外観は右側面の四角いコネクタ部分が特徴的。
CD-ROMドライブだが、この本体単体では動かず電源すら入らない。
メガCD本体を開けて中の動きを見るにはメガドライブ本体を接続する必要がある。
操作はメガドライブのコントロールパッドを使い、メガCDのコントロール画面から行う。
(コントロール画面の異常) | (正常なコントロール画面) |
[写真左]
不具合発生時のメガCDのコントロール画面。
メガCDディスクを入れても画面に”CD-ROM”コマンドが表示されずアクセス不能。
この状態になると少し間をおいて自動的にトレイがイジェクトされる。
[写真右]
正常なコントロール画面。
メガCDディスクを認識して画面に”CD-ROM”コマンドが追加される。
本体を開けるには底面のネジと写真のコネクタ部分のネジを外す。 上蓋部分はコネクタをカバーしている四角い部分をつまんで、反対側を支点にして斜め上方向に引き上げると外れる。
組立は逆順に支点側をセットしてから閉じる。
※真上に開けようとしても外れない。
写真はCDドライブ部の金属カバーを取り外した状態。
CDドライブ部は四角い金属カバーで保護されているので三箇所のネジを外して金属カバーを取り外す。
メガCD内部は、コネクタ側のメイン基板とCDドライブ部及び電源周りがある背面の細長基板で構成されている。
メガCDを動かすためにメガドライブ本体をセットする。
金属カバーが無いのでCDドライブメカに当たらない様に片側を綿棒で支える。
頼りない感じだが本体が軽いのでこれで十分。
[不具合症状]
音楽CDを入れてトレイを閉めると、”シュルシュル”と音がした後にCDが回転しないままイジェクトされてしまう。
[不具合原因の特定]
CDを入れてトレイを閉じると下がっていたメカが上に上がり基板の位置も平行になっているように見えたが、念のためイジェクトされる前に指で基板を押し上げてみたら更に上に動き、”カチャ”と云う音がしてCDが回り始め音楽を再生し始めた。
これで、ゴムベルトが不具合の原因と特定できた。
※”カチャ”と云う音は磁気クランプのチャッキング音。
写真はメガCDのトレイをイジェクトした状態で電源を切り、メガドライブ本体を外した所。
ゴムベルトはトレイの下にあり、トレイを外さないと状態を確認出来ない。
トレイをイジェクトさせた状態の方が外しやすいための処置。
※写真は修理後、掲載用に写した。
実際の修理ではゴムベルトの位置を探すため先にCDドライブ部を外し、その後からトレイを外した。
この場合、ロック状態で動かないトレイを外すには、
以上で自由にトレイが動くようになるが、分解やロック解除の手間が掛かるため先にトレイを外すやり方で紹介している。
■トレイの樹脂製ピントレイには、中から見て左の下側の溝にツメで固定された樹脂製のピンがあるので先にこれを外す。
その後、メカ部の金属板ベースの前方両側にある樹脂製ストッパーを一緒に外側へ広げ、トレイを前に押し出すと外れる。
ストッパーには円い穴があるのでピンセット等を使い広げると良い。
写真はトレイを外したCDドライブメカ部。
トレイを外すとゴムベルトが顔を出す。
ゴムベルトを外すには、白いプーリーの半分を覆っている樹脂カバーを外す必要がある。
樹脂カバーはツメで下側の穴に固定されているため、先にCDドライブメカ部を筐体から外す。
以上で、やっと目的のゴムベルトが外せる。
不具合の原因は、ゴムベルトの変形とギア付の白いプーリーの軸に塗られたグリスの固着と判断。
外したゴムベルトにひび割れ等は無いが、弾力性が失われてきて変形し、それが元でスリップして力が十分伝わらないと思われる。
[ゴムベルト]
約φ25 / 実測1.55mm□の角ベルト
※直径はおおよその値。
写真の黒い大きなギアはトレイを動かしている物。
樹脂カバーはメガCDを前から見てトレイをイジェクトしたときにその隙間から見える物。
