MEGA-CD(初代)
[写真]
初代のメガCD本体。
外観は右側面の四角いコネクタ部分が特徴的。
CD-ROMドライブだが、この本体単体では動かず電源すら入らない。
メガCD本体を開けて中の動きを見るにはメガドライブ本体を接続する必要がある。
操作はメガドライブのコントロールパッドを使いコントロール画面から行う。
(コントロール画面の異常) |
(正常なコントロール画面) |
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[写真左]
不具合発生時のメガCDのコントロール画面。
メガCDディスクを入れても画面に”CD-ROM”コマンドが表示されない。
(※アクセス不能)
この状態になると、少し間をおいて自動的にトレイがイジェクトされる。
[写真右]
正常なコントロール画面。
メガCDディスクを認識して画面に”CD-ROM”コマンドが追加される。
内部の動作確認
■MEGA-CDのコネクタ部分
本体を開けるには、底面のネジと写真のコネクタ部分のネジを外す。
上蓋部分はコネクタをカバーしている四角い部分をつまんで、反対側を支点にして斜め上方向に引き上げると外れる。
組立は逆順に支点側をセットしてから閉じる。
※真上に開けようとしても外れない。
■MEGA-CDの内部
写真はCDドライブ部の金属カバーを取り外した状態。
CDドライブ部は四角い金属カバーで保護されているので3箇所のネジを外して金属カバーを取り外す。
メガCD内部はコネクタ側のメイン基板とCDドライブ部及び電源周りがある背面の細長基板で構成されている。
■MEGA DRIVEをセット
メガCDを動かすためにメガドライブ本体をセットする。
金属カバーが無いのでCDドライブメカに当たらない様に片側を綿棒で支える。
頼りない感じだが本体が軽いのでこれで十分。
[不具合症状]
音楽CDを入れトレイを閉めると、シュルシュルと音がした後に、CDが回転しないままイジェクトされてしまう。
[不具合原因の特定]
CDを入れてトレイを閉じると下がっていたメカが上に上がり基板の位置も平行になっているように見えたが、念のためイジェクトされる前に指で基板を押し上げてみたら更に上に動き、”カチャ”と云う音がしてCDが回り始め音楽を再生し始めた。
これで、ゴムベルトが不具合の原因と特定できた。
※”カチャ”と云う音は磁気クランプのチャッキング音。
ドライブメカの取り外し
■MEGA-CDのトレイを外す
写真はメガCDのトレイをイジェクトした状態で電源を切り、メガドライブ本体を外した所。
ゴムベルトはトレイの下にあり、トレイを外さないと状態を確認出来ない。
トレイをイジェクトさせた状態の方が外しやすいための処置。
※写真は修理後、掲載用に写した。
CDドライブメカは上の磁気クランプ部が固定で、メカ部の前部分が固定された後側を支点にして上下に動くと云う、かなり大胆な機構になっている。
(※例えれば、片開きドアを横にして開け閉めしている感じ。)
写真ではイジェクト時にCDドライブ部の下の基板が前方斜めに傾斜しているのが分かる。
メカ部の上下動は螺旋溝がある円筒形パーツを回すことで行われ、このパーツを回している大元がギア付の白いプーリーで動力源がモーター軸の黒い小さなプーリー。
※実際の修理ではゴムベルトの位置を探すために先にCDドライブ部を外し、後からトレイを外した。
- この場合、ロック状態で動かないトレイを外すには、
- 1)やぐらに組まれている磁気クランプ部を外す(2本の止めネジを外す)。
2)トレイの切り欠き部分に顔を出している大きな歯車をピンセット等で回す。
3)トレイの動きに合わせてピックアップ部分が下がるので下まで下げる。
以上で自由にトレイが動くようになるが、分解やロック解除の手間が掛かるため先にトレイを外すやり方で紹介している。
■トレイの樹脂製ピン
トレイには、中から見て左の下側の溝にツメで固定された樹脂製のピンがあるので、先にこれを外す。
その後、メカ部の金属板ベースの前方両側にある樹脂製ストッパーを一緒に外側へ広げ、トレイを前に押し出すと外れる。
ストッパーには円い穴があるのでピンセット等を使い広げると良い。
[再組立時の注意]
トレイの溝にはめてある樹脂製のピンは、再組立の時には必ずツメで固定する。
