※”本体のみ”の酷い汚れは通常使用では考えにくい汚れ方のため、ゴミとして廃棄された物を中古店が動作チェックして買い取った品物と推測される。
(2014年12月 NO.66 掲載)
[写真]
同上の背面。
製造所イニシャル:SEIYO D.
(1994年製)
シリアルNO.:B40で始まる番号。
1)ネジは取り付け場所毎に分類する。例えば、本体、メイン基板、電源基板、LED基板等。
又、同じユニットの取り付けでも長さが異なる物があるので、その様なネジは取り付け場所を明記してしておく。 大まかな区別として、外側のネジは黒色、内部のネジは黄銅色。
2)本体ケースを開けたら最初に内部の取り付け状態をデジタルカメラで写す。写す所はコネクタ類、機構部分(CDドア、フラップ、開閉ボタン等)、基板取り付けネジの位置など。 尚、電源基板からのコネクタは形で分かるので、開けたときに外して構わない。
※分解前の写真が有れば組み立てに迷う時でも元の状態を確認できる。
3)基板に載っているパーツ類は無闇に触らない。
「洗浄方法」
1)本体ケース 台所用中性洗剤で水洗い。(キッチン用スポンジで汚れをこすり落とす。) (汚れが酷い場合)
スプレー式基板洗浄剤を基板に吹き付けて汚れを落とす。
基板に残っている洗浄剤をエアダスターで吹き飛ばし乾燥する。
※変な臭いがする場合
※無水エタノールを含ませた綿棒で拭いた時に綿棒が真っ黒に汚れる場合等。
4)個別パーツ類
本体ケースと同じに水洗い。
(注意):洗浄方法等は個人的な見解による説明です。
[写真B]
メイン基板の裏面。
コネクタは付いて無いが空冷ファン用の配線パターンが残っている。
2)初期型のドライブユニット
セガサターンのデータの入り口として要となるドライブは、四カ所のゴム部品で支える構造で、本体ケースにはネジ止めされていない。(※ドライブユニットがゴム部品で浮いている状態)
赤矢印の輪っかの部分が四カ所の支柱に乗り、本体ケースの上側を閉めるとゴムの筒部分を挟み込み固定すると云うユニークな構造で、本体を開けて一番驚いた箇所。
膨らんだ輪っかは衝撃や振動を吸収するダンパーの役割と思われる。
ユニットの基板からはCDドアの開閉を検知するスイッチに繋がる被覆線が出ている。
(写真C):前方斜めから見た物。 スピンドルモーターとシークモータが見える。
(写真D):赤矢印はゴムの膨らみ部分(※浮き輪の様な形になっている)
(写真E):ドライブユニットを上から見た物。
(写真F):ドライブユニット基板の裏面。
3)サブ基板
ツインオペレーターを差し込むコネクタがある基板
ドライブユニットに繋がるフラットフレキシブルケーブルが延びている。
この基板は拡張機能を担う物でメイン基板とは別になっている。
フレキはドライブユニット側を外している。(写真G)
尚、フレキの折り曲げ部分の黄色テープは剥がしてはいけない。
(※CDドアのスプリングが擦るため)
(写真H):サブ基板に実装されているLSI。
(写真J):サブ基板の裏面でメイン基板側のレセプタクルに嵌め込むピンヘッダー(コネクタ)が有る。
(写真J)
メイン基板とはピンヘッダーで繋がる構造。
■「サブ基板側でフラットフレキシブルケーブルを外す場合」
フラットフレキシブルケーブルはサブ基板側のコネクタから外せる。
外す時にケーブルを引き抜く力がいらないので、この点では楽。
この場合、フラットフレキシブルケーブルはドライブユニット側に残る。
[写真]
初期型Vサターンでのドライブユニット取り外し例
(写真VS1)
コネクタ端子部分を緩めた状態。
コネクタの両側にある出っ張り部分をピンセット等で上に引き上げると端子部分が緩みフラットフレキシブルケーブルを外せる。
(写真VS2)
コネクタ端子部分を締めた状態。
フラットフレキシブルケーブルをコネクタに差し込み、コネクタ両側の出っ張り部分を押し下げると端子部分が締まり、ケーブルがコネクタに固定される。
※写真は初期型Vサターンの例。
(コネクタの状態が分かるようにケーブルは外している)
4)内蔵電源基板
VOLTEK製のスイッチング電源で、本体ケースの上側にネジ止めされている。
このため、AC入力のメガネ型コネクタも本体ケースの上側にある。
取り付け構造としては変な気がするが、設計上は搭載予定だった空冷ファンが関係しているかも知れない。
出力電圧は9V、5V、3.3Vの3系統が基板の印刷から確認できる。
[写真]
VOLTEK製スイッチング電源
5)LED基板
POWER(電源)とACCESS(アクセス)表示用のLED基板。
LEDは横に2個並んでいる。
