★★★ 健康情報 ★★★

・新聞記事などからの抜粋です。


酒を飲んでトイレが遠い人は要注意 腎機能の低下、病気の可能性も
 お酒を飲んでトイレが近くなる人と、ならない人がいます。
 アルコールには利尿作用があるといわれますが、そもそも利尿作用とは何なのでしょうか。人の体内の水分量は体重の約60%と言われていますが、水分といっても真水ではなく、さまざまなものが溶け込んでおり、浸透圧という微妙なバランスの下、常に細胞が正常な働きができるよう調節されています。
 水分量は増えすぎても減りすぎても、体に悪影響が出るもの。例えば、汗をかけば不足した水分を補う必要があるし、水分が増えすぎた場合は高血圧やむくみの原因にな ります。これは、脳の下垂体からバソプレッシンという抗利尿ホルモンが分泌され、腎臓に指令を出し、尿量を調節することで体内の水分量を一定に保つ働きをしているからだとか。
  利尿作用とは尿を産生することにより体内の余分な水分を排出する作用のこと。お酒には水分が多く含まれていることと抗利尿ホルモンの分泌を抑制するために、利尿作用を発揮し、トイレが近くなると言えます。
 それが行き過ぎてしまうと、本来必要な水分まで失い、脱水状態に陥り、水分補給が大切になってきます。
  よく塩分のとりすぎは高血圧を招くと言われますが、塩分が濃いと体内のナトリウム濃度を薄めるために水分が取り込まれ、体液量を増やし高血圧の要因の一つになるわけです。
 腎臓はろ過装置の役割をしており、老廃物の排出や尿量・電解質濃度を調節した後、ほとんどは血液に戻るものです。
  お酒を飲む前にトイレを済ませておいた、がぶ飲みしていない、膀胱に貯められる量が多いなどで頻繁にトイレに立たずに済むということも考えられますが、尿量が減る病的な原因として腎機能の低下やそれ以外の病気も考えられますので、オシッコの出が悪い人は一度内科で調べてもらった方がいいかもしれません。
 たくさん飲んでるのにトイレが遠い人は、要注意!(夕刊フジより)

たばこ 喫煙男性の死亡率1.6倍
――厚労省4万人を10年間追跡――
 たばこを吸う人は,がんや心臓病などの病気にかかりやすく、死亡率は吸わない人に比べ男性で約1.6倍、女性で約1.9倍も高いことが、厚生労働省の10年間にわたる追跡調査で分かりました。
 研究班は、亡くなった男性のうち5人に1人は「もしたばこを吸わなければ死亡を防げた」と結論づけでいます。煙草と健康について、あいち健康プラザへ
 調査は、岩手、秋田、長野、沖縄の各県に住む40〜59歳の男女約4万人が対象。喫煙者、吸っていたが禁煙した人、吸ったことがない人の3グループに分け、10年間の死亡率を比較しました。
 喫煙者の死亡率を吸わない人と病気別に比較すると、がんは男性で約l.6倍、女性で約1.8倍。心臓病や脳卒中などの循環器疾患は男性で約1.4倍、女性で約2.7倍にのぼりました。
 亡くなった喫煙男性646人のうち、225人は、もし喫煙しなかつたら死亡を防ぐことができたと推計され、男性の死亡者全体(1014人)の22%を占めています。
 飲酒や食生活など喫煙以外の生活習噴の影響を統計的に調査した上で、データ解析をしており、「喫煙者の生活スタイル」ではなく、「喫煙そのもの」が寿命を縮めることが明確に示されました。
 一方、禁煙した人の死亡率は、もともと吸わない人と統計的にはほとんど差がありません。吸わない人と同レベルまでリスクが下がるのにかかる時間は病気によって差があり、肺がんは20年程度とされるのに対し、心筋梗塞では禁煙直後からリスクが下がるとされています。
 研究班の主任研究員を務める津金昌一郎・国立がんセンター臨床疫学研究部長は「一刻も早くたばこをやめることが長生きのためには大切。今からでも決して遅くはない」と言っています。(朝日新聞より)

メガネ 生活に合わせ、疲れを防ぐ
 見えていれば、ただ度が合っていれば、『メガネが合っている』のではありません。
 目についての健康情報、日本眼科医会へ例えば、近視用のメガネは遠くが見えやすくしてありますが、近視でも手元の作業が多い人にとっては、近くを見るのにピント合わせの負担が大きいのです。
 それでも見えているので、本人はメガネが合っていないとは気づきません。それが目の疲れやドライアイだけでなく、肩こりなどの原因にもなるのです。
 *メガネは目的考えて選びましょう。
 メガネには、目に入った光の屈折の状態に合わせてそれぞれタイプがあり、レンズの度は、視力を1.0くらいに矯正してくれる強さを選びましょう。
 ただし車の運転が多いような人ならそれでいいのですが、パソコン作業など手元を見る時間が長い人は、少し弱めに調整してもらうか、手元用のメガネを別に作ったり、近くも見えやすい「累進多焦点レンズ」にしたりする方がいいでしょう。
 大事なのは、使う人の生活環境や目的を考えて選ぶことです。

