<証の立て方> |
経絡治療は病名治療ではなく、随証療法である。これは総ての病症を十二経の変動として捉え、そのうち、何れの経が主となってその病苦を惹起しているかを判定し、それによって治療の根本方針を打ち立てるのである。 |
<実際の実技の手順> |
|
1 |
模擬患者を寝台に寝かせ、「臨床の手順」に従いながら診察、診断を進め、主証を決定する。 |
* |
臨床と違い模擬患者であるので明確な症状が無い事が多い。 |
2 |
証に従い要穴に鍼をし、脉の変化を確認する。 |
* |
治療の適否は脉状診にて判定するが、初心者でも遅数はわかるのでそれを目標とする。数が少しでも遅になれば良い。 |
<臨床の手順> |
1 |
主訴、最も苦痛のある症状。 |
2 |
現病、いつ頃から、原因、部位(どの経絡)、どの様に、どんな場合に。 |
3 |
望診、身長、体重、動作、顔・尺部の色。 |
4 |
聞診、話し方、声の調子、匂い。 |
5 |
問診、鍼灸経験、医療・服薬の有無、食欲、便通、睡眠、月信、アレルギー、その他の症状。 |
6 |
既往。 |
7 |
切経、皮膚の状態(肌理、艶)、主訴部等。 |
8 |
腹診。 |
9 |
脉診、脉状診(浮沈遅数虚実)、比較脉診。 |
10 |
証決定。 |
11 |
適応側、原則として男は左、女は右。症状の片寄りのある場合は健康側。 |
12 |
治療、本治法、標治法。 |
※ |
十二経の病症、五大病症、五臟の色体表等により病症の経絡的弁別を行い、腹診とあわせておおよその主証を見当をつけ、脉診により断を下す。 |
<五大病症> |
|
肺 |
咳嗽、肩凝り、気の病、皮膚病。 |
脾 |
消化・吸収障害、疲れやすく、身体重く、節々が痛む。 |
心 |
身熱し、むないきれする、五感器及び精神障害。 |
腎 |
足冷え、のぼせ(逆気)、総て体液がもれ出て出血、元気衰弱。 |
肝 |
心窩部につかえ、脇腹張り、目眩し、筋緩んでくよくよする。 |
<腹診について> |
|
|
大腹と小腹を比較し、各経絡の配当部位につき虚実を診る。虚は陥下、冷え、ざらつき、力なく軟弱等、実はつっぱり、硬い、按じて不快感や痛み等。 脾…臍を中心にその下1寸、陰交より中?の上まで。 |
<本治法における原則的な取穴> |
|
|
本治法は原則として定則通り行うが、病症によっては他の穴を使う場合もある。 |
|
肺虚証‐太淵、太白 脾虚証‐太白、太陵 腎虚証‐復溜、尺沢 肝虚証‐曲泉、陰谷 |