刺絡 

(1)はじめに
   刺絡は経絡治療の補助療法・救急法の一つとして用いられるもので、打撲、捻挫、肩こり、口内炎など様々な症状に効果がある。
 主として三稜針を用い、愁訴部の血絡などを1、2ミリ切り、数滴から数CC採血する療法である。

*西洋医学における瀉血とは手技、効果、適応症など全く異なるものである。

(2) 古典において
   現存する古典の中で最も古いと言われる黄帝内経素問・霊枢には刺絡について詳細な記載がある。
 素問・陰陽応象大論篇第五には「血実宜決之」とあり、「鬱血している時は刺して血を取れ」と、また三部九候論篇第二十に、「必先去其血脈而後調之」とあり、「必ず先に鬱血している所から血を取り、しかる後に虚実に随い補寫を行え」ということ。
 霊枢九鍼十二原篇には、「宛陳則除之」とあり、これもまた鬱血している所から血を取れということ。このように多くの古典の所々には、「まず血絡を除く」等と言う記載がある。
 このことからその昔、鍼灸術は刺絡によって始められたといっても過言ではない。現在においても、その証法一致を得るならば素晴らしい効果がある。
(3) 方法
  刺絡には3つの方法がある。
1 乱刺し、それに吸角をかける。
面をなして鬱滞し、こりや重圧感のあるものに施す。
2 愁訴部の血絡を見つけて三稜針を当てる。
3 井穴刺絡、指端刺絡ともいい、病症により、随経的に行う。
(4) 用鍼
  針としては手持ち三稜針、バネ式三稜針、使い捨ての注射針など