弐千壱年 二月二十六日 神戸倶楽部斬空


 HIROLYNは、その直前「嫌な予感」を口にしていた。ステージの片隅、張り詰めたテンションの中で彼がそう言うことはこれまでなかった。

 明らかな体調不良。HIROLYNも、そして、TETSUも、いつものステージとは違っていた。TETSUの声がのびない。そして、激しさの足りないHIROLYN。ステージの始まりから、何かがかけ違えられた。1曲目の
「PILEDRIVER」・・・いつもの「OPEN THE GATE」ではなかった。そして「MIND=WAR」。二人の策略か?・・・何かが違う。それを決定付ける三曲目の「INFINITY ∞」・・・これまでラストを務めていた曲。「?」そんな不安が訪れる。本当ならば、何かを期待するはずの流れ。しかし、この日、感じるのは不安ばかりだった。

 HIROLYNのMC。いつもと変わらない。何かを隠す企みも見えない。二人は何をもがいているのか?その日の双龍は見えなかった。

 聞き覚えの無い旋律。今までに無いリズム。アップテンポであり、そして激しさを増す。ただ、メロディだけがこれまで以上に輪郭をはっきりとさせる。
新曲「DCS−J」、ハードスタイルな曲だ。ちなみに、この曲も3月のアルバムに収められる予定だという。
 そして、ロックパンドを主張する
「BEAUTY」がパワーに押し出される。そしてLAST、へヴィロックナンバー「VICTOR」・・・・・そして、幕は閉じられた。

 何かが違う。奇妙なSET LIST。新曲以外にその意図が読めない。ステージを降りたTETSUが疲れきった表情で呟いた。「データミス」。答えはシンプルだった。つまり、トラブル。この日、キーボード・データの曲順が切り替わってしまっていたらしい。二人は次の曲が何なのかさえ知らずにステージに立っていた。
 翌日、HIROLYNはムクんだ寝起き顔で話してくれた。「機械相手は難しいわ。生やったら、ある程度、融通きくんやけど・・・。ホンマ、曲順がゴソッと変わったんわビックリしたわ。予感当たってしもたな」。そして、切れの悪い言い訳の後、「もう、ちゃんと補正したから大丈夫。俺らもまだまだ青二才やな。3月1日・28日はいつもの双龍でいくから安心して・・・あ、いつも以上の双龍で!!体調も2人とも回復していくから楽しみにして欲しい」
 また、何かを企んでいるらしい。3月1日のライブに来た人は取り敢えず「お得」で「ラッキー」だとのこと。何を考えているのか・・・それは「お楽しみ」だと教えてはくれなかった。




SETTING LIST

1.PILEDRIVER
2.MIND=WAR
3.INFINITY ∞
4.DCS−J
5.BEAUTY
6.VICTOR

seagull