謡曲研究資料(謡180番関係)        2016/12/8 更新

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宝生流謡会のページ

  
謡曲180番の索引(アイウエオ順)

  
宝生流謡曲名寄せ(謡曲180番)
  @補助的な細目 概況説明
  
A補助的な細目 同種類的謡
  
B補助的な細目 舞の曲と種類

  
福島県に関係のある謡曲
  
謡会の日程
  
能という言葉の意味
  
能と謡
  
能 面
  
能の上演形式
  
能楽十五徳
  
宝生能楽堂
  
宝生流の歴史

  
謡曲関係リンク

  
小原隆夫の所属謠会
 


                              福島県郡山市片平町の采女神社


謡曲180番の索引(アイウエオ順)

宝生流 謡曲180番 名寄
 アイウエオ順              素謡
フリガナ   コード  曲目  時間  人数  稽古順  季節
 

ア マ        
1121  海  人    50    3      初序     春
アオイノウエ     
1054  葵  上   37    4      初奥     不
アコギ        
1065  阿  漕   40    2       初序     秋
アシカリ       
1161  芦  刈   54    3      入門      春
アタカ        
1182  安  宅   60    4      中序      春
アツモリ       
1132  敦  盛    43    3      入門     秋
アヤノツツミ      
2124  綾  鼓    40    3      奥伝     秋
アラシヤマ      
1091  嵐  山   30    5      入門     春
アリドウシ      
1081  蟻  通   38    2      入門     春
 イ
イクタアツモリ    
2102  生田敦盛  33    3      入門    秋
イヅツ       
1033  井  筒   50    2      中序    秋
イワフネ       
2101  岩  船   25    2      平物    秋
 ウ
ウカイ        
1015  鵜  飼   30    3      平物    夏
ウゲツ        
2123  雨  月    45    3      中序    秋
ウコン        
1171  右  近    35    2      平物    春
ウタウラ        
2054  歌  占   49    3      初奥    春
ウトオ        
1135  善 知 鳥   45    3      初奥    夏
ウネメ        
1053  釆  女   53    2      初序    春
ウメガエ       
1074  梅  枝   44    3      初序    秋
ウンリンイン      
1185  雲 林 院   45    2      初序    春
 エ
エ マ        
2111  絵  馬   20    4      入門    冬
エグチ        
1143  江  口   60    3      中奥    秋
エビラ        
2012    箙     40    2      入門    春
エボシオリ     
2154  烏帽子折  48    6      入門    秋
 オ
オキナ        
1001    翁         2
オイマツ       
1031  老  松   35     3      入門    春
オオエヤマ      
2154  大 江 山   35    3      入門    夏
オオムコマチ      
1113  鸚鵡小町  60    2      奥伝    春
オシオ        
1155  小  塩   45    2      入門    春
オバステ      
1063  姨  捨        2      三老女    秋
オハラゴコウ    
1073  大原御幸   70    6      奥伝    春
オミナメシ     
1172  女 郎 花    50    3      入門    秋
オロチ        
2131  大  蛇    30    3       平物    不
 カ
カ モ        
1101  加  茂     40   4      入門    夏
カキツバタ      
1093  杜  若    48   2      入門    夏
カゲキヨ       
1092  景  清    65   4      奥伝    不
カゲツ        
2034  花  月    25   2      入門    春
カシワザキ      
1044  柏  崎    67    3      中奥    秋
カスガリュ      
1141  春日竜神   33    2      入門    春
カズラキ       
2073  葛  城    40    2      入門    冬
カナワ        
2114  鉄  輪    35    3      初序    秋
カネヒラ       
1022  兼  平    44    2      入門    夏
カモモノグル    
2153  加茂物狂   43    2      入門    春
カヨイコマチ     
1164  通 小 町    35    3      初奥    秋
カンタン       
1201  邯  鄲    38    4      初序    不
カンニョウキウ    
2061  咸 陽 宮    23    5      入門    秋
 キ
ギオオ       
2143  祇  王     31    3      入門    春
キヌタ       
2033    砧      70    3      奥伝    秋
キヨツネ      
1052  清  経     48    3      入門    秋
キンサツ      
2081  金  札     26    2      平物    春
 ク
ク ズ       
2015  国  栖     35    3      入門    春
クサナギ      
2041  草  薙     25    3      平物    春
クマサカ       
2022  熊  坂     38    2      入門    秋
クラマテング    
1122  鞍馬天狗    35    3      入門    春
クルマソウ      
2035  車  僧     18    2      平物    冬
