取穴 

 


 経絡、経穴は霊枢九鍼十二原篇に「神気の遊行出入する所なり、皮肉筋骨に非ず」と明記されており、常には潜在的であるが、経絡変動が起きると反応が顕現するものである。
 経穴書には身体表面の突起や陥下、筋、拍動、皮膚の色等を目標に時に何寸何分等と寸法で表わしているが、これは標準位置(モデル点)であり、その周辺の「今、生きて働いている穴」の触覚所見を指先の感覚で捉えることである。
 病体の現す触覚所見は発赤・緊張・硬結・知覚過敏・キョロを実とし、陥下・弛緩・お血性鈍麻(非生理的なものが滞っている感じ)・動悸等を虚とみなす。
 切経、取穴は気を窺うので極めて軽く示指の指腹で行なう、そのためには末節は力を抜き伸ばす。
 本治法における原則的な取穴。
  肺虚証‐太淵、太白   脾虚証‐太白、太陵

腎虚証‐復溜、尺沢   肝虚証‐曲泉、陰谷

 要穴の部位と取り方

 太 淵  兪土原穴

部 位 経渠穴の下6分、橈骨動脈上にあり。
取り方 手関節掌面において横紋の橈骨端につきる所、橈骨動脈の外縁に取る。

 太 白 兪土原穴

部 位 第1中足骨前端膨隆部の後陥凹部、赤白肉の間にあり。
取り方 第1中足骨の内側を前方に押していくと第1中足指節関節に突きあたる。このたかまりの後陥凹部、赤白肉の間に取る。

 曲 泉 合水穴

部 位 膝関節内側、膝窩横紋頭にて触れる太筋の前縁にあり。
取り方 膝関節の内側、膝窩横紋上に示指で陰谷穴を押さえて、太筋を母指でつまむと、ここが曲泉穴にあたる。そこで関節の割れ目に取る。

 陰 谷 合水穴

部 位 膝窩横紋上の太筋と小筋の間にあり。
取り方 膝を少しゆるめて軽く曲げ、指を内側からあてると、2本の腱が触れる。その前側の太い腱と、後側の細い腱の間に取る。即ち、太い腱を2本の指でつまむと、委中穴の内側で膝窩横紋内端上に陰谷と曲泉の2穴を同時につまむことになるが、示指のあたる所が陰谷穴である。

 復 溜 経金穴

部 位 太谿穴の直上2寸、アキレス腱の前、脈動部にあり。
取り方 太谿穴の直上2寸、アキレス腱のやや前、陥凹部の脈動を目当てに取る。

 尺 沢 合水穴

部 位 前肘部横紋のほぼ中央橈骨動脈上にあり。
取り方 肘窩横紋上の動脈を目当てに取るのであるが、動脈は多くの場合、上腕二頭筋腱の尺側の際にある。

 太 陵 兪土原穴

部 位 手関節の掌面、長掌筋腱の尺側縁にあり。
取り方 手関節のほぼ中央、長掌筋腱の尺側縁、手掌に近い横紋上に取る。