Victor WONDERMEGA RG-M2
(メガドライブ&メガCD 一体型互換機)
ビクター ワンダーメガ RG-M2です。(通称:ワンダーメガ2)
8月(2007年)に ”SEGA SUPER 32X(セガ スーパー32X)”発売当時(1994年)は見送った32bit 改造(SEGA SUPER 32X対応)を行いましたので改造後の状態(形態)等を紹介します。
ビクターが未だに32bit改造を受け付けているとのWeb情報に、半信半疑でサービス窓口(※1)に確認した所、次のような返事がありました。
三段重ねになるメガドライブよりメガCD一体型のワンダーメガ2の方が扱いやすく、改造出来る最後のチャンスと思えるので直ぐに32bit改造を依頼しました。
部品が残っているとは云え発売から13年経た今でも改造が可能とは、サポートの長さに驚きましたがユーザーにとっては嬉しい対応です。
(※1)
ビクターサービスエンジニアリング(株)首都圏テクニカルセンター
※ビクター修理窓口:ビクターサービスエンジニアリング(株)は、横浜テクニカルセンターと住所・電話番号は同じです。(2007年8月時点)
(2007/11掲載)
ワンダーメガ2(1993年7月発売)は、初代ワンダーメガからMIDI機能等を省略してゲーム専用機に近い形にした廉価版だが、ゲームに便利なコードレスコントロールパッドを標準装備してゲーム機としてはより扱い易くなった。
ワンダーメガ2の良さは、ステレオ音声出力端子とS端子を本体に装備して、音と映像が本家セガ製品より優れている所にある。
ヘッドホン端子も音にノイズが無く音質が良い。
ワンダーメガ2は廉価版になってなお高価格だが、S端子と音の良さは高価格を帳消しにする程の大きなアドバンテージになっている。 値段的には高い印象を受けるが機能や扱いやすさを考えると非常にお得な製品と云える。
通常のコントロール端子が本体背面にあり有線タイプのコントロールパッドも使える。
マルチメディア対応にカラオケ機能が残されており本体にマイク端子がある。
(2011/01 記)
(2012/11 NO.58 更新)
(2019/06 NO.95 更新)
(2020/04 NO.98 更新)
CDドライブの蓋(ドア)は、丸く盛り上がった形状をしています。
物理的には SEGA SUPER 32X(セガ スーパー32X)をスロットに装着できますが、改造対応が前提のため動作しない。
又、32X本体がCDドライブの蓋部分に被さるため蓋が引っかかって開けられず、メガCDのゲームディスクをセットできない不都合が出る。
■32bit改造ワンダーメガ2
(SEGA SUPER 32X対応)
32ビット改造後のワンダーメガ RG-M2。
CDドライブの蓋(ドア)が取り替えられて全体として前よりすっきりしたデザインになった。
改造と云っても外観上はCDドライブの蓋の交換と接続ケーブル添付のようです。
元の蓋(ドア)は、本体と一緒に返却されてきました。
蓋(ドア)は本体ドライブ部の形状と同じ形。
内側は補強のリブが目立ちます。
CDドライブは等倍速タイプ。
ゲームディスクをチャッキング部品で挟み込んで回転させる方式です。
蓋(ドア)の左側の平らな部分が本体に固定されていて、残りの部分が開くようになっている。
オリジナルの場合、この固定された蓋部分が32X本体に引っ掛かって開けられない。
蓋に付いているチャッキング部品は前の蓋から付け替えられた物。
添付の付属コードは本体のA/V OUT端子(FOR RF UNIT) とスーパー32XのA/V IN端子を繋ぐ物で、この部分が外から見えない改造ポイントと思われる。
コードレスコントロールパッドは改造と共に購入した物。
単三形乾電池二本使用。
保守品なので定価販売と思われる。
本体前面中央、色が違う凸部分が赤外線受光部。
コードレスコントロールパッドはワンダーメガ2本体の電源ON/OFFとゲームリセットの他、当時の各社テレビの電源ON/OFFとボリューム調整が出来るリモコン機能付。
この辺は音響・家電メーカーならではの発想でユニーク。
又、二人プレイ時に別売りの有線式コントロールパッドRG-CP3を接続してコードレスで操作できる機能もある。
32X本体に蓋が引っ掛からないので32Xを装着したままメガCDソフトがプレイ出来る。
更に、ワンダーメガ2本体へのコード接続は改造で添付された付属コード一本で済む。
写真はケーブルを全て接続した状態。
AVコード類は通常使用する物を接続。
32X本体を外す時にはワンダーメガ2本体のA/V OUT(FOR RF UNIT)に接続した付属コードを取り外せば簡単にワンダーメガ2単体に戻せる。
ワンダーメガ2はS端子装備のため通常はビデオ出力にS端子を使いますがSUPER 32Xでは32X本体のビデオ出力に繋ぎ替えます。
