16BIT POCKET MD plus
（16ビットポケットMD プラス）

コロンバスサークルから2020年9月中旬に発売されたセガ非公認の小型液晶画面付き携帯型メガドライブ互換機。
乾電池対応のみの前機種”16BIT POCKET MD”のＡＣアダプタ対応モデルで本体カラーが青色系になった。
電源が単四形乾電池とＡＣアダプタの両対応になり使いやすくなった事からメガドライブ関連では珍しい携帯型互換機の使い勝手やテレビ出力等を確認した。

（2020/11　NO.101掲載）

（注）2023年6月現在、”16BIT POCKET MD plus”は生産終了になっている。

１．16BIT POCKET MD plus

本体形状は前機種と変わりなく、本体カラーが青色系で白のアクセントカラーとなり明るいイメージになった。 左側に携帯用ストラップ付き。
ＡＣアダプタ対応で右側上部にアダプタ端子（電源端子）がある。
電源は単四形乾電池４本もしくは付属ＡＣアダプタ。
メガドライブ専用カートリッジ対応機で内蔵ゲーム類は無い。
背面にカートリッジスロットが有り、上からカートリッジを挿す形になる。

[写真]
 ゲームを起動した16BIT POCKET MD plus

液晶画面左側の表示が少し欠けて見える。

■「液晶画面」
２．８インチ液晶はメガドライブ用としてはギリギリという感じの小ささ。
明るさは固定ながら適正な明るさで見やすくクッキリした映像でプレイはしやすい。
問題は白い窓枠の開口幅が足りず左側が１㎜程欠けて見えないこと。
又、残念ながら液晶画面ではメガドライブの特殊映像効果が機能せず、ゲーム本来の姿が再現しない。 このためゲームによってはプレイの快適さが損なわれてしまう。

■「ゲーム操作ボタン」
左側の方向ボタンは動きがやや固くサイズが小さい事もあって対戦格闘系のコマンド入力には不向きな作り。
右側の６ボタンもサイズが小さめで間隔も狭いため、誤って隣のボタンを同時押しすることがある。 本体に”MODEボタン”があり３ボタンタイプに切替可能。
（※注１）
 2022年11月に購入した物では方向ボタンの動きの固さが改善していた。

■「ＡＶ端子（テレビ出力）」
付属ＡＶコードでテレビ出力が可能。 （※テレビ出力中は液晶に何も表示されない）
音声はモノラル、テレビ側で画面比率を４：３にする必要がある。
ＡＶ出力特有の色にじみがありぼやけた感じながら画質は”MDコンパクト”並み。
利点はメガドライブの特殊映像効果が機能してゲーム本来の姿が再現されること。
このため特殊映像効果が使われたゲームではプレイが快適になる。

■「音声出力」
本体並びにイヤホンジャックはモノラル出力ながら音質は良好。
乾電池の場合には消耗により電圧が下がると音質も徐々に悪化するがＡＣアダプタではその心配は無い。

■内部の様子
カートリッジスロットから覗いても搭載チップ等は見えないため、製品保証は無くなるがネジを外して中を確認した。
基板は本体ケースに丁度収まる大きさで使われているパーツ類は少い。
搭載チップは”TCT-6803”で液晶パネル側にある。 
隣のチップは型番から”8メガビット ブートセクタフラッシュメモリ”。
チップの上に液晶パネルを押さえるスポンジがもろに被さっておりチップの放熱性が心配される構造。
 
液晶パネルは位置合わせの仕切りに収める形で勝手に動かす事は出来ない。

ケース内側を見ると液晶画面の左側が１㎜程欠けている理由は、液晶パネルの取付け位置の問題と分かる。 
白い窓枠は右側がはみ出ており、欠けを無くすには液晶パネルの位置を少し右側に寄せてケースの開口部に合わせれば済むが、寸法的に余裕が無いためか白い窓枠の開口幅を狭くして誤魔化している。
 

■専用ＡＣアダプタ
付属専用ＡＣアダプタは重さの軽いスイッチング式。
・定格出力電圧：６Ｖ
・定格出力電流：３００ｍＡ
本体側はDC 5V表示で食い違っているが、本体ケース金型をFC互換機と共用もしくは流用したためと思われる。

