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+++ 効力 +++ 消去法とは、複数の物事の中から何かを選び出す際に条件に合わないものを除外して行き、残ったものを採用する方法である。 今、ナナミが彼の隣にいるのは、まさにその結果だった。 何故なら、その日のパーティーメンバーが『バド』『マイクロトフ』『カミュー』『ゲンシュウ』『ナナミ』『リーダー』であり、 リーダーである弟とカミューは先刻より別行動に入ったからであり。 皆、目を閉じて瞑想でもしているかのように動かない。 積極的に他者とコミュニケーションを取ろうという人間が一人としていない中、 ナナミは居心地が悪そうに俯き、抱えた膝をもぞもぞと動かしていた。 やがて、沈黙に耐えかねたナナミは年が一番近いマイクロトフのそばに(にじりにじり)と座りながら移動し、声をかけたのだ。 「あの、隣に座っても、いいですか?」 「どうぞ」 「ありがと」 「いえ」 「二人とも遅いね」 「ええ」 「色んな動物の鳴き声が聞こえて来るね」 「はい」 これがカミューなら『夜行性の動物の話』などをナナミにも興味深いように聞かせてみせただろう。 しかし、マイクロトフは 『三文字以上を喋ったら死ぬ』 かのように、後の言葉は続かない。 何故、弟はカミューを置いて行ってくれなかったのか、何故、他の三人から選ばなかったのか、 考えれば答えは明白だ。 (あの子・・・あの子もこの三人の内の誰かと二人きりになるのはイヤだったのねーっ!!!) 今回のパーティーメンバーを決めたのはシュウである。 一体どんなメリットがあるのかわからないが、とりあえず現時点で作戦の半分は成功しているのだから、シュウの判断は正しいといえよう。 待機中の森の中はすでに真っ暗だったが、闇は怖くない。 肉食獣やモンスターの気配もなく、ここにあるのはただ、笑顔がどうしても想像出来ない男三人が醸し出す重苦しい雰囲気。 ナナミはすくっと立ち上がり、深呼吸をするために皆から離れた。 十分程が経ち、マイクロトフも立ち上がった。 ナナミが離れた時、小用くらいに思い、何も聞かなかったし、注意もしなかった。 けれど、それでは帰って来るのが遅過ぎる。 一歩を踏み出した所で、ガサガサと低木を踏み越えやって来る足音が背後から聞こえた。 振り返ると、ナナミが両手で何か動くものを掴んでいる。 「ほら、見て。ウサギさん」 素手で野生のウサギを捕まえた事に感心しつつも、 小動物を愛でている場合ではないのだがとマイクロトフは渋い顔をしてしまう。 しかし、 「どうする?煮る?焼く?」 (((食うんかい!))) 無口無愛想男達の心の声がひとつになった瞬間だ。 「・・・とりあえず、それはハイ・ヨー殿に持って帰りましょう」 「でも、お腹、空いてない?」 「空いているのなら、これを差し上げます」 マイクロトフは携帯食の木の実をナナミに渡した。 ゲンシュウも笹の葉で三角に包んだ干飯をずいっと無言でナナミに差し出した。 バドまでもが細長い干肉をナナミに握らせた。 (あ、何だ。この人達、優しいんだ) リスのようにカリカリと木の実をかじり、はむはむと干飯を頬張り、ぶちっと干肉を食い千切るナナミが可愛くて、 マイクロトフはその様子にいつのまにか微笑んでいた、らしい。 「何かおかしい?」 「はい?」 「笑ってたから」 「俺が、ですか?」 「うん。マイクロトフさんも笑うんだねえ」 「・・・はあ」 「たまにそういう顔を見ると、嬉しくなるねえ。あ、いつもはいつもの顔がいいな。 それでね、たまに少しだけ笑うの。そうするとね、女の子って結構ドキッとするのよ。 この前シロウさんがお婆さんを背負って運んであげてたみたいなの。 あれって、フリックさんがやっていると当たり前に見えて気にもとめないんだけど、シロウさんだと意外性で見直しちゃうのね」 「意外性・・ですか」 「うん。カミューさんだといつも笑っているからドキドキしないんだけど、マイクロトフさんが笑うとドキドキするよ」 その言葉をどう受け止めればいいのか。 頬を染め顔を覗き込まれて、もたれていた木に背骨が当たる程追い詰められる。 無駄と思いつつ、他の二人に助けを求める視線を送ったが、ゲンシュウとバドは地蔵と化していた。 「・・・・・」 「あ、他にね、好きな女の子一人だけに笑顔を見せるというパターンも効果的なのよ」 マイクロトフとて、十も年下の女の子にそんなことを教えてもらう程、潔癖に生きて来たわけではない。 「それは、あなたにも有効なんですか?」 「わたし?うん、わたしもそういうのに弱いと思う」 「では、そうしてみます」 「え?」 月明かりの下には、真っ赤になった少女と、不敵に笑う男と、地蔵が二体。 +++ (2003.9.9) 前衛キャラ後衛キャラとかは考えてはいけない(笑) ■幻水2小説TOP■ ■TOP■ |