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●「体にいいもの」は人によって違います

 
自分の体に興味をもち、健康のためにいろいろ努力をするのは、基本的にはいいこと…のはず。
 でも、テレビ番組で「体にいい」と紹介された食べ物やサプリメントが、翌日のスーパーやドラッグストアで売りきれ続出、などというのは、ちょっと行き過ぎという気がしないでもありません。

 人間は、ひとりひとり体が違いますし、体をとりまく環境や生活習慣もまた人それぞれ。とすれば、「体にいい食べ物」や「体にいいこと」も違って当たり前なのです。万人に効く薬がないのと同じで、誰もが健康になれる食べ物はないと考えるべきでしょう。

 実際に体にいいもの、悪いものをみきわめるためには、まず、自分の体を知ることが大切。体の弱点や体質傾向などが分かっていれば、「唐辛子は代謝をよくするというけれど、ふだんから体がほてりやすい私には不向き」とか、「生野菜は体にいいと思っていたけれど、胃腸が弱い私には温野菜のほうが合っている」といった判断ができるようになるからです。

 自分の体質傾向が知りたい、という方は、次のチェックをぜひどうぞ。
●体質チェック

 自分の体質を知るためには、まず、ふだんの生活習慣や食べ物の好み、現れやすい症状などをチェックすることが大切です。どのタイプになるかぜひ試してみてください。各タイプごとのチェック数が多いほど、その体質傾向が強いということになります。

 A) エネルギー不足タイプ
 B) 冷え性タイプ
 C) ストレス過多タイプ
 D) 血のめぐりが悪いタイプ
 E) 潤い不足タイプ
 F) 血不足タイプ
 G) 体に熱がこもったタイプ
 H) 水分過剰タイプ
 

A) エネルギー不足タイプ
 1.疲れやすくて、いまひとつ元気が出ない。
 2.朝、なかなか起きられない。
 3.かぜをひきやすく、ひくとなかなか治らない。
 4.どちらかというと軟便・下痢傾向。
 5.声が小さい。息切れもしやすい。

 元気が出ない理由は、ずばり、エネルギー(気)が不足しているから。重労働をしているわけでもないのに、いつもだるくて疲れやすいのは、もともと胃腸が弱かったり、食生活に問題がある場合が多いようです。
 というのも、胃腸の消化吸収力が落ちていると、食べたものを効率よくエネルギーに変えることができないため。病気から体を守るためには、まず自分の胃腸のキャパシティをよく知って、負担をかけないようにすることが大切です。

暴飲暴食は禁物。ごはんと温野菜中心の和食を。ヤマイモやインゲン豆など、エネルギー不足を補う食べ物もおすすめ。
食事の前の冷たい水やビールは、胃腸の機能を鈍らせるもと。ほどほどに。
お刺身、生卵、生野菜などのなまものや、水分のとりすぎに注意。


B) 冷え症タイプ
 1.手足がいつも冷たい。
 2.寒がりで冬が嫌い。夏も冷房は苦手。
 3.冷たい飲み物はあまり好きではない。
 4.体がむくみやすい。
 5.指先は単に冷たいだけでなく、ヒリヒリするような痛みが生じることもある。

 「別に病気じゃないから」と、冷え症を放っておく人も多いようですが、冷えは万病のもと。生理痛や肩こり、便秘の原因になることもありますし、代謝が悪くてむくみやすくなる場合もあります。
 ただ、若いうちの冷えは、体質的なものというより、生活に問題がある場合がほとんど。冷えるのが手や足の先だけなら、運動不足が原因で、気や血が末端までめぐっていないせいかもしれません。また、あまり意識もせずに、冷たい水やお茶、ジュース、アイスクリーム、果物などをたくさんとっている傾向があるようです。こういう生活を続けていると、いずれは正真正銘の冷え症になってしまうので、少しずつでも生活を改善していくようにしましょう。

