ベーチェット病(Behcet's Disease)

ベーチェット病ってどんな病気?

外見ではとてもわかりにくいベーチェット病について、理解してください。

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       また、本文中、下線のついている用語についてはクリックしていただくと、
       説明されている部分に跳ぶことが出来ます。

シルクロード病と呼ばれるベーチェット病。
べーチェット病って?
ベーチェット病の症状
ベーチェット病の診断基準。
特殊型について。
特定疾患とは?
治療法は?

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シルクロード病と呼ばれるベーチェット病。

皆さんはシルクロードってご存知ですよね。
ベーチェット病はそのシルクロード沿いに患者が多い病気です。
トルコの「Behcet(ベーチェット)博士」が最初に報告したのでその名前を取って
ベーチェット病と呼ばれています。シルクロード病と呼ばれることもあります。
現在のところ、残念ながら原因、完全な治療法ともに解明されていません。
ひと目でベーチェット病とわかる病理検査もありません。
治療は医師の経験による対症療法になります。
幸い、日本はベーチェット病の研究では世界で最も進んでいると言われています。
厚生・労働省の
特定疾患(後に説明)に指定されており、
国からの研究費の援助もあります。
日本はベーチェット病患者にとって恵まれた国のひとつと言えるでしょう。

 

べーチェット病って?

ベーチェット病は膠原病近類疾患に分類される病気で、皮膚、目、粘膜、内臓、
血管、神経などに炎症を起こす全身性の自己免疫疾患です。
症状は現れたり、治ったりと、繰り返されることが特徴です。

ですから、症状がおさまっている時は全く元気な人と変わりなく見えます。
ここが、他の一般に知られている病気と違い、誤解を受けやすいところです。
また、20歳代から40歳代の発病が多く、仕事や家庭等、日常の生活に
少なからず影響を及ぼすことも多いのです。
本人ですら仕事を持っていたり、家事や子育てに追われて
病気のせいだという自覚のないまま無理を重ねてしまうケースが多いようです。
特徴的なこととして、ベーチェット病患者は疲れやすいといわれます。
また、ストレスに弱いということもあげられます。
具体的には季節の変わり目に体調を崩す人が多いとか、
精神的、肉体的なストレスを受けた後、症状が悪化するなどの例が多いようです。
具体的な症状は下記の
ベーチェット病の診断基準を見てください。

 

ベーチェット病の症状

※主症状 (下線の語句をクリックすると、写真が出ます・)
 
1.再発性口腔内アフタ性潰瘍・・・口内炎のこと。白くえぐれてクレーター状になり、
                      強い痛みを伴う。
                      口腔粘膜から舌、のどの方まで出来ることもある。
                      初発症状(最初の症状)として口内炎が出ることが
                      多い。
 2.皮膚症状・・・〇毛膿炎様皮疹・・・毛穴に膿がたまったにきびの様なできもの。
           ○
結節性紅斑・・・特に下肢に出来ることの多い痛みを伴った
                      斑点状の炎症。
                      赤くなり触るとしこりのように硬くなっており、
                      痛みが強い場合、歩行に支障が出る場合も。
                      重症の場合は痕が残る。
 3.眼症状・・・ぶどう膜炎・・・ぶどう膜(虹彩、毛様体、脈絡膜)に炎症を起こす。
                   初発症状は、霧視という、目に霧がかかったようになる、
                   前部ブドウ膜炎が片眼に発症することが多く、
                   この段階では他の病気の可能性も疑われるのだが、
                   ベーチェット病に特徴的なのは、再発性前房蓄膿性
                   虹彩毛様体炎に移行することがあるところである。
                   →
前房蓄膿
                   この場合、比較的予後視力(炎症が治まったあとの視力)は
                   良いようだが、病変が進行すると、全ブドウ膜炎
                   (前部ブドウ膜炎+後部ブドウ膜炎)となり、
                   視力予後が悪くなる場合がある。
                     最悪の場合、失明することもあるが、最近では
                     全体として失明率は下がってきている。
                   * 前部ぶどう膜炎(=虹彩毛様体炎)
                   * 後部ぶどう膜炎(=網膜脈絡膜炎)
 4.外陰部潰瘍・・・外陰部に深くえぐれたような潰瘍が出来る。痛みは強く、女性の場合
             排尿時に特に強く痛む。潰瘍は深いため痕が残ることが多い。

※副症状
 1.関節炎・・・主に膝などの大きな関節に腫れや痛みが現れるが、リウマチと違うのは
          関節の変形を伴わないところである。
 2.副睾丸炎(男性)
 3.消化器病変・・・回盲部(盲腸のあたり、小腸と大腸のつなぎ目の周辺。)を中心に潰瘍
             が出来る。腹痛、下痢、下血などの自覚症状がある。
 4.血管病変・・・血管に炎症や瘤が出来る。血管狭窄等も起こるため、その血管が血液を
            運んでいる部位に影響が出たり動脈瘤などが破裂して重篤な症状に
            なることもある。
 5.中枢神経病変・・・髄膜、脳に炎症が起こる。激しい頭痛、嘔吐などの他に、
              炎症の起こった場所によって運動麻痺、精神症状、意識消失等の
              症状が起こることもある。

ただし、これらの症状が必ずしも同時に出るわけではありませんし、また、すべての症状が
どの患者にも出るというわけではありません。
また、上記の3、4、5の症状が治療の最優先とされる
特殊型ベーチェット病(後述)は、
ベーチェット病の自然歴の後期に出易いようです。つまり、他の症状が現れた後に
出ることが多いようです。が、発症率としては低いものです。
ですから、診断されたからと言って決して、悲観することはないのです。
むやみに怖がってストレスを増やすより、患者として病気の性質や病変についてよく理解し、
異常を感じたらすぐに医師の診察を受けることです。
また、「疲れ過ぎない」「睡眠をよくとる」「ストレスを出来るだけ避ける」など
日常のちょっとした注意によって、出来るだけ新たにこのような症状を出さないような
生活を心がけたいものです。