但し、32Xの音声出力はワンダーメガ2本体からも出ているので音声出力は32X側と繋ぎ替える必要はない。
※SUPER 32X側の音声出力はモノラル、ワンダーメガ2側はステレオ音声
後部右側の四角い穴は有線式コントロールパッド用のコントロール端子(2個分ある)。
これで、
メガドライブ+メガCD+SUPER 32X 互換機の完成
[欠点]
SUPER 32X装着するとメガドライブやメガCDソフトでも32Xの電源を入れないと動作しない。
※SUPER 32Xはワンダーメガ2とケーブル一本で”RF UNIT”端子に繋がっているためメガドライブより取付・取り外しが簡単。
※メガドライブソフト「ファンタシースター復刻版」は、SUPER 32X未装着でも起動しません。
又、セーブデータが飛んでしまうので要注意です。
対応ソフトは最初からカートリッジとCDが予定されており、ラインナップからCDが本命と見ていたが、肝心の米国での販売不振から日本国内ではCDは一つも発売されずに終わり、その実力を確かめる事は出来なかった。
国内発売分の対応ソフトはカートリッジのみで、このためかゲームジャンルがシューティング系とアクション系に偏っている。
国内同時期発売のセガサターンとの3DCG性能の違いは、「バーチャファイター」を見比べれば大体察しが付く。
発売ソフト数は少ないながら意外に良作が多く、セガサターンに移植されたタイトルもある。
16bitベースの機能拡張版と捉えれば割と良く出来ていたが、基本設計が32bitのセガサターンと比較された所が不運だった。
実際、対応ソフトの3DCGは、元のジェネシス(北米版メガドライブ)では実現不可能なレベルになっており、機能拡張版として不足無い性能を見せていた。
余談ながら、商品名に”X(エックス)”は鬼門で、Xを付けた物は何故か販売不振で失敗する事例が目に付く。
当初はSUPER 32X CD発売の案内があったものの、結局国内では未発売に終わる。
ソフトはセガ・エンタープライゼスの発売。
パッケージは紙箱でカートリッジは紙のトレーに入っていた。
ワンダーメガ2の画面操作は基本的にセガと同じで表示画像やデザインが異なる。
正式なメガドライブ互換機のためカートリッジとメガCDの両方でライセンス表示がある。
(2012/11 記)
スロットにメガドライブのゲームカートリッジをセットした場合は、カートリッジが優先されるため起動画面やコントロール画面は表示されずライセンス表示後にゲームが起動する。
1.「起動画面関係」[ワンダーメガ2の起動画面]
半円球部分の色がオレンジ、青、水色などに変化する。
バージョンはVer2.00 (1993)
[デモ画面(例)]
起動後にパッドの操作をしないと二軸回転・拡大縮小のデモが始まり、”W”のロゴが動き回るデモを繰り返し再生する。
起動画面で流れる音楽はセガの初代メガCDの起動画面と同じ物。
[コントロール画面]
ゲームディスクセット時のコントロール画面。
トップローディング(手動)のためドアの開閉コマンドは無い。
”OPTION”からバックアップメモリの操作画面にアクセスできる。
[バックアップメモリの操作画面]
バックアップメモリの操作方法はセガと同じ。
異なるのはアイコン画像と文字が色分けされている部分。
※Ver2.00から色分けされたかは不明。
[コピー操作画面]
バックアップRAMのセーブ内容が表示される。
[空き容量不足の警告]
バックアップRAMの空き容量が不足している時に表示される。
(内容はゲームソフトに依存)
ゲームタイトルによっては空き容量を確保しないとゲームが起動しない。
[メガCDのライセンス表示]
ゲーム起動前にに画面表示される。
セガの初代メガCDと同じ物でジングルと共にバックが白黒反転する。
[カートリッジのライセンス表示]
文字画面の一枚表示。
見た目の通りコードレスタイプと同じ形状で成形型を流用した物と思われる。
有線式で必要の無いコントロール端子や電池ケース部分などは樹脂で塞いである。
本品は二人プレイの時にコードレスコントロールパッドのコントロール端子に接続するとコードレスで操作できる。
取扱説明書によるとコードレスコントロールパッドには本品と下記の物が接続可能。
他のコントロールパッド等はワンダーメガ2本体のコントロール端子に接続するように指定されている。
コードレスコントロールパッド(赤外線式)には僅かにタイムラグがあるため、操作タイミングがシビアなアクションゲーム等には有線式の方が良い。 (2008/11記)
代替品はシリーズレギュレータ方式直流安定化電源しかないと思われる。
写真はサンタ製メガドライブ2専用S端子ユニット
MEGA S-02。
