<症例1>
患 者、3才、男児
主 訴、小児喘息
現 病、一週間ほど喘息で入院していて、退院後に母親に連れられと来院。
望 診、色白で痩せ気味。
問 診、2才頃から喘息が始まり、夜中にゼイゼイ咳き込むようになった。一週間前に発作が起こり入院。吸入をして発作が収まり退院。
切 診、ナソ部は生ゴム様所見があり、大椎付近から肩胛骨内縁にかけてざらつき。胸骨周辺もざらつきあり。
脉 診、脉状は浮、数、虚、比較脉診では右が弱く感じた。
腹 診、肺、脾の診所ざらつきあり虚。
弁 別、咳嗽は肺金の変動。
証決定、以上のことより肺虚証、適応は左。
本治法、鍉鍼で左経渠に補法、検脉すると陽経に僅かに邪と思えるものが触れたので、鍉鍼の尖ったほうで右の大腸経を横に2〜3回切るように撫でる。
標治法、腹部の中脘、天枢、関元に補鍼。ナソ部、胸骨周辺の処置。膀胱経は圓鍼で気を流し、大椎から肩胛間部のざらつきに対して温灸、アレルギーは腸が弱いので臍の周囲にも温灸。艶が出るのを限度とする。確認の検脉をして終了。
以上の様な治療を続け5回目には症状も軽減、8回目には咳もほとんどでなくなり、11回目(約3ヶ月)で全治としました。
<症例2>
患 者、7ヶ月、女児
主 訴、咳
現 病、風邪を引いた後に咳をするとゼイゼイいうようになったという。
望 診、色白でポッチャリしている。
問 診、3日くらい前から風邪を引き、咳が酷くなり、ゼイゼイいうようになった。
切 診、比較的肌は艶があるが、大椎周辺が少しざらついている。
脉 診、脉状はやや浮、数。比較脉診では右がやや弱く感じる。
腹 診、肺の診所力なく虚。
弁 別、風邪、咳嗽は肺金の変動
証決定、以上のことより肺虚証、適応は右。
本治法、?鍼で左経渠に補法。
標治法、腹部の中脘、天枢、関元に補鍼。ナソ部、胸骨周辺の処置。膀胱経は圓鍼で気を流し、大椎から肩胛間部のざらつきに対して温灸、アレルギーは腸が弱いので臍の周囲にも温灸。艶が出るのを限度とする。確認の検脉をして終了。
以上の様な治療を続け5回目には症状も軽減、7回目には咳もほとんどでなくなり、9回目(約3ヶ月)で全治としました。
<考察>
1例は母親もアレルギーがあるのでアレルギー性の気管支喘息。2例はその妹なので喘息様気管支炎かアレルギー性の気管支喘息かは判断がつきませんが(経絡治療においては病名は関係ない)、いずれも割りと短期間(約3ヶ月)で治癒に導けたのは生命力強化の経絡治療の効果といえます。またドーゼに注意したことが良かったと思います。