ＳＬ写真展 （ ＩＮＤＥＸ )〜アメリカ ＆ 日本現役
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･蒸気旅客列車 “CHESSIE SEFTY EXPRESS” を追って」Ｓ・ＣＳＸ鉄道網
００５． 早暁の コロンバス 機関区 のC&O 614号 ・ オハイオ州
〈０００１．〉
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〈紀行文〉
日常の太陽光の下で、それらしく見える物体の色も、ある場面では一変して全く別の色に変ってしまうことがある。色彩心理学の実験ではないが、程よく暗くなった場所で、一筋の強い光がある物体に当る時、方向によっては、その物体その物の色ではなく、光源の色が見えると云う自然現象に出合うことがある。
ＳＬ写真のテーマは色々とあって、そのいずれもが魅力的であるが、このＳＬ自身を太陽の光の下に微妙な色の変化を撮影する名人芸は、時々写真雑誌やコンテストに発表され、その類を追い求めるカメラ狂を増やしてきた。
特に太くて大きなボイラー胴が覆いかぶさるようになっている低くて奥まった足回りには、光線は容易には充分には届かないのが普通だ。しかも、この動きのあるメカニズムを重量感を含めて、流し撮り風邪に撮影しようとすると尚更であった。このような全ての条件をそろえられないものの、習作とでも云える作品がアメリカで計画的に撮影することに成功したのが、この一枚である。
ここは中西部のオハイオ州都 コロンバス市、１９８１年の初夏、何年か振りかの蒸気機関車による旅客列車の運転会が週末にかけて催される。
ダウンタウンの古ぼけた町並の片隅に、Ｃ＆Ｏ（チサピーク・アンド・オハイオ）鉄道の大きな機関区があって、ここを基地にして、一日掛りの南ケンタッキーへのツアーが計画されていたのだった。
当地は私の勤務するホンダのアメリカ工場建設の地元でもあり、なじみの深い街の地の利を活かして、コロンバス機関区でのＳＬを狙うことにした。前日の夕刻に、ロケハンを兼ねながらＳＬを出迎えに機関区に出かけた。
使われていない荒れ果てたらうんどはうす（扇形庫）やターンテーブルの回りには、久し振りに大勢の人が集まってＣ＆Ｏ ♯・６１４機の到着を待っている。
その南北には東側に並んで入れ換え側線が何本も敷かれており、低い朝の光が良く差し込む、誠に黄金のＳＬを狙う太陽光線の状件は万全であるように想われた。
重量感を表現するには、スローシャッターで動輪やクランクの動きをブラして撮影する方法を考えたが、線路内への立ち入りが禁止され、黄金一本と云うことになってしまい、夜明けを待つ次第となってしまった。
サマータイムの午前7時半､低い朝の光が、たくましい足回りを照らし出し始めた。
ここで新しく手に入れた｢ローライフレックス ＳＬ６６｣専用の広角レンズの威力が余す所なく発揮されて、あの大きな♯ ６１４機への接近撮影が可能になったのだった。私が立つ位置をすこし変えるだけで足回りの金属面を黄金に輝かせることが出来たのである。
何１０ショットのうち，適正露出の中に黄金になったのは辛くも二ショットが入っていた。それは正に幸運のたまものであった。
この“黄金”と云うのは被写体の平面に低い位置からの太陽光線が正反射して被写体を光源の色に輝かせる現象であって、成功の確率は必ずしも高くないのが玉に傷なのだった。
所で、このＣ＆Ｏ鉄道の旅客列車のメインラインは何と云っても首府ワシントンから、シンシナティ経由のシカゴへのルートで、そのルートにはアパラチヤン山脈を越えるアレベニー山地が控えていることで有名であった。また、その山中に、有名な温泉保養地 ホワイト･サルファー･ スプリングがあって、鉄道旅行黄金時代には、政財界の有力者たちはプライベートカー（私有客車）を駆って、このリゾートホテル“Greenbrier hotel”で催されるコンベンションに集ったのであった。この有力者たちの私有客車を連結したＣ＆Ｏ鉄道の列車は、その乗り心地やサービス共に第一級のものとして自他共に許すものであったと云うのであった。この路線に投入された最後の新鋭旅客用機関車が、この♯６１４を含むＪ−３aクラスの“グリーンぶらいやー”の４−８−４であったのだった。このＳＬの生い立ちについては前ページ４．に詳しく述べてありますのでご覧下さい。
撮影：１９８１年
発表：「塗装技術」誌・ １９９０年９月号表紙、「レールガイ」誌
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･蒸気旅客列車 “CHESSIE SEFTY EXPRESS” を追って」Ｓ・ＣＳＸ鉄道網
００３． Sandpatch峠を登るC&O 614号・メリーランド州
００４． 南オハイオを快走するC&O 614号・オハイオ州
０１５． リマ駅での楽しいひとときのC&O 614号･オハイオ州
070. 朝のカンバーランド駅出発のC&O 614号・メリーランド州
０２１．“Ｓｅｆｔｙ・Ｅｘｐｒｅｓｓ”のＳＬとＤＬ（アメリカ・Ｃ＆Ｏ鉄道）
（自己主張とコーポレートカラー）