辰砂 cinnabar (紅の沢)
採集日:2006/10/15
採集地:紅の沢
辰砂と書いて「しんしゃ」と読みます。この真っ赤な鉱物は水銀の鉱物です。化学組成としてはHgS(硫化水銀)。写真は、プラスチックみたいな感じがするかもしれませんが、結晶はガラス光沢をしていてます。そして、辰砂の塊は水銀らしくずっしり重いです。重くて比較的風化に強いことから、崩れた欠片が川底に溜まったりします。辰砂の採集方法の一つは、砂金の同じ要領でパンニングすることです。実際、旭水銀鉱山の沢では川に流れ出ており、パンニングして採集することができるという記事をどこかで読んだことがあります。(下写真の標本はパンニングで採集したわけではありません)
辰砂は粉にしても色が変わらず真っ赤っか。昔から朱色の顔料として使用されてきました。印鑑の朱肉とかです。現在の朱肉は辰砂ではないですが。。
辰砂の英名Cinnabarは、竜の血を意味するペルシア語zinjirfrah、アラビア語zinjafrに由来するらしい。日本語名の辰砂。これは中国に起源を発する単語。中国は質の良い辰砂が取れることで有名なのです。売られている辰砂の立派な結晶標本は、たいがい中国産です。昔、中国の辰州(現在の湖南省)で採れたので辰砂というのだそうです。
ここの辰砂は玻璃流紋岩中(*1)に結晶になって入っています。うまくすると、写真のような綺麗な結晶が見つかります。
標本サイズ
上写真:2mmくらい
右写真:2〜3mmくらい
(*1) 玻璃流紋岩
流紋岩については、流紋岩の説明を見てください。
玻璃というのは、非常に珪酸分に富んでいてガラス質になっていることを意味します。玻璃流紋岩は石英の塊に近い状態になった流紋岩です。紅の沢付近には玻璃流紋岩の巨大な塊がいくつもあります。