クレハ       
1111  呉  服     37    3      入門    秋
クロズカ      
1094  黒  塚     40    3      入門    秋
 ケ
ゲンジクヨ     
1145  源氏供養    46    3      入門    春
ケンジョウ      
2125  絃  上     50    4      初序    秋
 コ
コウウ        
2031  項  羽     30    3      平物    秋
コウテイ       
2161  皇  帝     27    5      入門    春
コウヤモノクル    
1174  高野物狂    54    3      中序    春
コカジ        
2025  小 鍛 冶    33    3      入門    不
コゴウ        
2113  小  督     45    4      入門    秋
コソデソガ     
2024  小袖曽我    38    4      入門    夏
コチヨウ       
2093  胡  蝶     35    2      平物    春
 サ
サイギヨウ     
1104  西 行 桜     47    3      中序    春
サギ         
2085    鷺       18    4      初序    夏
サクラガワ      
1114  桜  川     55    3      初序    春
サネモリ       
1042  実  盛     60    3      中奥    秋
サンシヨウ      
2134  三  笑     25    3      入門     秋
 シ
シガ        
1071  志  賀     34     3      入門    春
シチキオチ      
2122  七 騎 落     40     6      初序    秋
ジネンコシ      
1205  自然居士     45     2      初序    不
シャクキョウ      
2065  石  橋      25    2      初序    夏
シヤリ        
2135  舎  利      27    3      平物    不
シュンカン      
1102  俊  寛      50    4      初奥    秋
シンセイタタノ    
2062  俊成忠度     30    4      平物    春
シヨウキ       
2105  鐘  馗      20    2      平物    秋
ショウクン      
2133  昭  君      45    4      中序    春
ショウジョウ     
1125  猩  々      10    2      平物    秋
ショウソン     
2152  正  尊      36    5      初序    秋
シンエイ      
2032  春  栄      50    5      入門    秋
     ス
スマゲンジ    
2045  須磨源氏     35    2      入門    春
スミタガワ     
1134  隅 田 川      60    4      奥伝    春
 セ
セイオーボ     
2051  西 王 母     22    3      平物    春
セイガンジ    
1105  誓 願 寺      60    2      初奥    春
ゼカイ       
1162  是  界       32    3      入門    不
セキテラコマチ   
1173  関寺小町           3      三老女    夏
セッショウセキ   
1202  殺 生 石      33     2      入門    秋
セツタイ      
2103  摂  待       82    7       奥伝    春
セミマル      
1124  蝉  丸       65    3      初序    秋
ゼンジソカ    
2164  禅師曽我     13     2      平物    秋
センジユ      
1023  千  手       56    3      初序    春
 ソ
ソウシアライ    
2063  草 紙 洗      50    5      初序    夏
ソトバコマチ   
1024  卒都婆小町    62    3      奥伝    不
 タ
ダイエ      
2095  大  会      22    3      平物    秋
ダイフツクヨ   
2052  大佛供養      35    5      平物    秋
タエマ       
1095  当  麻      60    3      中奥    春
タカサゴ      
1011  高  砂      45    3      入門    春
タケノユキ     
2084  竹  雪      53    4      初奥    冬
タダノリ      
1082  忠  度      46    2      入門    春
タダノヷ      
2082  忠  信      16    4      平物    冬
タツタ      
1131  竜  田      40    2     入門    秋
タニコウ     
2145  谷  行      53    6      入門    秋
タマカヅラ    
1043  玉  葛      40    2      入門    秋
タムラ      
1012  田  村      45    2      入門    春
ダンプウ     
2132  壇  風      55    6      入門    夏
 チ
チクブシマ    
1061  竹 生 島     30    3      平物    春
チヨウフクソカ   
2115  調伏曽我    26     5      入門    不
チヨウリヨウ    
2151  張  良     25     2      入門    秋
 ツ
ツチグモ      
2142  土  蜘     23     5     平物    夏
ツネマサ      
2092  経  政     27     2     平物    秋
ツルカメ      
1041  鶴  亀     10     2     平物    春
 テ
テイカ      
1123  定  家     70     2     奥伝    冬
テンコ      
1165  天  鼓     45     2     初奥    秋
 ト
トウエイ     
2162  藤  栄     35     4     入門    春
