エレナ・スリオティス Elena Souliotis ('43生)
これほどエキサイティングな歌手がいただろうか。ドスのきいた低音、高音もスカっと伸びる。
切れ味も鋭く、表現はシャープでスリリング。荒削りなところがまた魅力。
カラスの再来、というキャッチフレーズが納得できるのは彼女だけだ。
ナブッコでレコードデビューした時は22才。アリアからカバレッタへぐんぐん煽り立てていくような
ドライブ感はオペラファンの度胆を抜いた。 `71年には東京でノルマを歌った。
初日の公演がNHK-FMで放送されたが、彼女は調子が悪く、第2幕で高い音が出ず、
変な声でごまかしてしまった。このときのテープをいまだに持っている人もいることだろう。
その後スリオティスの情報は少なくなり、レコード録音もなくなった。
声を酷使して消えてしまった歌手の典型のようだ。
我々はスリオティスの残した多いとはいえない録音をもっと大事にしなければならない。
歌手生命を縮めてまで壮絶に歌った、血を吐くような声がそこに記録されている。
ところでスリオティスはある時、SuliotisからSouliotisに改名したのを御存じでしたか。
せっかく魂(Soul)を入れたのに・・・
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