 目の屈折異常
 正視は、目に入った光が水晶体で屈折し、ピントがちょうど網膜上にきます。近視ではそれが網膜の手前にずれて、遠くのものが見えにくいのです。
 遠視では逆に、ピントが網膜の後ろになります。「遠くがよく見える」と誤解されがちですが、無意識に目の調節機能を働かせて見えるだけ。目の負担が大きく、子どもは根気がなくなることも。乳幼児期に放っておくと弱視になる可能性もあります。
 乱視は、角膜や水晶体のゆがみで起こり、ものがかすかにだぶって見えます。
 老眼では、近くを見るときの目の調節機能が衰えています。(朝日新聞より)

薬と食品 飲み合わせにご注意
 薬の中には、特定の食品や飲み物と相性のよくないものがあります。一緒に飲むと薬が効き過ぎたり、効かなくなったりします。併用を避けたほ
うがよい健康食品も報告されています。いま、飲んでいる薬にちょっと、関心をはらってみましょう。

表・相性の悪い薬と食品1 納豆と相性の悪い薬
 心臓病や脳こうそくなどの予防、治療で広く使われている薬・ワルファリン。
 納豆菌により生成されるビタミンKには、血液を固まりやすくする作用があり、血栓を防ぐ薬効が抑えられる。

2 牛乳との併用を避けたほうがいい薬

 テトラサイクリン系の抗生剤や骨粗鬆症の治療薬・ダイドロネル。
 牛乳中のカルシウムと薬の成分が結合して、水に溶けなくなってしまうため効き目が弱くなる。

3 グレープフルーツジュースと相性の悪い薬

 高血圧や狭心症の治療薬、カルシウム拮抗剤。
 薬が効き過ぎてしまうほか、副作用が出ることがある。

4 アルコールと相互作用を起こす薬

 ハルシオンなどの睡眠薬。
 お酒と体内で混ざると、薬効が増強され、記憶障害などの副作用を起こす事がある。

 その他、食べ物だけでなく、健康食品、サプリメント(栄養補助食品)との併用も注意が必要です。 (朝日新聞より)

お酒が飲めない理由
 気心の知れた仲間で集まって、ワイワイ言いながらの食事は楽しいものです。お酒があればもっと楽しいと言う人は多いのですが、我が国では20人に1人ぐらいの割合で、体質的に一口のビールも無理な人がいます。
 ライコス健康ライブラリー−お酒へ慣れれば飲めるようになるかもしれない、と何度挑戦してもつらい体験を繰り返すだけで、飲めない人が飲めるようになる事は殆どありません。そのような人は、アルコールから生成されるアセトアルデヒドを解毒する酵素を、生まれながら持っていないのです。
 両親がともにお酒が飲めないと、その子供は必ずと言っていいほど飲めません。アルコール摂取の可・不可は遺伝するのです。この体質に深く関与する遺伝子が突き止められたのは、比較的最近の事です。
 この遺伝子は、アルデヒド脱水素酵素遺伝子(ALDH2)で、12番染色体に存在します。アセトアルデヒドを酢酸に解毒するこの酵素には、グルタミン酸型(Glu型)とリジン型(Lys型)の二つがあり、G型は、解毒作用があるのに、L型にはその作用がありません。
 この酵素の型は、ALDH2遺伝子の型によって決定され、両親からG型の遺伝子を引き継げばG−G型、片方の親からL型を引き継げばG−L型、両方ともL型遺伝子の場合にはL−L型となります。通常、このL−L型の人は、お酒を飲むことができません。
 日本人では、G−G型がおよそ60%、G−L型が35%、L−L型が5%です。
 G−L型は、アセトアルデヒドを解毒することができますが、G−G型に比べれば解毒力はかなり弱いのです。G−L型の人がT合(180ミリリットル)飲むことは、G−G型の人が2〜5合飲むのに匹敵し、G−L型の人の飲酒による体への負担は、G−G型の人から予想される負担よりもずっと大きくなります。
 アルコール類は、自分の体質にあった量の範囲で楽しむことが肝要です。まして、飲めない人に飲酒を強いるのは大変危険な行為です。急性アルコール中毒で最悪の場合は死に至ります。また、飲める人でも個人の許容量を越えれば、頭痛・吐き気などの、所謂二日酔い症状に見舞われます。
 飲酒と体質の関係は、会食を楽しむための基礎的な知識なのです。(東京新聞より)