ドウシヨウシ   
1194  道 成 寺    22     3     別伝    春
トウセン      
1195  唐  船     50     4     初奥    秋
トウボク      
1183  東  北     40     2     平物    春
トオガンコシ   
1115  東岸居士    24     2     入門    春
トオル      
1045    融      45     2     入門    秋 
トクサ       
1084  木  賊     67     4     奥伝    秋
トモエ      
2112    巴      40     2     入門    春
トモナガ     
1062  朝  長     65     4     中奥   春
トリオイ      
2094  鳥  追     48     4     入門    秋
 ナ
ナニワ      
1021  難  波     35     4     入門    春
 ニ
ニシキギ     
1184  錦  木     54     3     入門    秋
ニシキド     
2075  錦  戸     31     3     入門    春
 ヌネ
ヌエ       
1072    鵺      37     2     入門    秋
 ノ
ノノミヤ      
1203  野  宮     55     2     中序   秋
ノモリ      
2055  野  守     36     2     入門    春
 ハ
ハゴロモ    
1035  羽  衣     40     3     平物    春
ハシトミ     
1133  半  蔀     30     2     入門    秋
ハシベンケイ  
2072  橋 弁 慶     20     3     平物    夏
バショウ     
1163  芭   蕉     70     2     中奥    秋
ハチノキ     
1034  鉢  木     65     3     中序    冬
ハナガタミ    
1144  花  筺     55     5     初奥    秋
ハンニョ     
1014  斑  女     48     3     初序    秋
 ヒ
ヒウン     
2121  飛  雲     22     3     平物    秋
ヒガキ     
1153  桧  垣           2    三老女    不
ヒバリヤマ   
2163  雲 雀 山     44     5     入門    春
ヒムロ     
1191  氷  室     42     3     入門    夏
ヒャクマン    
1204  百  萬     43     3     初序    春
 フヘ
フ ジ     
2013   藤       38     2     平物    春
フジダイコ   
1154  富士太鼓     35     3     初序    秋
フジト      
1085  藤  戸     50     2     初奥    春
フナハシ     
1142  船  橋     40     3     入門    春
フナベンケイ  
1025  船 弁 慶     44     4     入門    秋
 ホ
ホウカソウ    
2074  放 下 僧     35    3     入門    不
ホウシヨカワ   
2011  放 生 川     39    3     入門    秋
 マ
マキギヌ    
2144  巻  絹     39     3     入門    冬
マクラジト    
2141  枕 慈 童     20     2     平物    秋
マツオ      
2071  松  尾     34     3     入門    秋
マツカゼ    
1103  松  風     65     3      中奥    秋
マツムシ    
2064  松  虫     45     3     入門     秋
マンヂウ     
2104  満  仲     50     5     初奥    不
 ミ
ミ ワ      
1181  三  輪     40     2     初序    秋
ミイデラ     
1064  三 井 寺     55    4     中奥    秋
ミチモリ     
1152  通  盛     43     3     入門    夏
ミツヤマ     
2083  三  山     46     3     初序    春
 ム
ムツラ      
2053  六  浦     35     2     入門    夏
 メ
メカリ      
2021  和 布 刈     30     3     入門    冬
 モ
モチヅキ     
1175  望  月      40     4     初序    春
モトメヅカ    
1193  求  塚      66     3     奥伝    春
モミジガリ   
1075  紅 葉 狩     37     4     入門    秋
モリヒサ     
1192  盛  久      50     3     初序    春
 ヤ
ヤシマ      
1112  八  島     55     3     入門    春
ヤマウバ     
1151  山  姥     57     3     初奥    不
 ユ
ユギョウヤナキ 
1055  遊 行 柳     60     2     中奥    秋
ユミハチマン  
2091  弓 八 幡     36     3     入門    春
ユヤ      
1013  熊  野     60     3     初奥    春
 ヨ
ヨウキシ    
1083  楊 貴 妃     55     2     初奥    秋
ヨウチソガ   
2044  夜討曽我     40     5     入門    夏
ヨウロウ    
1051   養  老     42     3     入門    春
ヨシノシズ   
2023  吉 野 静     22     2     平物    春
ヨリマサ    
1032   頼  政     45     2     初序    夏
ヨロボシ    
2043   弱 法 師     50     2     中奥    春
 ラ
ライデン    
5165  来  殿      27     2     入門    秋
ラショウモン   
2042  羅 生 門     22     4     平物    春
 リ
ロウタイコ    
2014  篭 太 鼓     30     2     入門    春