■「動作上の問題点」
前機種のＷｅｂ上の製品レビューで指摘されていた、”乾電池が消耗して来るとゲームデータのセーブやロード操作が出来ない”と云う問題点が本機に残っている。
プレイには支障が無くても電圧が低下するとメモリを認識できないようで、”データがありません”などと表示される。 （※表示はカートリッジ側の仕様に依存） 
また、ゲーム起動時はコンティニューが表示されず強制的に新しくゲームがスタートする。
電圧低下の警告表示などは一切ないためＲＰＧ等では非常に困った問題となる。

　　 　

■「マークⅢ／マスターシステム互換機能」
製品仕様には無いが搭載チップが”TCT-6803”のため、”レトロフリーク用ギアコンバーター”で試したところ、画面が白くなるだけで”マークⅢ／マスターシステム専用ゲーム”は起動しなかった。

■「特殊映像効果の例」
メガドライブでは半透明処理などの特殊映像効果がゲーム内で使われていて、この再現の有無がゲームプレイの快適さなどに直接影響する場合がある。
下は”ラングリッサーⅡ”の出撃準備画面。
[写真] （特殊映像効果が機能していない例）

”16BIT POCKET MD plus”の液晶画面写真。
液晶表示は全ての枠が同じ明るさのため、どのカーソルが有効かハッキリせず操作に戸惑う。

[画像] （特殊映像効果が機能している例）

”16BIT POCKET MD plus”のＡＶ端子のキャプチャ画像。
無効化されたカーソル枠は暗く表示されるため操作に戸惑うことは無い。（※このゲーム本来の姿）

２．互換性等の検証

メガドライブ互換機として気になるのがメガドライブ専用ソフトの動作状況。
搭載チップが”TCT-6803”のため、互換性は同じチップを使用する”HD RETRO GAME”並みと思われる。
手持ちの幾つかのメガドライブソフトで起動と動作の確認をした。
  （※確認は液晶画面）
尚、液晶画面ではメガドライブの特殊映像効果は機能しないが、どのＭＤ専用ソフトも同じため判定内容から除外。

（判定記号）
○・・・正常 △・・・問題あり ×・・・動作異常あり

１）正常に起動、動作したタイトル

タイトル	BACK UP	備考
ベア・ナックルⅡ	－	－
アウトラン	－	－
ロードラッシュⅡ	－	ジェネシス ※リージョンフリー
フラッシュバック	－	－
スーパーファンタジーゾーン	－	－
トージャム＆アール	－	－
バトルマニア	－	－
ゼロウィング	－	－
フェリオス	－	－
ぺぺんがペンゴ	－	－
ラングリッサーⅡ	MEMORY	－
ふしぎの海のナディア	パスワード	－
ガンスターヒーローズ	－	－
シャイニングフォースⅡ	MEMORY	－
ファンタシースターⅢ 時の継承者	MEMORY	－
ファンタシースター ～千年紀の終わりに～	MEMORY	－
モンスターワールドⅣ	MEMORY	－
魔導物語Ⅰ	MEMORY	－

２）起動や動作に問題が出るタイトル

タイトル	起動	動作	BACK UP	備考
ひょっこりひょうたん島   大統領をめざせ！	○	× （ゲームスタート不能）	－	デモ画面を繰り返す
ファンタシースター復刻版	×	－	MEMORY	起動しない

「結果」
１）TCT-6803チップ搭載の他の互換機並みに正常動作する。
２）他の互換機で問題が出た物は同様に動作しない。

「総合評価」
液晶画面では特殊映像効果が機能しない等を含め幾つか欠点はあるが、見やすい液晶の携帯型で何処でもメガドライブのゲームを楽しめる。
ＡＣアダプタ対応で電池残量によるゲームデータのセーブとロードの問題を気にせずプレイ出来ることが一番の良い点。
ＡＶ端子出力でメガドライブの特殊映像効果が機能する所は評価のポイントが高い部分。

• ・2020/11/03 搭載チップ写真の入れ替えと内部写真の追加及び文章の追加と変更。
• ・2021/1/2  「動作上の問題点」に「リセット動作に弱い」を追加。
• ・2023/6/17  「ゲーム操作ボタン」と「その他」に注釈を追記。
• ・2023/7/3  ゲーム起動時の本体写真を追加。
• ・2023/9/26  フォント指定に"sans-serif"追加に伴い表示の整合を図る。