「ITボケ」にご用心
 現在、手帳を持たない人たちが急増しています。携帯電話やPDA(携帯情報端末)でメモをとる若者だけでなく、40−50代のサラリーマン世代にも浸透し始めており、ペーパーレス生活が世代に関係なく日常化しつつあります。
  しかし、この現象の裏で「副作用」も現れ始めています。毎日頭を使っているはずなのに、電話番号や住所はおろか、人の名前までもが覚えられなくなったり、言われたばかりのことを忘れてしまう。忙しく働いているけれど、人付き合いはわずらわしい。こんなことに思い当たるなら、「IT(情報技術)ボケ」の始まりかもしれません。早めに見つけて、脳の「劣化」を防ぎましょう。

 最近、「物忘れが激しい」と病院に相談に来る20〜30代が増えています。これまで同様の相談は主に50〜60代の人ばかりだったのがいまでは半数近くを40歳未満の患者が占めるそうです。

 「脳機能の低下は、記憶力に最もよく表れる。脳そのものに問題はないのに、ボケている」その最大の理由がITの普及。
 脳は、入ってきた情報を処理することで働くが、「入力」だけでなく、文字にしたり話したりする「出力」で、初めて作業が完結する。ところが、パソコンや携帯電話に囲まれた現代社会では、他人と直接接触する機会も減り、情報は一方的に入るばかり。

 車にカーナビがあれば、初めての場所も迷わずに行ける。「IT社会は、歩いて山登りしていたのを、エレベーターで頂上に行くような社会」です。

 海外では「パソコンや携帯電話から発する電磁波が記憶力を低下させている」という実験結果も報告されているが、ある専門家は現在の便利な環境にも原因があると言います。

 記憶力は筋肉と同じように、使わないと衰えます。パソコンや携帯電話に覚えさせようとすれば、自分の記憶力が衰えるのは当然です。
 決して年齢のせいだけでなく、最近、「物覚えが悪くなった」「漢字をよく忘れる」と感じる人は、パソコンやPDA、携帯電話といった文明の利器が脳を「運動不足」にさせているのかもしれません。

 では、どうすれば「脳力」低下を防ぐことができるでしょう。
 まず、ITで得られた時間の余裕は、失った脳の活動の機会を取り戻すためにある、と考える。ここで大事なのが、創造的な作業をすることです。
 文章を書くのはもちろん、思い出せない漢字を辞書を引いて確認し、それを大きく紙に書く。絵を描いたり、歌を歌ったり家事をしたり。周囲を散策するのだっていい。
 何より専門家が勧めるのが「人付き合い」。生身の人とのやりとりほど、次の展開を予測できないものはない。相手の目を見、声の調子を聞くなど、五感を最大限に働かせ
ながら、言葉を選ぶため、「最もよく脳を使う作業になる」。
 相手の都合を気遣わずにすみ、目線も合わせない電子メールを職場の同僚に送るなんて、もってのほか。それより、お昼に誘って会話を楽しみましょう。 

ITボケ度チェック
 あなたのITボケ度はどのくらい? 評価の際は、3年前の自分と比べる。職場の同僚にも評価してもらいましょう。

【IT生活度】各1点
(1) 家族か職場の人としか会話をしない日がほとんど
(2) 友達とのやりとりの80%はメールのみ
(3) カーナビがあるので、車に地図は置いていない
(4) クレジットカードにサインをする時くらいしか文字を書かない
(5) 休日は外食も面倒。カップめんなどで済ませてしまう

【IT不注意度】各2点
(1) レンタルビデオ店で、同じ映画と気づかずにまた借りた
(2) 会社に遅刻する日が多くなった
(3) 電車に乗ると、平気で出入り口をふさぐように立つようになった
(4) 汚れた服を平気で何日も着られるようになった
(5) 初めて会ったと思っている人に「前に会った」と言われた

【IT障害度】各3点
(1) 覚えている電話番号は、会社と自宅の2件しかない
(2) 映画やドラマを見ていてもすぐ飽きる
(3) 「同じ話をしている」と同僚から指摘されることが多い
(4) 前の食事の内容が思い出せない
(5) 駅のホームで人とぶつかっても悪いと思わない、または腹が立って大声を出した