◎あさかのユーユークラブ 謡曲研究会
 この会は、平成14年1月から郡山市駅前に建設された24階建ビックアイビルの7F和室を会場に、定例会を開いている謡会です。平成26年4月に郡山市男女共同参画センターに定例会場を移しました。宝生流謡本(五番本)の内・外順に、五曲中四曲を選び、謡う場所や、お役は、あらかじめ決めてあるほかは都度決めます。、
 この会は、能や謡曲を愛好する方なら何方でも来場歓迎です。

      謡曲研究会の開催要領(H22/1/15)
 1 日時=毎月1回  原則として第3金曜日午前10時10分開始  
 2 場所=郡山市男女共同参画センター 和室 
 3 曲目=毎月5番本(内・外)の中から男女ごとに各50分位の範囲で2曲を選定します
 4 会費=出席者1名 200円
 5 参加=参加は謡曲を愛好する方なら何方でも限定しません
 6 世話人=前回迄の方々にお願いします
 7 その他=原則として当日出席者が謡う場所と役を抽選等で決める

謡曲180番を平成25年2月末に私のホームページに載せることができました。ご高覧下さい


◎薫土謡会
 薫土謡会は、最初湯浅広平先生にお習いしてる有志が、謠の始めから終わりまで、一番を通して謡う、練習をしてみたいと言うやり方で、有志宅を会場に、毎月一回、日時と曲目を決めて練習会を昭和57年5月から開いたのが始まりです。 その後会場を久留米公民館に移したが、当時は久留米公民館の前の道路は舗装されてなく、ひきりなく通る自動車の騒音に悩まされ、十分な練習が出来ないので、現在の薫地域公民館に会場を変更し、原則として、毎月一回第一土曜日(平成14年4月より金曜日に変更)の午後二時から、素謡二番を始めから終わりまでづつけて練習しています。現在の会員数は11名で年々高齢化が進み参加者が少なくなって行くのが悩みです。 謡の曲目は年間計画によって定め、謡の役割は毎回抽選で出席者から決めております。会場の薫地域公民館開設以来のクラブ活動を続けて今年で36年間続いており、年末に納会が開かれます。

             



福島県に関係のある謡曲

宝生流の謡曲は、わんや書店発行の「名寄せ」にある180余曲の中に、福島県に関係のある場所や文章が、謡曲の中に存在しているものを調べて見ました。

    福島県に関連ある謡曲  
   曲  目        概              説                   場     所
1 錦  木 陸奥国狭布の里で錦木塚の悲恋物語 福島県伊達郡桑折町
2 黒  塚 那智東光坊の祐慶 安達ケ原に鬼折伏する 福島県二本松市
3 摂  待 源 義経奥州下る時、継信・忠信の母孫に会う 福島県福島市飯坂町
4 遊 行 柳 柳ノ精が遊行上人に西行法師の歌を語る 福島県白河市(栃木)
5 班  女 P09 白河の関路より又立ち帰る旅衣… 福島県白河市
6 難  波 P12 又は浅香山詞は山の井の… 福島県郡山市片平町
7 釆  女 P21 陸奥の忍ぶもじずり・・・P22されば浅香山 福島県郡山市片平町
8 志  賀 P11 難波津浅香山の陰見えぬ山の井の… 福島県郡山市片平町
9 花  筺 P23 陸奥のあさかの沼の花かつみ・・・ 福島県郡山市片平町
10 芦  刈 P26 安積の山は言の葉は采女の盃取りあえず・・・ 福島県郡山市片平町
11 羅 生 門 P10 陸奥安達ヶ原にあらねども… 福島県二本松市
12 大 江 山 P14 陸奥の安達ヶ原の塚にこそ… 福島県二本松市
13 小  塩 P20 陸奥の忍ぶもじずり誰故に… 福島県福島市山口
14 八  島 源平合戦八島で義経弓流し 佐藤継信戦死 香川(福島県飯坂町)
15 吉 野 静 静御前と佐藤忠信は源義経を吉野山から都へ落す 奈良(福島県飯坂町)
16 忠  信 源 義経の身代りに吉野山で佐藤忠信防戦する 奈良(福島県飯坂町)





