基礎知識 パートU 
         ☆歯の健康を守るPMTCって何?
        ☆歯と歯茎を破壊する怪物、ブラキシズムの正体
        ☆母親必見!悪い歯並びを作る食生活。
        ☆悪い歯並びを未然に防ごう!

         ☆口呼吸の弊害
            
☆歯の健康を守るPMTCってなに? 
 ●PMTCとはプロフェッショナル・メカニカル・トゥース・クリーニングの略です。
要するにプロの手で歯とその周りを完璧に掃除して磨きあげるのです。
どうして必要なんだろう? 虫歯や歯肉の病気の原因は歯垢を構成する虫歯菌だっつたり歯周病菌だったりするのはご存知ですね。ならば歯垢がたまらなければそれらの病気にはかからないですよね。そこで充分歯垢を掃除出来ればお口のなかの健康が保てるのです。しかし個人の歯磨きではどんなにうまく磨けても30%ぐらいの歯垢は残ってしまいます。しかも磨き残す場所は常にほぼ同じところなので問題は深刻です。そこをきれいに掃除してざらざらな表面をツルツルにして再び汚れがつきにくくするのがPMTCです。
PMTCってどうするの?ゴムの小さなカップなどに極微細な研磨用のペーストを入れて研磨します。また銀歯やブリッジが入っている場合はそれに合わせてクリーニングしますのでメンテナンスにもなります。
PMTCの効果は? まず歯の汚れや着色が取れてその人本来の美しい歯になります。コーヒーやお茶、タバコやその他の食品で意外と歯には着色しているものです。
そして歯の表面の目に見えない微細な傷やでこぼこを極力平坦にツルツルにすることによって歯垢や歯石を着きにくくするのです。その結果虫歯や歯周病の予防になります。人によってはクラウンやブリッジなどの歯のかぶせ物がしてあるでしょう。そんな人には歯のかぶせ物のお手入れになりその寿命をかなり延ばすことが期待できます。
ある研究の結果、虫歯予防の観点では、6年間で虫歯治療した歯面の数を比較したところPMTCをしなかったひとは平均14歯面だったのに対しPMTCをした人は0.2歯面だったという結果が出ています。歯周病の予防の観点では、PMTCをしなかった人はした人より1.4o歯肉が退縮(歯茎が痩せてしまうこと)してしまったそうです。
毎日の歯磨きは大切!でも自分では限界があります。2ヶ月から3か月に1回はプロの手を借りましょう。定期的にPMTCを受ければ虫歯や歯周病の効果的予防になることがよくお分かりになったことでしょう。のみならず例え虫歯や歯周病になっていたとしても大事に至る前に発見できるわけですから歯科治療費や通院する期間を大幅に減らすことができるのです。悲しいかな日本人の歯や口に対する意識は先進国の中でもとても低い現実があります。先進国中で最も安いコストで治療を受けられるという恩恵(アメリカの5分の1から20分の1)に浴しているのですから大いにそれを利用して、国際人として歯やお口の意識も高めて欲しいものです。
  

☆歯と歯茎を破壊する怪物ブラキシズムの正体。
ブラキシズムって知ってる?上下の歯が噛みしめられたりして接触するのは物を噛む時と物を飲み込む時だけというのが生理的に自然な状態です。それ以外で噛みしめたり歯ぎしりしたりカチカチ噛んだりするのは異常な状態であり貧乏ゆすりやチックに近い生体反応です。その原因の多くは精神的なもの(現時点のストレス、不安や恐怖や怒り、社会的重圧、周囲との摩擦、過去の心的外傷いわゆるトラウマ)や幼少時の間違ったしつけや習慣、かみ合わせの不正などが考えられています。
●ブラキシズム(噛みしめ・歯ぎしり・カチカチ噛む)は歯を支えている骨を破壊顎関節を破壊し歯をすり減らせ歯や歯根に亀裂が入る。という深刻な被害があるのです。歯周病は歯肉の炎症を助長させ歯を支えている骨が壊れて行くので歯がぐらぐらになってしまいます。顎関節にも深刻な被害をもたらし、口が開きずらい、顎関節が痛いなどの症状が出ます。なぜそこまで深刻な被害が出るのか?人は強く噛むと数キロから30キロ、場合によっては自分の体重ぐらいの噛む力が出ることがあるし、特に歯ぎしりの場合は力のかかりかたが横方向にかかるのが問題なのです。歯は物を噛むときの短い時間のみ力を負担するようにしか作られていませんし、垂直に近い力を支えるようにしか作られていないからなのです。
全身の筋力バランスを崩し健康を損なう可能性もある。顎を動かす筋肉は少なく見ても左右6対で12あります、それらの筋肉が常に緊張したりアンバランスだったりすると首や肩の筋肉の過度の緊張とアンバランスを招き、ひいては全身の筋力のバランスを崩してしまいかねません。少なくとも肩こりの人はブラキシズムを疑うことも必要でしょう。
ではどうすればいいのでしょう。まずはブラキシズムの被害が出ないようにしましょう。起きているときは噛みしめることを極力やめることです。次の標語を紙に書いて家中の目につきやすいところに貼ったり気がついたときに唱えましょう「唇を閉じて、奥歯を離し、顔の力を抜く」。寝ている時は意識できないので歯医者さんで保護床(ナイトガードというマウスピース)を作ってもらい装着して寝ます(保険適用)。これらは対症療法で緊急避難的方法です。ブラキシズムの原因を探り根本的な対処をすることが望ましいのは言うまでもありません。そのことについては改めて取り上げたいと思います。