ショウガ、ネギ、ニラ、シナモン、山椒、シソ、など、体を温める食材を多めに。
生で食べる野菜や南でとれるフルーツには、体を冷やすものが多い。食べすぎに注意。
おなか・腰・足首を冷えから守る服装を。


C) ストレス過多タイプ
 1.イライラしやすい。
 2.悩みごと、心配ごとを抱えている。
 3.おなかにガスがたまって、張ることが多い。
 4.ちょっとしたことでも、ヒステリックに反応してしまう。
 5.生理前になると、胸が張って痛んだり、怒りっぽくなったりする。

  「気」というエネルギーは、体の中をのびのびとめぐっているのが健康な状態です。ところが、ストレス過多な生活を送っていたり、いつもテンションの高い状態が続いていると、この「気」のめぐりが滞りがちになってしまいます。「妙にイライラする」「胸やわき腹、おなかなどが張る」といった症状は、「気」がめぐりにくくなっていることを示すシグナルです。
 なお、気と血は体の中を一緒にめぐっているので、気の滞りがあると、だんだんと血も流れにくくなって、次の「血のめぐりが悪いタイプ」のような症状が現れることがあります。「若いから大丈夫」などと、がんばりすぎてストレスをためこまないよう気をつけましょう。

ストレスを上手に発散する方法をみつけよう。
香りのよい食べ物(三つ葉、ミント、紫蘇、柚子など)には気をめぐらせる作用が。ジャスミンティもおすすめ。
1日の終わりは、アロマバスやマッサージでリラックス。


D) 血のめぐりが悪いタイプ
 1.肩こりがひどく、頭痛を伴うことも多い。
 2.唇や歯ぐきが暗紅色でツヤがなく、顔色もどす黒い。
 3.肌荒れや染みやソバカスが気になる。
 4.抜け毛、切れ毛が多い。
 5.生理痛がひどい。

 血のめぐりが悪くなる原因はさまざまですが、若い女性に多いのは、ストレスから気が滞り、その影響を受けて血も滞りがちになるというケースです。最近、子宮内膜症や子宮筋腫などの婦人病が増えていますが、これも血の滞りと大きく関係しています。対策としては、まず、できるだけ冷えとストレスを寄せつけない生活を送ることが大切です。

ストレスは大敵。なるべく気持ちをゆったり持とう。
血行をよくする運動やストレッチを、もっと積極的に。
サフラン、紅花、シナモン、黒キクラゲ、ワカメ、ラッキョウ、生姜、タマネギなど、気血をめぐらせる効果がある食べ物を上手に利用しよう。


E) 潤い不足タイプ
 1.手のひら、足の裏がほてる。
 2.寝汗をよくかく。
 3.のどが渇きやすい。
 4.かぜをひいたあと、空せきが残りやすい。
 5.暑いのは苦手。夏は疲れやすくなる。
 
 体の潤いが不足すると、肌の乾燥やのどの渇きなど、熱による症状が現れやすくなります。この症状を改善するためには、「潤いを補って、熱症状をさます」という方法が最適です。
 といっても、潤いが足りないからと、水をがぶがぶ飲むのも問題。このタイプは食欲が旺盛なわりに、胃腸の働きがしっかりしていないため、水分代謝に問題が起こる可能性があるからです。潤い補給は、食事の中で野菜をたっぷりとったり、みずみずしい果物を食後に食べるというのが賢い方法です。

潤いを増やす作用を持つ白キクラゲや百合根などがおすすめの食べ物。体を熱くして潤いを奪う、トウガラシ、コショウ、山椒などの香辛料、脂っこい食べ物は少量に。
●長時間のサウナは、潤いとエネルギーを消耗してしまう。汗をかくならスポーツで。
ストレスや過労も潤い不足の原因に。くれぐれもご注意を。


F) 血不足タイプ
 1.顔色が青白く、立ちくらみやめまいがある。
 2.肌や爪にツヤがなく、かさかさしている。髪の毛も傷みやすい。
 3.不眠気味。
 4.動悸が気になる。
 5.月経量が少ない(または、以前より少なくなった)。