固定しないとトレイが動いたときに外れて飛んでしまいメガCDが動かなくなる。
トレイはガイドに平行に、奥の止め位置まで差し込む。(※写真の位置)
■MEGA-CDのゴムベルト
写真はトレイを外したドライブメカ部。
トレイを外すとゴムベルトが顔を出す。
ゴムベルトを外すには、白いプーリーの半分を覆っている樹脂カバーを外す必要がある。
カバーはツメで下側の穴に固定されているため、先にCDドライブ部を筐体から外す。
[手順]
1)メイン基板のコネクタからCDドライブ部に繋がるフレキシブルケーブルを慎重に外す。
2)CDドライブ部の四本の取付ネジを外して筐体から取り出す。
3)CDドライブメカの裏側からピンセット等で樹脂カバーのツメを穴に入れる形で外す。
4)樹脂カバーの片方は金属板ベースの縁に引っ掛けてあるので、モーター側にスライドさせて外す。
以上で、やっと目的のゴムベルトが外せる。
不具合の原因(トレイの自動イジェクト症状)
■プーリーとゴムベルト
不具合の原因は、ゴムベルトの変形とギア付の白いプーリーの軸に塗られたグリスが固まったためと判断。
外したゴムベルトにひび割れ等は無いが、弾力性が失われてきて変形し、それが元でスリップして力が十分伝わらないと思われる。
[ゴムベルト]
約φ25 / 実測1.55mm□の角ベルト
※直径はおおよその値。
- [プーリーの処置]
- 1)固まったグリスを出来るだけ除去する。
2)ギア付の白いプーリーの軸にシリコングリースを塗布。
※シリコングリースはプラスチックに悪影響の無い製品を選ぶ。
写真の黒い大きなギアはトレイを動かしている物。
樹脂カバーはメガCDを前から見てトレイをイジェクトしたときにその隙間から見える物。
※写真は修理後、掲載用にCDドライブ部を筐体から外して写した。
ゴムベルトの応急処置
■ゴムベルトの清掃
ゴムベルトの代替品は入手可否が不明なことと、ゴムの弾力性を復活させれば使えるとの判断から、”テープレコーダー用クリーニング液セット” のラバー用で丁寧に清掃した。
[ラバー用]:青色の液体
ピンチローラー清掃用の液体で、これには汚れを落とすと共にゴムの弾力性を復活させる作用がある。
清掃には綿棒を使用。
ラバー用液を染み込ませた綿棒でゴムベルトの表面を拭く作業を数回繰り返す。
これによりゴムベルトの変形までは直らないがゴムの弾力性はある程度復活した。
メガCD復活
シリコングリースの塗布とゴムベルトの清掃が終わったら分解とは逆の順序で再組立をして終了。
応急的な修理だがメガドライブを接続して電源を入れたらメガCDは正常に動作した。
電源周りのパーツ交換
背面側にある細長基板のメイン基板から伸びるフレキシブルケーブルの当たりに三端子レギュレーターがあり、この周りに三個のアルミ電解コンデンサがある。
アルミ電解コンデンサは経年劣化を起こしやすい部品で修理の最初に交換したが 不具合症状(※トレイの自動イジェクト)には効果がなく、今回は予防取り替えの意味合いになった。
簡単に紹介する。
■アルミ電解コンデンサの交換
- [用意する物]
- 1.半田ゴテ(※コテ先温度の温度調節機能付き(実売五千円位)の物が使い易い)
2.電子部品用半田
3.半田吸取線
4.ニッパー
5.交換用アルミ電解コンデンサ
6.こて先クリーナー(こて台付)・・・あれば便利な物。
※2、3、6は千石電商の通販を利用。
※交換用アルミ電解コンデンサはマルツパーツ館(通販)を利用。
[基板取り外し手順]
1)メイン基板のCDドライブ部に繋がるフレキシブルケーブルをコネクタから外す。
2)メイン基板の取付ネジとコネクタがある四角い部分の太い取付ネジ(二個)を外す。
3)メイン基板が外れたら細長基板にあるフレキシブルケーブルをコネクタから外す。
このフレキシブルケーブルは下側の電極が剥がれているので折らないよう注意。
4)細長基板の取付ネジを外し、基板を取り出す。
※再取付はこの逆の順序で行う。
(参考)[交換手順]・・・・・(2012/3変更)
1)基板の裏に出ているコンデンサのリード線をニッパーで切り取る。
2)半田を半田吸取線で除去し、取り付け穴から出ているリード線を面位置で切り取る。
3)
取り付け穴に残っている半田を半田ゴテで溶かしながらコンデンサを傾けて強制的にリード線を穴から抜く。
4)もう片方のリード線取り付け穴も同様に半田を溶かしコンデンサを引き抜く。