[写真]
赤色LED基板・・・ACCESS表示用
(右にリセットスイッチが有る)
緑色LED基板・・・POWER表示用。
6)個別パーツ類
洗浄のために外したパーツ類。
スロットのフラップ、CDドア、フロントパネル、電池カバー、リセットボタン。
[写真]:個別パーツ類
細長いフロントパネル部分は本体との隙間に汚れがあり外して洗浄する必要がある。
フロントパネルはツメで本体側に固定されており、堅めの材質で外す際に矢印側のツメが折れたがフロントパネルの両側に両面テープが貼り付けてあり、両面テープで固定すれば良いと判明。
7)本体ケース
本体ケース下側の外側。(写真K)
4カ所のゴム足は水洗いすると水を含み中々水気が抜けない。
ティシュペーパーをゴム足の側面に押し当てて水気を取る作業が手間になる。
(写真K)
写真上側がコントローラー端子の有る筐体前面
シールは注意書き。
穴が開いた突起は内側のネジ穴。
(写真L)
本体ケース下側の内側の様子。
穴あきの突起はネジ穴や位置決めの穴。
シールド板をセットした際に高さの低い突起の分だけ本体ケースから浮く形になる。
[写真]
製造年や製造メーカーを示す刻印。
KIMURA PRASTICS KOGYO CO.,LTD
(刻印日付: 94年11月)
(写真M)
本体ケース上側の内側の様子。
穴あきの突起はネジ穴。
中央部分の四カ所の突起はドライブユニットを上から押さえるための物。
洗浄後の再組み立て手順の説明です。(※分解時は逆順になります。)
(注意):再組み立ての方法は個人的な見解による説明です。
4-1.「本体下側ケースの組み立て」
1)本体下側ケースに下側のシールド板(一番下の物)をセットする。
[写真1]
本体下側のケースにシールド板をセットした状態。
矢印(二カ所)の部分は本体ケースの上下の嵌め込みで、位置合わせの役割をする。
2)メイン基板をセットする。(写真2)
(手順)
a)メイン基板を下側シールド板の上に載せる。
b)メイン基板左側の一番上のネジ穴をネジ止めする。(一カ所のみネジ止め)
c)メイン基板のコントローラー端子コネクタ部分をネジ止めする。
[写真2]
下側シールド板の上にメイン基板をセットした状態
黄色丸印の所を見ると空冷ファン搭載が予定されていた事が分かる。
3)サブ基板と支柱とプラスチック製ガイド枠の取り付け。(写真3)
サブ基板は三カ所のツメと裏側のコネクタで固定される構造。
(手順)
a)プラスチック製ガイド枠(黒色)を先にネジ止めする。
b)サブ基板を右側のツメに引っかけて、左側二カ所のツメを少し開く様にしながら裏面のコネクタ(ピンヘッダー)部分を下に押してメイン基板のレセプタクルに嵌め込む。
c)サブ基板の上側(下側シールド板に乗っている部分)一カ所をネジ止めする。
d)四カ所の支柱をネジ止めする。
[写真3]
サブ基板と支柱とプラスチック製ガイド枠の組み立て。
(注意):フラットフレキシブルケーブルをサブ基板側で外した場合は写真のフレキは無い。
(※ドライブユニット基板にフレキが付いている)
4)上側シールド板を取り付ける。(写真4)
(手順)
※フラットフレキシブルケーブルをサブ基板側で外した場合は 手順b)から始める。
この場合、手順d)は5項のドライブユニットをセットした後で行う。
a)サブ基板のフラットフレキシブルケーブルを上側シールド板の切り欠き部分に通してシールド板の上に出す。
b)組み立ては、左側面に延びている下側シールド板との嵌め込みを先に行ってから上側シールド板をメイン基板の上に被せる。
(※先に被せるとシールド板同士の嵌め込みが思うように行かないので注意。)
尚、シールド板の左側面が浮き上がる場合は上側のかみ合わせが緩いので、嵌め込み部分の隙間(間隔)を狭めてからやり直す。
c)カートリッジスロットのコネクタとメイン基板の右側部分をネジ止めして、メイン基板とシールド板を固定する。
d)黄色テープを元の位置に貼り直す。(※分解時、黄色テープは必要な所のみ剥がす。)
[写真4]
上側シールド板の組み立て。
黄色テープも元通りに再度貼り付ける。
右側の空いている部分には上側ケースに取り付けられた電源基板が収まる。
(注意):フラットフレキシブルケーブルをサブ基板側で外した場合には、写真のフレキは無い。
5)ドライブユニットをセットする。(写真5)
※フラットフレキシブルケーブルをサブ基板側で外した場合は、手順b)から始める。
手順b)の後でドライブユニット基板のフレキをサブ基板のコネクタに嵌め込む。
(手順)
a)フラットフレキシブルケーブルをドライブユニット基板のコネクタに嵌め込む。