福島県郡山市片平町の采女供養記念碑


能という言葉の意味
 能(のう)という言葉の意味についてその語原などをよくきかれます。
これについては『古語辞典』などでは@才能・能力・手腕などA技能.芸能などB田楽.猿楽などの楽劇という風に挙げています。「能もなく芸もなし」(平治物語)という使い方もあり「新座本座の田楽を合はせ老若を分かち能くらべをさせける」(太平記)という用法もみられます。能力(のうりょく)という語は現代でも、その人の才脳をはかるのにもつかうし、芸能(げいのう)という言葉も「芸能人」たどで大へん身近かに感じられます。これはもと「能芸」ともいわれ「能芸優長にして」(保元物語)などの用法があります。
 慶長九年(1604)に成立した『日葡辞書』のノウ(能)の項をひくと「技能.才能・または能力」とあり現代の辞典と同義ですが更に「また、演劇 (能をする)演劇(能)または、悲劇などをする。あるいは演ずる」とあります。能を悲劇と断じているところに、当時の能楽に対する認識のほどがうかがわれて興味があります。
 世阿弥の時代には能は「申楽」または「中楽の能」などともいわれました。江戸時代になると専ら「猿楽」で・ときに「勧進能」「饗応能」などと能という字があてられました。明治以後一般的には「能楽」(のうがく)という呼び名が固定しています。もつとも単に能とも、お能ともいわれます。  
  藤城継夫著「能謡ものしり小事典T」P8より 


能と謡
 簡単に言えば、謡本は能の台本であります。その中から、謡だけ取出してお稽古をし、演奏するわけで、これ素謡(すうたい)といっております。型もなく、囃子もなく、素の謡であります。
 能の基礎は謡といわれます。それだけ謡というものは、能の中で重要な位置をしめております。大鼓方として近来の名人といわれた川崎九淵氏が、「能は謡である」と喝破されております。能の十割が謡にあるということです。つまり、能と謡はそれほど、密接な関係にあるわけです。
 謡を稽古するには、あらゆる機会をつかまえて、能を見て頂きたいと思います。もちろん稽古しない謡の能でも、謡の精神というものはつかまえることが出来ます。
 佐藤芳彦著「宝生流謡の事典」P96より


能 面
能面「のうめん」と読むが、面とだけ書けば「おもて」と読むのが普通。様々な種類がある。面をつけない直面(ひためん)物もある。 能面は仮面劇である能を象徴する大切な道具で、「面(おもて)」とも呼ばれています。桃山時代の文献に約60種類の面の記載があり、この時期に基本的なものがほぼ出揃いました。能ではシテが面をかける(つける)役がほとんどですが、子方や現実世界の壮年の男性役には原則として面はかけません。これを「直面(ひためん)」といい、その際も面をかけている意識で演じるものとされ、表情を作ることはありません。一定の範囲でそれぞれの役柄に用いる面にきまりがあります。シテを勤める役者は演目の主題と自らが企図する演技に相応しい面を選んで舞台に臨みます。能面は写実と抽象を巧みに融合させた造形美を備え、演技の実際に即した工夫も施されていて、演者の動きにしたがって舞台において様々な表情を見せます。

翁 面  
白色尉(はくしきじょう)、肉色尉(にくしきじょう)、黒色尉(こくしきじょう)、父尉(ちちのじょう)、延命冠者(えんめいかじゃ)
  
能が大成する以前、猿楽の座が本芸として演じていた翁猿楽で用いられた仮面です。神聖な祈りの儀式に用いられたもので、現在でも御神体として祀る神社があります。いずれの面も豊かな笑いの表情を湛え、延命冠者以外の3種は老人の神を表し、切り顎や目、眉の造作に特徴があります。現在上演される「翁」では、白色尉または肉色尉をシテの翁が、黒色尉を狂言方の三番叟(さんばそう)がかけるのが通常の形で、父尉と延命冠者が用いられるのは特殊演出の場合に限られます。