 血は、内臓や組織に栄養を与える大切な存在。その血が不足すると、立ちくらみやめまいを起こしやすくなり、髪や肌も十分な栄養が受けられないためにだんだんとツヤがなくなってきます。生理も不順になって、ひどいと無月経になることも。また、血とともに体のエネルギー源である「気」も不足しやすいため、疲れやすい、だるいといった症状も現れやすくなります。
 また、過労やストレス、睡眠不足なども血の不足の原因になりますので、生活面での注意も大切。それから、過激なダイエットも大敵です。ご注意を。

不足した血を補うために、野菜ばかりでなく、肉類やレバーなども適度に食べよう。
補血作用のある黒キクラゲ、黒ゴマ、ヒジキ、黒砂糖、レバー、鶏肉、小松菜、ほうれん草、プルーン、枸杞の実、金針菜、ナツメなどを上手に食生活に取り入れて。
宵っぱりの朝寝坊は、血を消耗する原因に。せめて12時〜5時は睡眠のコアタイムに。


G) 体に熱がこもったタイプ
 1.暑がりだが、夏も元気いっぱい。
 2.いつものどが渇いている。
 3.冷たい飲み物が大好きで、何杯でも飲める。
 4.食欲旺盛で、肥っている。
 5.便秘しやすい。

 この体質傾向がある人は、よく動き、よく食べ、よくしゃべり、いつもパワフル。
 病気など縁がなさそうに見えますが、自分の体力を過信して自爆…という危うさも兼ねています。特に、まだ若いのに、コレステロールや中性脂肪の値が高かったり、糖尿病や痛風の気があるといわれた人は注意が必要。今のうちから食べすぎ・飲みすぎの生活を改めないと、将来しっぺ返しを食らうことになります。適度な運動を習慣づけて、脂っこいものよりは和食を選ぶといった工夫を。

体をほてらせるトウガラシやニンニク、脂っこい料理は控えめに。
体の熱をさましてくれる、豆腐、海藻、大根、春雨、キュウリ、トマト、ニガウリなどをもっと食べよう。
体力の過信は禁物。徹夜仕事や夜遊びもほどほどに。


H) 水分過剰タイプ
 1.顔や手足がむくみやすい。
 2.湿気に弱く、梅雨時は体調をこわしやすい。
 3.胃がむかむかしやすく、車にも酔いやすい。
 4.舌に白い苔がべったりついていることが多い。
 5.ふくらはぎがだるく、夕方にはパンパンにむくむ。

 顔のむくみを気にする人は多いのですが、そのわりには水分のとりすぎには無頓着。ペットボトルを抱えて1日中水を飲んでいたり、のどが渇いているわけではないのに、コーヒーや紅茶を何杯も飲んでしまったり…。「水を飲むことは体にいいこと」と信じている人もいるようですが、むくむのは水分代謝が悪くなっている証拠。そういう体の状態を無視して水をがぶがぶ飲み続けていると、よぶんな水分が体にあふれてしまい、むくみばかりか、体が重くだるい、胃がむかむかしやすい、などの症状が出てくることもあります。
 また、「気の不足タイプ」の傾向も兼ねていて、胃腸があまり丈夫でない人は、食べすぎにも注意が必要。うまくエネルギーに転化されなかった物質が「病的な水分」に変わってしまい、体に滞ってしまうことがあるからです。

冷たい飲み物やなまもののとりすぎに注意。のどが渇くときは、温かいものを少しずつ。よぶんな水分を体外に追い出す作用をもつハトムギや冬瓜を適量摂るのもよい方法。夏なら、スイカもおすすめ(ただし、冷えの症状がある人はNG)。
冷え性の人は、水分代謝が悪くなりやすいので、冷え対策も十分に。
正常な水分代謝をうながすために、軽く汗をかく程度の運動

 


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