不妊症  【ホーム】【戻る


    ○症例 1   ○症例 2   ○考察 

<症例1> 
 患 者、32才、女性、主婦
 初 診、11月18日
 主 訴、不妊、肩凝り
 現 病、結婚2年で子供ができず、周囲の期待もあり、産婦人科にて8ヶ月も不妊治療を受けているが未だに妊娠しない。原因は卵子の発育不全とのことで、治療はホルモン剤の投与。
 望 診、156cm、50kg、色白。
 問 診、肩凝り、冷え症、神経性の便秘、生理不順。
 切 診、ナソ部は生ゴム様所見があり、頸から肩、肩胛骨内縁にかけて凝り所見。仙骨部に凝り、ムノ部にキョロ所見。
 脉 診、脉状はやや沈にして虚。比較脉診では腎、肺虚、三焦に枯と思しき虚性の邪。
 腹 診、腎の診所冷えていて軟弱で虚。
 弁 別、不妊、冷え、生理不順は腎水、肩凝りは肺金の変動。
 証決定、以上のことより腎虚証、適応は右とした。
 本治法、金1寸1番鍼で右復溜、尺沢に補法、コバルト1寸1番鍼にて左外関に枯に応ずる補中の瀉法。
 標治法、腹部の中?、天枢、関元に補鍼。ナソ部、ムノ部の処置。頸肩腰部に適宜散鍼、八?穴付近の硬結に対し1〜2ミリ補鍼。三里、腎兪にゴマ灸3壮。確認の検脉をして終了。
 脉も中位にまとまり、肩凝りも軽減、

 同様の治療を週1〜2回のペースで行ない、生理も順調となり、体調良くなる。翌年4月23日の30回目に妊娠判明、その後2回、5月7日が最後の治療となる。

 遠方より来ていたのと妊娠前期は不安定とのことでその後のフォローができなかったのは残念だが、12月1日、男児を無事出産とのこと。

症例2> 
 患 者、28才、女性、主婦。結婚4年子供はない。
 初 診、10月16日
 主 訴、腰から右足にかけての痛み。(屈曲時)
 現 病、1ヶ月前位から痛みが強くなる。
 望 診、163cm、55kg。色白。
 問 診、鍼灸は初めて、肩凝り、足冷え、貧血、やや下痢ぎみ、生理痛がひどい。
 切 診、ナソ部は生ゴム様所見。頸肩部に凝り、脊際に硬結、腰部には疲労の色がみられ、右志室に硬結。
 脉 診、脉状はやや浮、数、虚。比較脉診では肺、脾、肝虚。膀胱、胃ややあり。
 腹 診、肺の診所力なく虚、次いで脾、肝、ざらつきあり虚。
 弁 別、肩凝りは肺金。やや下痢ぎみは脾土、腰痛、生理痛は肝木の変動。
 証決定、以上のことより肺虚肝虚相剋証、女性ではあるが病症が右にあるので適応は左とした。
 本治法、金1寸1番鍼で左太淵、太白、右中封に補法、コバルト1寸2番鍼にて右飛陽、豊隆に枯に応ずる補中の瀉法。
 標治法、腹部の中?、天枢、関元に補鍼。ナソ部の処置。左右のムノ部に補鍼。頸肩背部、腰部に適宜散鍼。腎兪、三里、右志室、大腸、承山にゴマ灸2〜3壮。確認の検脉をして終了。
 4回目、10月10日
 症状軽減するが、深部に痛みがある。本治法、標治法とも前回同様。右大腸にステン寸3-1番で2cm刺入(深瀉浅補)。

 同様の治療を12月19日迄13回行ない腰痛は治癒する。

その後、体調が良くなったことで翌年1月に妊娠し、10月に女児出産。鍼のお陰で子供ができたと喜ばれる。

考察
 今回不妊治療を受けている患者を治療し、約半年30回で懐妊したことについて、経絡治療の可能性を改めて知った思いがした。2例は腰痛が治癒する過程で内性器の働きも良くなって懐妊したと考えられるが、「鍼のお陰で子供ができた。」と喜ばれて、こちらとしても驚いた。このような例は結構あるのではないかと思う。


-topへ戻る-