女 面  
小面(こおもて)、孫次郎、増、万眉、近江女、深井、曲見(しゃくみ)、姥、老女ほか
  女面にも年齢や霊的な表現による別がありますが、男面に比べて特に個性的な造形上の表現は見られず、特定の人物の専用面が発達することもありませんでした。年齢による別では、若い女性の役に用いる小面、孫次郎、若女、増など、中年の女性の役には深井、曲見、老女の役には姥、老女などの面があります。それぞれ髪の毛書きの表現に特徴があります。小面は可憐で最も初々しい表情を示す面で、広い額、高眉、切れ長の目の黒目の部分が四角く刳りぬかれていること、笑みを含んだ口元、豊かな頬などの造作は若い女面に共通する特徴です。深井は「隅田川」で別れた子どもの行方を尋ねる母親など苦悩を秘めた中年の女性の役に用いられるもので、頬にエクボ状の皺が表現されています。姥は上品で静謐な表情を示し、「高砂」のツレの姥や「姨捨」の老女の霊の役にも用いられます。男面では盲人を表す面に施される目の部分を刳りぬく造作に大きな特徴があります。


男 面  
中将、今若、十六、敦盛、平太(へいだ)、頼政、猩々(しょうじょう)、慈童、童子、喝食(かっしき)、怪人(あやかし)、鷹、阿波男、景清、弱法師(よろぼし)、蝉丸、邯鄲男(かんたんおとこ)、俊寛ほか
  男面は老人以外の男性の相貌をあらわした面で、年齢や霊的な表現による別があるほか、特定の人物の専用面もあり、その種類は多岐にわたります。邯鄲男は「邯鄲」の主人公で人生に思い悩む青年・盧生の面ですが、「高砂」の後シテなどさっそうと舞を舞う若い神の役にも用いられます。平太は「八島」などで修羅の妄執に悩む武将の亡霊の役に用いられるものです。童子は神秘的な美しさを持つ少年の役の面で、前髪、眉や目の造作に特徴があり、多くは頬にエクボがあります。


尉 面  
小尉、阿瘤尉、朝倉尉、三光尉、笑尉、皺尉、舞尉、石王尉、大悪尉、鼻瘤悪尉、鷲瘤悪尉、茗荷悪尉、重荷悪尉、べし見悪尉ほか
  尉面は老人の相貌をあらわした面で、その種類は多岐にわたりますが、植毛を結い上げた髪、髭や歯列の造作などにそれぞれの特徴がみられます。それらのうちでも小尉は最も品格が高く、「高砂」の前シテなど神の化身である老人の役に用いられるものです。三光尉は「八島」などの修羅物で武将の亡霊の化身である前シテの漁夫、樵夫など庶民的な老人の役に用いられます。石王尉は老体の神や草木の精などのいずれも舞を舞う役に用いられ、特に目の形に特徴があります。悪尉系の諸面は、魁偉な力強さを感じさせる造形に特徴があります。


鬼神面  
小飛出、大飛出、猿飛出、小べし見、大べし見、猿べし見、熊坂、長霊べし見、黒鬚、顰(しかみ)、獅子口(ししぐち)、野干(やかん)、天神、不動ほか
  鬼神面は神の猛々しさや鬼の類の力強さを表した面で、造形的には口を開いた阿形と閉じた吽形の諸面に大別されます。小飛出は軽快に動き回る霊狐など動物の神霊の役に用いられるもので、目を大きく見開いた造作が名称の由来となっています。口を大きく引き結んだ表情の大べし見は天狗の役に用いられる面です。獅子口は「石橋」に登場する霊獣・獅子の専用面で、顔に金泥が施されています。いずれの面も眼球部分に金具がはめられているのが特徴です。


怨霊面  
痩男、蛙、痩女、霊女、鉄輪女、泥眼(でいがん)、橋姫、生成、般若(はんにゃ)、蛇(じゃ)ほか
  怨霊面は死霊や生霊を表した面です。代表的な能面である般若は、嫉妬に狂う女性の憤怒と悲しみの表情を造形化した面で、2本の角と口や眼の表現に特徴があり、「葵上」「道成寺」で後シテの鬼女の役に用いられます。泥眼は妖気を秘めた女性の相貌を示すもので、嫉妬を含んで現れる「葵上」の前シテの生霊の役や龍女の役にも用いられます。白目の部分に施した金泥が名称の由来となっています。痩男は地獄に堕ちて妄執に苦しむ死霊の面で「善知鳥」などに用いられ、生気を失って憔悴した相貌で目には金具をはめています。いずれの面も乱れた毛書きに特徴があります。