b)支柱にドライブユニットを乗せる。
c)丸い止め金具付きの被覆線をワッシャーと共にシールド板にネジ止めする。
d)基板から延びる小さい白のコネクタをメイン基板側に嵌め込む。
以上で本体ケース下側の再組み立ては終了。
[写真5]
ドライブユニットの組み立て。
1)フロントパネル部分の組み立て
(手順)
a)OPENボタンとRESETボタンを所定の場所に取り付ける。(写真6)
※ボタン両側のツメ部分を取り付け穴に押し込みボタンを枠に入れる。
b)赤丸印の位置に両面テープを適切なサイズに切って貼り付ける。
※両面テープは”強力タイプ ナイスタック”等の薄い物。
[写真6]
「OPEN」と「RESET」のボタン取り付けと両面テープの貼り付け。
c)両面テープの紙を剥がしフロントパネルを取り付ける。(写真7)
[写真7]
フロントパネルの取り付け。
2)CDドアとフラップの取り付け(写真8)
CDドアとスロットのフラップを関係するパーツと共に取り付ける。
取り付けは[写真8]の番号順とする。
[写真8]
CDドアとフラップ及び金具類の組み立て
(手順)
「フラップ」
a)フラップ(番号1)と固定金具(番号2)とスプリングを順に組み合わせて所定の位置に収める。
(※スプリングは長い方がフラップ側)
b)絶縁シート(番号8)の下になる箇所をネジ止めする。
c)スプリングの長さが短い方を固定金具(番号2)に引っ掛ける。 (写真P1)
3)LED基板(POWERとACCESS)とCDドア開閉機構(OPEN)の組み立て (写真9)
(手順)
a)POWER表示のLED基板(緑色LED)をネジ止めしてコネクタ付きの被覆線を本体ケースの側面に黄色テープで固定する。
※黄色テープは本体ケース洗浄の際に剥がしておいた物。
b)CDドア開閉機構(OPEN)の軸部分に白い回転アームをセットしてから、その上にスプリングを写真の形(黄色丸印)に仮置きする。
c)ドライブユニットに被覆線で繋がっている金属板を本体上側ケースのCD開閉機構部分にネジ止めし、回転アームとスプリングを固定する。(写真10)
d)ACCESS表示用LED基板(赤色LED)をネジ止めしてからコネクタ付き被覆線を黄色テープで本体ケース側面に固定する。(写真10)
赤丸印の所にCDドアの開閉を検知するスイッチがある。
e)CD開閉機構のスプリングの片方(赤矢印)を金属板に引っ掛ける。(写真11)
[写真11]
LED基板と金属板の組み立て。
(拡大表示)
4)POWER(電源)スイッチの取り付け(写真12)
(手順)
a)POWERボタンが付いている電源スイッチをネジ止めする。
※ネジ止めの際にPOWERボタンをON/OFFしてスムーズに動くか確認。
※チューブの部分は無水エタノールとキムワイプで汚れを拭き取っておく。
b)被覆線が通っているチューブ部分を元の場所に取り付ける。
(写真の様に這わせる。)
[写真12]
POWERスイッチの取り付け。
5)電源基板の取り付けとLED基板のコネクタ接続(写真13)
(手順)
a)POWERスイッチから延びる被覆線のコネクタを電源基板に嵌め込む。
b)電源基板を写真の状態にセットしてネジ止めする。
※基板中央の縁部分を台座に嵌め込む。
※ネジ止めはAC入力のメガネ端子側が先。
c)LED基板のコネクタをメイン基板側に嵌め込む。
[写真13]
電源基板の取り付けとLED基板のコネクタ接続。
電源基板も空冷ファンありきの形状になっている。
(基板に切り欠きがある)
6)本体上下ケースのネジ止め
(手順)
a)本体上側ケースを立てた状態で電源基板から延びるコネクタをメイン基板側に嵌め込む。
b)本体上側ケースを下側ケースに被せて取り付け位置を合わせる。
c)上下のケースに隙間が無いことを確認してから、底面側とAC入力のメガネ端子脇をネジ止めする。
[写真]
ケースの嵌め込み位置合わせ部分。
(上側ケースの背面側)
矢印(二カ所)の出っ張りが位置合わせをする所。
この部分を下側ケースに嵌め込むとピッタリ被せる事ができる。
以上でセガサターンの再組み立ては全て終了。
電源を入れて正常な動作を確認すれば分解洗浄作業の完了。
[写真]
初期型Vサターンの”本体のみ”の中古品。
(分解洗浄後の写真)
セガサターンの中古品より汚れが酷く、内部基板をスプレー式基板洗浄剤で洗浄してようやく変な臭いが消えた。
[写真]
同上の背面。
Vサターンは、本体カラー(※ツートンカラー)とフロントパネルがセガサターンとは異なる姉妹機。
製造所イニシャル:SEIYO D.
