含クロムリヒター閃石岩 richterite (士別市)
入手日:2010/06/26
採集地:士別市
士別市温根別の沢に、エメラルドグリーンの鉱物で構成される岩石があることが知られています。リヒター閃石という角閃石の一種が集まったものです。エメラルドグリーンなのはクロムを含むためで、2%程度含むので綺麗な緑色になっています。もっとクロムを含むとさらに綺麗な色になるかというとそうではなくて、黒く見えるようになります。
緑色が強い角閃石は、北海道の他の地域でも見られますが、リヒター閃石は、北海道では温根別でしか見つかっていません。温根別で鮮やかな緑色の角閃石を見つけたら、クロムを含むリヒター閃石の可能性が高いですが、リヒター閃石の定義は、構成元素の比率で定義されています。肉眼や顕微鏡の観察で予想は付くものの、最終的な同定は、EPMA等の成分分析で行ったようです。
温根別:
士別市の郊外に、はるか昔、白亜紀の海洋底地殻が地表に現れている所があります。
士別市に露出している白亜紀の海洋底地殻は「幌加内オフィオライト」と呼ばれます。海洋底地殻の重なりが良好に保存されたオフィオライトが地上で観察できる所は非常に少なく、幌加内オフィオライトは、日本で3本の指に入る程の保存状態の良いオフィオライトと言われているようです。
幌加内オフィオライトが地表に露出している地域は、現在、山が連なった状態になっています。士別市と幌加内町の間にある山地帯がそうです。地殻変動でオフィオライトが地下から盛り上がってきて、チャート、玄武岩、斑レイ岩、角閃岩、蛇紋岩、かんらん岩などが露出しています。この山地を川が削って流れており、オフィオライトを構成する岩石鉱物を見てとることができるので、面白い場所の一つです。
士別市立博物館地質巡検:
この度、士別市立博物館の地質巡検に参加し、含クロムリヒター閃石岩が採集された沢へ行ってきました。士別市立博物館関係者の方々に大変感謝しております。m(__)m
参考:2010年士別市立博物館地質巡検資料 と 学芸員さんのお話。