                       
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能の上演形式
江戸時代には、『翁』+五本の能を上演するのが正式であった。これを翁付き五番立と呼ぶ。どの曲をどのような順序で上演するのかも、序破急の概念を用いて決められていた。 具体的に能の曲を五種類に分けると次のようになる。

  初番目(神) 神がシテとなる。脇能とも。=序
  二番目(男) 武人がシテとなる。修羅物(しゅらもの)とも。
             ほとんどが負け戦(負修羅)である。=破の序

  三番目(女) 美人がシテとなる。鬘物(かずらもの)とも。=破の破
  四番目(狂) 狂女がシテとなる。狂女物とも。
          実際には様々なものがここに入る(雑能)。=破の急
  五番目(鬼) 鬼、天狗といった荒々しく威力のあるものがシテとなる。
          切能(きりのう)とも言う。=急

この順で演じた。 これらの能の間には狂言が挟まれるため、全体では大変な長時間を要した。現在ではこれだけ長時間の演能は難しく、能二番の間に狂言一番程度をはさむ形態の公演が多い。それでも五番立の順序は重視されている。例えば五番目物『石橋』の後に三番目物『井筒』を上演するようなことは稀である。五番立で演能する際、五番目がめでたい曲(祝言能)ではなく暗い内容の能である場合は、『高砂(たかさご)』等、神能ものの後場のみを演じ(後半部分のみ演ずることを半能という)、めでたい気分で納めるのが建て前であった。さらに略して最後の一章のみを素謡で謡ってすますこともあった。「付祝言(つけしゅうげん)」と称するこの習慣は、演能時間が短くなった今日でも見られる。

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○能の略式演奏
 半能(はんのう) 長大な曲の前場を短く省略して上演すること。
 仕舞(しまい)   舞手と地謡数名と曲中のハイライトとなる舞を上演すること。
              舞手は能装束ではなく紋付き袴を着る。また面はかけない。
              「クセ」とは能一曲のなかで地謡が中心になった部分、
              「キリ」は能の終わりの部分の名称である。

 舞囃子(まいばやし) 仕舞に囃子方が加わったもの。仕舞より長い部分を演ずることが多く、
                 舞事や働事を含むことが多い。

 素謡(すうたい) 役謡および地謡で一曲を上演すること。囃子方は伴わない。
              間狂言も省かれるのが普通。  

 連吟(れんぎん)  素謡の形式で、曲のハイライトのみを謡う。
 連調(れんちょう) 謡(一名か数名)と1種類の打楽器が数名で、能の一部分を演奏する形式。
 
一調(いっちょう) 謡一名と1種類の打楽器が一名で、能の一部分を演奏する形式。
              一調用の替えの手を打つこともある。

 一管(いっかん) 笛一名による演奏。普段の能では吹かない曲を演奏する場合もある。
 一調一管(いっちょういっかん) 笛一名と1種類の打楽器が一名による演奏。
               一調用の替えの手を打つこともある。

 素囃子(すばやし)   囃子方による演奏のみで上演すること。
 番囃子(ばんばやし) 地謡と囃子方で一曲を上演すること。能の音声部分の上演。
 居囃子(いばやし)  地謡と囃子方で曲のハイライトを上演すること。
               舞囃子からシテの舞を取った形式。



宝生能楽堂
 宝生能楽堂は、「社団法人 宝生会」が運営されている能楽堂です。東京都文京区本郷1−5−9にあり、宝生流の宗家や職分の先生方々が能を舞われる、東京水道橋の能楽堂と言われて有名です。


能楽十五徳

 不行知名所  行かずして名所を知る
 不思登座上  思わずして座上にのぼる
 不馴近武芸  なれずして武芸に近づく
 不旅得知音  旅にあつて知音をうる
 不争残戦場  いくさせずして戦場をしる
 不習慣歌道  ならわずして歌道をしる
 不望交高位  のぞまずして高位に交る
 不詠望花月  ながめずして花月をのぞむ
 不老知古事  おいずして古事を知る
 無多歴閑居  友なくして閑居をなぐさむ
 不嘱知仏道  ふれずして仏道を知る 
 不恋思美人  こいずして美人を思う
 不祷得神徳  いのらずして神徳をうる
 無薬散鬱気  くすりなくしてうつきを散ず
 不厳嗜形美  げんならずして形美をたしなむ