5)取り付け穴に詰まっている半田を半田吸取線で除去する。
6)交換用コンデンサを極性に注意して取り付け穴に挿し、基板に半田付けする。
7)リード線の半田が付いている所から1mm位上でリード線をカットして交換終了。
■取り替えたアルミ電解コンデンサ
部品番号 |
耐温度 |
耐圧 |
容量 |
C27 |
85℃ |
16V |
100μF |
C25 |
105℃ |
6.3V |
100μF |
C24 |
105℃ |
6.3V |
100μF |
部品番号は基板に印刷されている。
アルミ電解コンデンサの寸法
直径:φ5.2(実測)
高さ:11~11.6mm
105℃品は三端子レギュレーターの放熱をもろに受けるところに使われているので、交換用も105℃品を用意する。
■交換用アルミ電解コンデンサ
高さ |
耐温度 |
耐圧 |
容量 |
5.9mm |
105℃ |
6.3V |
100μF |
7.6mm |
105℃ |
16V |
100μF |
直径:φ6.4(実測)
耐温度105℃品で統一。
直径が大きいが、高密度実装基板では無いため使用できる。
但し、6.3V品は三端子レギュレーターに近い所にあるため、スペース的にこの径より大きい物は難しい。
[参考](アルミ電解コンデンサ)
・耐圧が高いものは使用できるが容量の違う物は使用できない。
※一般的に耐圧が高いとサイズが大きくなるので取付スペースに注意する。
・使用温度で寿命が決まるため、耐温度が低い物を使用すると寿命が大幅に短くなる。
※例えば105℃品指定に85℃品を使うのはNG。
・極性がある(有極性)ので取付の際には注意する事。
外装のフィルムにはマイナス側の表示がある。
※逆に取り付けるとコンデンサが短時間で壊れます。
メガCDのゴムベルト代替品(2012/01 記)
応急修理から二年余りが経ちメガCDをしばらく使わないでいると、最初のゲーム起動でプーリーに掛けてあるゴムベルトのスリップが再発するようになったため、いつでも交換できるように購入した代替品。
価格的には安いが送料等が掛かるため、何か購入する際についでに買うと良い。
尚、ゴムベルトのスリップはゴムが固くなる冬場に起こりやすい。
[写真]:代替品のゴムベルト
φ25mm、1.6mm□
通販:千石電商で入手。
※商品は2010年頃に確認していた物。
ゴムベルトのスリップ回復方法(2015/07 掲載)
メガCDのドライブメカを上下に動かすプーリーのゴムベルトがスリップしCDトレイが自動イジェクトする症状が再発した場合の簡単な回復方法を紹介する。
これは、テープレコーダーのラバー用クリーニング液による応急処置が有効だった本体における方法です。
修理で説明している通り、ラバー用クリーニング液による応急処置でもゴムベルトを新品交換する場合と同様にドライブメカ部の分解等の手間が掛かる。
本体をその都度開けることはメガCDを傷める事にもなるため出来るだけ避けたい。
そこで、本体を開けること無くゴムベルトの応急処置をする方法を探してみた。
[写真]
メガCDのCDトレイをイジェクトして正面からCDトレイの下を覗いた状態。
CDトレイをイジェクトしてから電源を切り、この状態を保持する。
右側にCDトレイを動かす大きな歯車は見えるが前面にカバーが有るためゴムベルトが掛けてあるプーリーは見えない。
[写真]
本体を右斜めにしてCDトレイの左下から中を覗いた状態。
矢印のところに白いプーリーとゴムベルトが見える。
写真には写っていないが左奥にはモーター軸の小さな黒いプーリーも見える。
この位置なら綿棒がゴムベルトまで届く。
「ゴムベルトのスリップ回復方法」
ラバー用クリーニング液を染み込ませた綿棒を白いプーリーのゴムベルトに当てて右方向に動かすようにしながら拭くとプーリーが回転してゴムベルト全体をクリーニング液で拭くことが出来ます。 この時、上手くプーリーが回転していればCDトレイが少しずつ中に引き込まれます。
拭き終わったら、少し時間をおいてから電源を入れて動作を確認する。
この方法であれば、本体を開ける必要が無いため無駄にメガCDを傷める事もなくゴムベルトのスリップを回復できる。
※綿棒にラバー用クリーニング液を浸けすぎないよう注意。
※頻繁に症状が出る場合はゴムベルトを交換した方が良い。