※写真は修理後、掲載用にCDドライブメカ部を筐体から外して写した。
ゴムベルトの代替品は入手可否が不明な事と、ゴムの弾力性を復活させれば使えるとの判断から ”テープレコーダー用クリーニング液セット”のラバー用で丁寧に清掃した。
[ラバー用]:青色の液体清掃には綿棒を使用。
ラバー用液を染み込ませた綿棒でゴムベルトの表面を拭く作業を数回繰り返す。
これによりゴムベルトの変形までは直らないがゴムの弾力性はある程度復活した。
シリコングリースの塗布とゴムベルトの清掃が終わったら分解とは逆の順序で再組立をして修理作業は終了。 応急的な修理だがメガドライブを接続して電源を入れたらメガCDは正常に動作した。
背面側にある細長基板のメイン基板から伸びるフレキシブルケーブルの当たりに三端子レギュレーターがあり、この周りに三個のアルミ電解コンデンサがある。
アルミ電解コンデンサは経年劣化を起こしやすい部品で修理の最初に交換したが 不具合症状(※トレイの自動イジェクト)には効果がなく、今回は予防取り替えの意味合いになった。
簡単に紹介する。
部品番号 | 耐温度 | 耐圧 | 容量 |
C27 | 85℃ | 16V | 100μF |
C25 | 105℃ | 6.3V | 100μF |
C24 | 105℃ | 6.3V | 100μF |
部品番号は基板に印刷されている。
アルミ電解コンデンサの寸法
・直径:φ5.2(実測)
・高さ:11~11.6mm
高さ | 耐温度 | 耐圧 | 容量 |
5.9mm | 105℃ | 6.3V | 100μF |
7.6mm | 105℃ | 16V | 100μF |
直径が大きいが、高密度実装基板では無いため使用できる。
但し、6.3V品は三端子レギュレーターに近い所にあるためスペース的にこの径より大きい物は難しい。
応急修理から二年余りが経ちメガCDをしばらく使わないでいると、最初のゲーム起動でプーリーに掛けてあるゴムベルトのスリップが再発するようになったため、いつでも交換できるように購入した代替品。
価格的には安いが送料等が掛かるため、何か購入する際についでに買うと良い。
尚、ゴムベルトのスリップはゴムが固くなる冬場に起こりやすい。
[写真]
代替品のゴムベルト
φ25mm、1.6mm□
通販:千石電商で入手。
※商品は2010年頃に確認していた物。
メガCDのドライブメカを上下に動かすプーリーのゴムベルトがスリップして、CDトレイが自動イジェクトする症状が再発した場合の簡単な回復方法を紹介。
これは、テープレコーダー用クリーニング液セットのラバー用による応急処置が有効だった本体における方法です。
修理で説明している通り、クリーニング液のラバー用による応急処置でもゴムベルトを新品交換する場合と同様にドライブメカ部の分解等の手間が掛かる。
本体をその都度開けることはメガCDを傷める事にもなるため出来るだけ避けたい。
そこで、本体を開けること無くゴムベルトの応急処置をする方法を探してみた。
[写真]
メガCDのCDトレイをイジェクトして正面からトレイの下側を覗いた状態。
CDトレイをイジェクトしてから電源を切り、この状態を保持する。 右側にCDトレイを動かす大きな歯車は見えるが前面にカバーが有るためゴムベルトが掛けてあるプーリーは見えない。
[写真]
本体を右斜めにしてCDトレイの左下から中を覗いた状態。
矢印のところに白いプーリーとゴムベルトが見える。
写真には写っていないが左奥にはモーター軸の小さな黒いプーリーも見える。
この位置なら綿棒がゴムベルトまで届く。
この方法であれば、本体を開ける必要が無いため無駄にメガCDを傷める事もなくゴムベルトのスリップを回復できる。
※綿棒にクリーニング液を浸けすぎないよう注意。
※頻繁に症状が出る場合はゴムベルトを交換した方が良い。