防に効果があります。お気軽にご相談ください。
WHO(世界保健機構)による鍼灸の適応症

○ 受診上のご注意
1  脈を診ながらの治療ですので、心身を落ち着かせるために、治療前5分程お休みいただきます。
2  現在の不快な症状は全てお話ください。
3  現在服用している薬があればお知らせください。
4  治療を受けられた日は、激しい運動、飲酒、長時間の入浴などは避けるようにしてください。

○ 安産の灸    
お母さんになられる方へ
 
漢方医学にはつわり・安産等のための名灸穴がたくさんあります。このすばらしいものを、少しでも多くの方に知っていただき、実行していただきたい。
 このお灸は、お産を楽にし、赤ちゃんが元気に」生まれ、良いおっぱいがでて、産後の肥立ちを良くする、素晴らしいお灸です。
★★お灸の効果★★
 お母さんの体調を整え、妊娠中の足のむくみやだるさが取れ、出産時には陣痛が軽くすみます。また、子宮内の胎児の条件を整え、先天的な元気を持って、胃腸の丈夫な子供が生まれます。
★★安産の経穴(三陰交)とお灸のすえ方★★
 三陰交のお灸は妊娠5ヶ月を過ぎ、胎動を感じたら始めるのが良いでしょう。
 最初は3壮くらいから、月数が進むにつれて数を増やし、出産日前には20〜25壮くらいになると良いでしょう。
 三陰交は内くるぶしの上方6〜8cmくらいの所で、脛骨の後ろを押すと痛い所です。最初に経穴の位置とお灸のすえ方を教えてもらえば自分でできます。
 もぐさの大きさは米粒大かその半分くらいが良いでしょう。

 *胎児の位置異常(逆児)にもお灸は大変良い効果があります。
  お産は特別な異常がない限り、なるべく手を加えず、自然に任せるのが最も良い方法です。 
 毎日、三陰交にお灸をすえることで一人でも多く丈夫な赤ちゃんが生まれることを願っています。

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