【判定の目安と処方せん】該当事項の点数を加算し、
6−10点 「IT依存症」の傾向あり。孤立化しつつあるので、毎日必ず家族以外の人と会話をしましょう。

11―15点 「注意力低下」が見られます。下を向いて歩いていることが多いので、前を向き、ゆっくり歩いて周囲を見渡すくせをつけましょう。

16点以上 「記憶障害」の疑いあり。脳機能の障害や心の問題がないか調べるため、脳神経外科、精神科または神経内科を受診しましょう。(読売新聞より)

糖尿病の予備軍が大幅増加!
――厚労省「平成14年 糖尿病実態調査」――
 昨年11月に全国の20歳以上の男女を対象に行われた糖尿病実態調査の結果が発表されました(集計サンプル数5,792人)。

◆成人の約6人に1人が糖尿病またはその予備軍!
 調査の結果、「糖尿病が強く疑われる人(治療中含む)」は全国で約740万人、「糖尿病の可能性を否定できない人」を合わせれば約1,620万人と推計されています。5年前の調査時にはそれぞれ約690万人、約1,370万人だったことを考えれば、状況はさらに悪化しているといえます。年代別に見ると、前者の「強く疑われる人」の割合は男性の60代・70代、および女性の60代で増えており、それ以外の年代では減少。一方、後者の「可能性を否定できない人」(つまり予備軍)となると、男性の30代・40代および女性の20代を除いては、すべての年代で増加しています。若い人でも決して油断できないのです。
◆治療を受けている人はわずか半数
 「糖尿病が強く疑われる人」に治療の有無をたずねたところ、「現在治療中」の人が50.6%、「中断した」人が7.5%。そして残りの41.9%は治療を受けていません。なかでも、過去に住民健診・職場健診・人間ドックなど糖尿病の検査を含む健診を「受けたことがない」という人においては、約9割が治療を受けないまま糖尿病を“放置”していることも判明。糖尿病は初期には自覚症状があまりなく、症状が出たときにはかなり進行していることが多いのです。検診の必要性を改めて感じます。
◆合併症の実態は?
 糖尿病の怖さは、合併症にあります。なかでも神経障害・網膜症・腎症は3大合併症といわれています。今回の調査では、合併症の出現状況についても調べていますが、それによれば、糖尿病で現在治療を受けている人のうち、神経障害を合併している人は15.6%、網膜症13.1%、そして腎症は15.2%です。
 また、「糖尿病が強く疑われる人」は、そうでない人に比べて、心臓病や脳卒中にかかる確率がはるかに高いこともデータではっきり出ています。

→詳細は http://www.mhlw.go.jp/shingi/2003/08/s0806-4.html

新・医者にかかる10か条
 大阪にあるCOML(コムル・ささえあい医療人権センター)が、厚生省の「患者から医師への質問内容・方法に関する研究班」の依頼により作ったもので、その内容がたった10箇条に簡素にまとめられています。
 これはインフォームド・コンセントの普及のために、医療側の対応だけでなく患者も主体性をもって受診しなければいけない、ということを啓蒙するためにつくられたものです。
 医療だけでなく、鍼灸の受診の際にも言えることなのでここに取り上げてみました。

 賢い患者になりましょう。私たち一人ひとりが「いのちの主人公」「からだの責任者」 
1)  伝えたいことはメモして準備 
2)  対話の始まりはあいさつから 
3)  よりよい関係づくりはあなたにも責任が 
4)  自覚症状と病歴はあなたを伝える大切な情報 
5)  これからの見通しを聞きましょう 
6)  その後の変化も伝える努力を 
7)  大事なことはメモをとって確認 
8)  納得できないときは何度でも質問を 
9)  医療にも不確実なことや限界がある 
10) 治療方法を決めるのはあなたです

 →詳細はCOML http://www.coml.gr.jp/ 

上手な水分の取り方(脱水症予防)
 このところ連日の猛暑酷暑です。東京都心では7/20に気温39.5度を記録しました。
 熱中症で病院に運ばれる方も各地で続出しています。

 人が汗をかく量は通常500mlですが気温が35度以上になると1.5L〜3Lにもなります。
 人は汗をかいて血液が濃縮されるとホルモンが分泌されます。これを脳内の受容体がキャッチしてのどが渇いたことを認識し、水を飲みます。しかしお年よりはホルモンは出ますが受容体の数が少ないので口渇感低下の為気づきが遅く水を飲むのが遅れてしまいます。
 脱水症になると次のような症状になります。
 のどが渇く
 尿がこくなる
 舌や皮膚が乾く
 意識もうろうとなる
 立ちくらみ
 脈がはやくなるなどです。
 脱水症の予防としてはたくさん水を飲むことです。お年寄りはその習慣がないので時間を決めて飲むなどの工夫が必要です。3度の食後と午前10時午後3時夜の9時の計6回で1400mlを目安にし暑い日はその倍ぐらいは飲んでも良いと杏林大学の鳥羽研二教授は言っています。
  飲み物はスポーツドリンクが好ましいがお茶でも水でも構いません。さらに少量の漬物などと一緒にとるとミネラルが補給できます。
  熱中症予防としては
 直射日光は避ける
 動いた後は首や脇の下など動脈に近い部分に冷たいタオルをあてる。
 暑い日の散歩は1時間に1回は日陰で休むなどです。 (毎日新聞より)