(1994年製)
中古品の本体を開けて驚いたのは電源基板が山なりに反った形で取り付けられていた事。
これは、写真の赤丸印の所にある台座に電源基板の縁を挟まなかったため起きたもので、前の所有者が中をいじっていない場合は製造したメーカーの単純な組み立てミス。
電気的には異常ないため本体を閉じた後では分からない。
[写真]
台座への取り付けミスで山なりに反っている電源基板。
※洗浄前のため中が汚れている。
[写真]
正しい取り付けの電源基板。
(洗浄後の再組み立て)
「分解洗浄」
基本的にセガサターンと同じなので分解洗浄の方法(手順)も同じ。
内部基板の汚れが酷く臭い残りの原因と思われたのでスプレー式基板洗浄剤を使って各基板を洗浄した。
尚、ドライブユニットは基板の分離が簡単にはできないため、スプレーが出来る範囲の洗浄を行った。
基板洗浄剤をスプレーすると番号等の捺印インクが流れてしまうので、記録しておくなら洗浄前に写真を撮る。
「Vサターンのフロントパネル」
デザイン的にVサターンが異なるのはフロントパネル。
不透明な黒色樹脂でLEDの光を集める透明パーツが付いている。
家電製品にはよく見られる方法で、このためLEDの点滅がセガサターンより分かり易い。
[写真]
フロントパネルの裏側。
LEDの光を集める透明パーツが付いている。
透明パーツは突起に嵌めてあるだけで接着されていない。
「内蔵電源基板」
中古セガサターンと同じVOLTEK製のスイッチング電源。
[写真]
VOLTEK製 内蔵電源基板。
1)「K-1 DENSHI製造 初期型セガサターン」の場合
[写真]
発売当時に購入したセガサターンの製造ラベル
製造所イニシャル:K-1 DENSHI
(1994年製)
[写真]
セガサターンの内蔵電源基板
電源メーカー不明(メーカー名無し)
パワートランジスタの放熱板が大きく、放熱板の高さもVOLTEK製より約3㎜高い。
放熱板に取り付けられている数も4個と多く、このため発熱量が多いと推測される。
又、放熱板が本体ケースに近い分、その部分のケースが熱くなりやすいと思われる。
音質はVOLTEK製電源を搭載した中古品(セガサターンとVサターン)よりこちらの方が良い。
[写真]
電源基板のAC入力側。
VOLTEK製とは異なりヒューズソケットにヒューズ管が嵌めてある。
このためヒューズ交換が容易。
2)「SEIYO D.製造 初期型セガサターン」の場合
[写真]
本体製造:SEIYO D.
中古品の電源基板。(VOLTEK製電源)
放熱板が小さめで高さが低く、パワートランジスタの数も2個。
放熱板の面積が小さいのは発熱量がその分少ないと云う事で、本体ケース温度が低めな事とつじつまが合っている。
[写真]
電源基板のAC入力側
基板に印刷されたヒューズ仕様は二つ
1)125V(国内用)
2)250V(海外用)
海外仕様250Vの印刷は黒マジックで消されている。
このため、パーツの切り替えで海外仕様にする設計と思われる。
3)「SEIYO D.製造 初期型Vサターン」の場合
[写真]
初期型Vサターン
中古品の電源基板のAC入力側
VOLTEK製電源で基板に印刷のヒューズ仕様は125Vのみ。
本体製造:SEIYO D.