 

ベーチェット病の診断基準。              

※完全型ベーチェット病
  上記の4つの主症状が全部現れた場合。
※不全型ベーチェット病
 ○ 3主症状、あるいは2主症状と2副症状が現れた場合。
 ○ 眼症状とその他の1主症状、あるいは2副症状が現れた場合。

その他に、診断の参考として、針反応(清浄な針で皮膚を刺し、48時間以内に
化膿してくる反応のこと)や、HLA−B51(白血球の型)が陽性である事(患者の約
50%が陽性、日本人平均は15%)などが参考とされます。
が、現在のところ、HLAの検査は保険対象外なので、自費負担となります。
したがって、検査をするがしないかは主治医の判断によります。

特殊型について。

※腸管ベーチェット病
 副症状の消化器病変が治療の最優先とされる病態。
※血管ベーチェット病
 血管症状が治療の最優先とされる病態。
※神経ベーチェット病
 中枢神経病変が治療の最優先とされる病態。


特殊型の場合はいずれも、重篤な場合は命にかかわることがあるので、
治療経験の多い医師にかかることをお勧めします。また、予後も
後遺症や再発などの心配もあるため、定期的な診察を受ける様にしてください。

 

特定疾患とは?

厚生・労働省の研究対症疾患になっており、特定疾患と呼ばれています。
特定疾患とは、原因不明もしくは治療法が未確立であり、後遺症を残す恐れが
少なくないような疾病で、経過が慢性にわたり、単に経済的な問題のみならず
介護等に著しく人手を要するために家庭の負担が重く、精神的にも負担の大きい疾病
と定義されています。

 申請方法=住民票のある保険所で申請用紙をもらってきます。申請用紙には
「臨床調査個人票」が含まれます。新規申請者は最初の申請時と次の全員が「臨床
調査個人票」を出す時です。
それを、保健所に提出すると、認定委員会に掛けられ、認められると
特定疾患受給者となります。
特定疾患受給者となると、当該疾患での通院が各医療機関につき、
自己負担金が1ヶ月2回まで各1000円が上限となります。薬代も含まれます。
院外処方の場合は薬代は無料となります。
また、入院の場合は、1ヶ月上限14000円までとなります。
ただし、各自治体によって多少、対象となる医療機関など規定に
違いがあるようですので、お住まいの保健所で確認してください。
また、各市町村等から「療養費」「療養扶助費」「見舞い金」等の名目で補助があります。
これは特に、各地方自治体によって格差があるようですのでご確認下さい。
また、特定疾患は毎年、年度末に更新手続きをしなければなりません。
そして、継続の人は3年に一回「臨床調査個人票」の提出が求められます。
次回は平成13年度末、つまり14年の3月末になります。

重症度認定=重症度認定を受けると、自己負担金はなくなります。
 
申請方法=重症認定をうけるためには、それ専用の診断書または身障手帳の
コピーと重症認定の申請書を別途つけて申請します。
ベーチェット病が原因で、身障手帳1,2級を持っている人は
その手帳のコピーをつけるだけで、診断書は必要ありません。
ベーチェット病の場合、身障認定を受けていなくても、重症な場合があります。
その場合保健所にて申請用紙を受け取り、主治医に診断書を書いてもらいましょう。

また、特定疾患にはそれぞれ研究班が組織されており、大学病院などの研究機関により、
病因・治療法・新薬などが研究されています。

 

治療法は?

残念ながら、完治にいたる治療法は現在のところありません。
それは原因がいまだ不明だからです。
治療は対症療法になります。ですから患者ごとにまた、1人の患者でもその時によって
症状は違いますから、当然治療法や投薬内容も変わってきます。
が、一般的には
コルヒチンと言う通風薬が第一選択として選ばれる場合が多いようです。
これは、比較的副作用の少ない薬で、アフタ性口内炎、皮膚症状、眼症状などに
有効です。が、残念ながら万能ではありません。副作用が強く出る人や、あまり効果が
出ない人については
ステロイド(副腎皮質ホルモン剤、品名=プレドニン、プレドニゾロン等)
シクロスポリン(免疫抑制剤、品名=ネオーラル、サンデミュン)等を使います。
特に、眼発作が頻発する人についてはシクロスポリンが使われることも多いようです。
ただし、これらの薬は様々な副作用も伴いますので、注意して服用することが必要です。
他に、痛みが強い時や発熱を伴う時には消炎鎮痛解熱剤が使われたり、
アフタ性口内炎を軽減させると言われる
ムコスタなどの胃薬が使われます。
また、血栓が出来やすい人も多いので、
血栓予防薬(ワーファリン、小児用バファリン等)
を処方される場合もあります。
また、特殊型についてはそれぞれの病態に合わせた治療が必要になってきますので、
担当医や主治医とよく
コミュニケーションを取ってください。
どういった薬を処方されても、患者としてはその薬が
なんという薬で、どういう効果・副作用
あるのかをきちんとドクター、もしくは薬剤師に確認し、服用する必要があるでしょう。


大切なのは病気を理解し、症状や不安感などをドクターや薬剤師にキチンと話し、
良いコミュニケーションを取っていくことです。
また、患者・家族・医師(・薬剤師)が協力し合って治療を行っていくことによって、
良い結果が生まれるのではないでしょうか?
病気であっても、希望を失わず、毎日を大切に生きていきましょう。

Special Thanks to Takahide Matsuda, MD
             
& Hiroshi Oka, MD
              St. Marianna University School of Medicine.