これを32XのAV出力端子に接続してS端子ユニットのS-Video出力をテレビのS端子に繋ぐとゲーム映像をS-Video映像化できる。
※サンタのS端子ユニットについては ”MEGADRIVE & MEGA-CD”を参照
中古品はゲーム通販等で入手出来るようだが価格は元の約2倍の値付けになっている。
※サンタ製メガドライブ2専用S端子ユニットの標準価格(販売当時) \4,900(税別)
SUPER 32XのAV出力端子は音声がモノラルのためS端子ユニットの音声出力もモノラルになる。
このため、ステレオにはS端子ユニットをS-Video出力のみ使用し、音声は従来通りワンダーメガ2本体のステレオ出力端子から出す。
ヘッドホンの場合はワンダーメガ2本体のヘッドホン端子に接続する。
フレームマイスターを使いHDMI出力の有効性を確認した所、ワンダーメガ2の ”ビデオ端子” と ”S端子”は共にHDMI出力は有効ながら映像の状態に違いが出る。
「ビデオ端子」
ビデオ映像がそのままの形でHDMI信号に変換されていて特に問題無し。
「S端子」
半透明処理が機能せず、使われている部分が市松模様の様に表示される。
RPG系では建物等の陰が市松模様になってしまう。
S端子からのHDMI変換で半透明処理が機能しない原因を調べた所、元のS端子出力の段階で映像の半透明処理が機能していなかった。
フレームマイスターはS端子映像をそのままHDMI変換しているだけで動作は正常。
「SUPER 32X」
SUPER 32X対応ソフトの場合は映像が特殊な合成出力のためかHDMI変換すると副作用が目立ちメリットが無い。 元のビデオ出力でプレイした方が良い。
「半透明処理」
メガドライブの半透明処理は、コンポジット信号出力が前提の様でRGBから出力するS端子やHDMI端子では機能しないと推測される。
当時のテレビの外部入力端子はコンポジット(いわゆるAV端子)で時代に適合した仕様ながら、その後の新規格の端子では不適合な所が映像に出ていると思われる。
因みにサンタ製メガドライブ専用S端子ユニット MEGA S-01とS-02も半透明処理が機能しない。
サンタ製のユニットはメガドライブのRGB信号からエンコーダICを通してS端子出力している。
フレームマイスターの出力結果からするとHDMI端子で半透明処理を有効にするにはコンポジット信号をHDMI変換すれば良いと思われるが映像の鮮明度はやや劣る。
ただ、コンポジット端子が普通の時代のレトロゲームは鮮明度を上げ過ぎると反って映像に違和感が出るため、コンポジット信号のHDMI変換映像は大した欠点とはならない。
この場合、色にじみの無いきれいなコンポジット信号が条件になると思われる。
ワンダーメガ2は購入から27年目になりACアダプタのアルミ電解コンデンサ劣化が気になることからコンデンサの予防取り替えを行ったので参考に紹介する。
交換作業をメガドライブ用の物と一緒に行った事から、交換手順や使用した工具、材料などは「MEGA DRIVE & MEGA-CD」ページの「MD専用ACアダプタのアルミ電解コンデンサ交換」に記載している。
(2020年4月 NO.98 掲載)
ACアダプタ(AA-S95)のケースにはラインヘッドネジという特殊ネジが使われており、これを外すにはネジサイズに適合した専用ドライバーが必要になる。
幸いな事にゲームギア修理で使用した特殊ドライバー”DTC-27”が適合した。
ラインヘッド(LH)ネジ用ドライバー。
手持ちに無い場合の入手先としては、専門通販の他にヨドバシ・ドット・コムがある。
写真は日本ケミコンのKMGタイプ。
元のコンデンサがKMGの16V、6800μF、105℃品のため、交換用も同じ物にした。
(入手先:マルツオンライン)
KMGは日本ケミコンの標準形で電源用では無い。
AA-S95は通気孔の無い密閉形のため105℃品になっていると思われる。
■ AA-S95の内部
写真はAA-S95の内部。
(ACアダプタの上側を外した状態)
前がトランスで後に整流回路基板が付いている。
基板の取付け方はトランス式ACアダプタに共通。
ケースさえ開けられればアルミ電解コンデンサ交換は比較的容易な作業。
整流回路はセンタータップ型で基板には2個のダイオードが付いている。
共用基板なのかダイオードの取付け穴は4個分ある。
交換用の新しいKMGを半田付けした整流回路基板。
これを元通りにケースにセットし、ネジ止めして交換作業は終了。
交換時にアルミ電解コンデンサを逆さの状態で半田付けする事になるので、基板から浮かないように注意。
交換したアルミ電解コンデンサに液漏れは無かった。
「AA-S95のコンデンサ交換の無負荷出力電圧」
交換前 | 13.23V~13.27V |
交換後 | 13.45V~13.47V |