笑いが血糖値を下げた!
 国際科学振興財団の「心と遺伝子研究会」(代表=村上和雄筑波大学名誉教授)は、糖尿病患者に漫才を見せ、笑ったあとに血糖値を計測するユニークな実験を行った。その結果、笑いによって血糖値が大幅に低下することが実証された。

  “笑い”のある・なしで血糖値に大きな差 
 この実験が行われたのは、2003年2月11日と12日。笑いのエンターテイメント企業、吉本興業の協力によって実現した。

 被験者になったのは、つくば市周辺に住む中高年の2型糖尿病
(注参照)患者21人で、2日とも昼食をとって2時間後に血糖値を測定した。ただし、1日目は測定の1時間前から、糖尿病のメカニズムに関するつまらない講義を聴いてもらい、2日目は吉本興業所属の漫才コンビB&Bのステージを見せ、思う存分笑ってもらった。

 その結果、21人の食後血糖値(食後2時間)と空腹時血糖値との差は、講義を聞いた1日目が平均123mg/dlだったのに対し、漫才を見た2日目は平均77mg/dl。46mg/dlもの大きな差は、予想をはるかに超えるもので、被験者である糖尿病の患者たちも、実験にかかわった糖尿病の専門医も驚きを隠せなかったという。

  笑いや感動が眠っているよい遺伝子をオンにする 
 「心と遺伝子研究会」代表の村上和雄氏は、「この実験から、“笑い”によって多くのよい遺伝子のスイッチがオンになる、という世界で最初の結果が得られた」と語る。

 「遺伝子には、世代を超えて情報を伝達するという大切なはたらきがあります。しかし、私たちの体内で生命の維持に必要な物質をつくりだしているという、もう一つのはたらきについては、意外に知られていません。遺伝子は、いわばからだの司令官で、血糖値のコントロールにも密接にかかわっているのです」と村上氏。

 近年、遺伝子についての研究が急激に進み、膨大な遺伝子のう
ち、実際に活動している遺伝子がせいぜい10%程度で残りは眠っ
たままであること、さらに、眠っている遺伝子が周囲の環境や外からの刺激によって目を覚ますということが明らかになった。

 「つまり、よい遺伝子のスイッチをオンにできれば、私たちの可能性は飛躍的に向上するということです」(村上氏)

  2型糖尿病の発症メカニズム解明につながる可能性も 
 今回の実験では、一般の学生を被験者とし、実際に、どの遺伝
子がスイッチオンになり、どの程度活動したのかということも解析中で、近々結果がでる。また、糖尿病の人を被験者にして同じ実験を行う準備も進められているという。その後も、血糖値の低下の持続性を調べる実験などを続け、データを積み重ねていく予定だ。

 「こうした研究は、まだ明らかになっていない2型糖尿病の発症メカニズムの解明や、“笑い”による新たな治療法につながる可能性があります。高血圧やがんなど、ほかの生活習慣病についても“笑い”の効果を調べていきたいですね」と村上氏。

 「“笑い”や“喜び”“感動”などによって眠っているよい遺伝子を目覚めさせることができれば、どんな人でも隠れた能力が開発され、可能性が何倍にも広がっていくのだということを研究をとおして示していきたい」と、熱く語る。

 (注)2型糖尿病
遺伝的素因に過食や運動不足などの生活習慣が加わって誘因になるとされるが、発病のメカニズムについては明らかになっていない。糖尿病全体の九割以上を占め、インスリン非依存型糖尿病ともいう。

●心と遺伝子研究会
 20年以上にわたって遺伝子研究を続けてきた村上氏には、7〜
8年前から、「“笑い”“喜び”“感動”など、(その人の)思いが遺伝子のはたらき(オン・オフ)を変える」という経験に基づく確信があったという。そして、その仮説を科学的に証明する目的で、2002年8月に立ち上げたのが、「心と遺伝子研究会」である。
 笑いによって血糖値が大幅に下がったという今回の実験結果は
、自らの仮説を裏づける結果となった。(asahi.com・暮らしと健康コラムより)