宝生流の歴史 @      宝生能楽堂のホームページより

奈良時代以前
 中国大陸より「散楽」が輸入され、やがて「猿楽」となる。
鎌倉時代     「座」と呼ばれる集団が形成され、寺社との結び付きを深めていく。
室町時代
 (初期)      観阿弥・世阿弥が登場。足利義満の保護を受け、能を形成。
 (中後期)    中後期:大和四座と呼ばれる外山座(とびざ、後の宝生流)・結崎座(ゆうさきざ、後の観世流)・坂戸座(さかどざ、後の金剛流)・円満井座(えんまいざ、後の金春流)が生まれ、能が大成される。
江戸時代
 (初・中期)   加賀前田藩が代々宝生をたしなみ、加賀宝生という言葉も生まれる。他に「南部宝生」、「佐渡宝生」、「会津宝生」、「久留米宝生」など各地に宝生流の盛んなところあり。
 (後期)      11代将軍家斉に特別に愛好される。
 弘化5年(1848)江戸期最大といわれる宝生勧進能が神田筋違橋御門外にて15日間張行される。
明治初期      武家階級の滅亡と同時に、能役者も扶持をはなれ苦難の時代を迎える。 その後、徳川家に従い静岡へ移住していた松本金太郎が神田猿楽町へ戻り、ささやかな宝生会の礎を築くことになる。


宝生の歴史 A
明治18年  十六世宗家宝生九郎知栄の片腕とよばれた松本金太郎が、神田猿楽町にささやかな稽古舞台をつくる。
明治19年  「温故会」と命名、発足。
明治20年  「松本稽古会」と改名、宗家も出演するようになる。
明治26年  舞台の改築を機に、「宝生会」と改名。「宝生会」の誕生。
明治45年  社団法人として登記される。
大正 2年  当時としては東京一を誇る絢爛な「宝生能楽堂」が、神田猿楽町に完成。
大正12年  関東大震災により、宝生能楽堂焼失。宗家邸宅も焼失。
大正13年  松平頼寿旧邸跡地が提供される。(現在の宝生能楽堂の地)
昭和 3年  前田候・松平伯をはじめ、安田・三輪の財閥の協力を得、この地に「宝生会館能楽堂」が完成。五流を網羅できる代表的な能楽堂として、その豪華さも語り草となる。四月一日より宗家の「翁」を皮切りに舞台披きが盛大に催される。
昭和20年  第二次世界大戦の大空襲により、またしても焼失。
昭和21年  月並能が復活し、「五雲会」が創始される。
昭和25年  1年半にわたり、全国の流友に流債を募り、宗家父子も全職分協力して、「水道橋能楽堂」と呼ばれた舞台がめでたく再建を果たす。
昭和53年  現在の宝生能楽堂が、その後の四半世紀にわたる全国流友の多大なる寄付と宗家の献身的な協力が一丸となった成果として、堂々の完成に至る。


謡曲関係リンク

宝生能楽堂   http://www.hosho.or.jp/

国立能楽堂    http://www.ntj.jac.go.jp/nou.html

金沢能楽会   http://www.geocities.co.jp/Hollywood-Miyuki/8399/

横浜能楽堂   http://www.city.yokohama.jp/me/nohgaku/

今井泰男ホームページ   http://www.nougaku.com/

塚田光太郎 其名会    http://www.noh.or.jp/

わんや書店    http://www.webslab.com/wanya/index.html

下懸宝生流ホームページ http://twn.main.jp/simoho/

京都女子大学能楽部宝生会  藤宝会

京都大学能楽部宝生会ホームページ

同志社大学能楽部宝生会の公式ページ

長崎大学能楽部

札幌宝生会   http://www.sapporo-hoshokai.com
           Email::  info@sapporo-hoshokai.com

宝生流教授嘱託会本部 
   東京都文京区本郷1-5-9 Tal 03-3814-3353
        Email kyoju-shokutakukai@mx3.alpha-web.ne.jp




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宝生流謠の曲目は謡曲名寄せをご覧下さい

Email : obara.takao@opal,plala.or.jp