宝生流謡曲 「鶴 亀」 

●あらすじ
古の中国玄宗皇帝の御代。四季の節会の事始に、百官卿相一億百余人が参内すれば、恒例とあって鶴と亀とがめでたい祝賀の舞を舞い、皇帝もまた自ら月宮殿に遊舞の楽を奏して還御なるまでを描く、大らかで清々しい能。                  
(大槻能楽堂の資料による)

●宝生流謡本       内四巻の一      脇能   (太鼓あり)
     季節=春    場所=唐土  稽古順=平物  素謡時間=10分 作者=不明
     素謡座席順  シテ=皇帝 
               ワキ=大臣     子方= 鶴・亀(謡なし)

●観能記
宝生会の夜能 能「鶴 亀(つるかめ)    
見学記録    2001/2/28  18:00〜18:37
シテ:  佐野 登、   鶴:藤井 秋雅  、亀:佐野 幹
ワキ:  宝生 欣哉   間:大藏 基誠、  後見:亀井 保雄・金井 雄資
囃子:  大鼓:大倉 三忠、 小鼓:森澤 勇司、 太鼓:徳田 宗久、 笛:一噌 仙幸
地謡:  小倉 健太郎・野月 聡・高橋 亘・東川 光夫・朝倉 俊樹・登坂 武雄・
      武田 孝史・波吉 雅之
□見学と観察のあらまし
演目は、能「鶴亀」で平日の午後6時から、という時間帯だからか、正面席=90%、中正面席=20%、ワキ正面席=5%、学生席=5人 といった感じでした。今日は、なんとなく客層を観察したり。年輩の方が多いのですが、若い人もそれなりに居ますね。謡を習ってる人たち。これは結構多そうでした。 芸術系の趣味のある女友達のグループ。芸大出てるとか。 西洋人が二人。とても楽しそうに見てました。 能楽関係の家庭の方。小学生くらいの兄弟とお母さん、子供は能が始まると謡本を渡されてました。勉強のために連れてこられてるんでしょうね。 出演者の家族。お兄ちゃん(たぶん鶴亀のどちらか)の舞台を見に来た小さな女の子(たぶん妹さんか?やっと幼稚園くらい?)が花束持って見ていたりして可愛かったです。 などなど、コンサートとは客層がだいぶ違うので、観客を観察してるだけでも楽しかったです。
□ストーリーと感想
中国の唐の玄宗皇帝が新春の節会に月宮殿へ行幸した時の話。毎年の嘉例として、鶴と亀が舞を舞い、千年万年の長寿を帝に捧げて祝い、皇帝も自ら舞楽を奏して寿ぎ、長生殿に還幸される、というストーリーです。間狂言の官人の触れで始まる狂言口開(くちあけ)形式。 で、子方が二人、鶴と亀で登場するんです。鶴の藤井秋雅君は小学校4〜5年くらい? 亀の佐野幹君は幼稚園の年長か小学校1年くらい?能の本の写真をいくつか見ると、だいたいどれも亀の方が小さい子が演じてるので、そういう決まりがあるのかな?それぞれ鬘の上に鶴や亀の冠を付けています。で、二人とも目が腫れぼったくなってるんですが、鬘帯がキッツク締めてあるから? 鶴と亀の舞は、健気で可愛かったです。相当練習したんでしょうね。綺麗に舞えてました。玄宗皇帝が舞ってる間は、笛座前あたりに座してるんですが、その時も目線がフラフラしたりしないで、偉いですね〜。最後、シテ&鶴亀が橋掛りから揚幕へ退場していくとき、三人は同じペースで歩いていくんですが、鶴の藤井秋雅君は大人のシテと同じペースで歩けるんだけど、亀の佐野幹君はさすがにまだ小さいので歩数が多くなってしまうんですよね。それでも、遅れないように一生懸命歩いて健気でした。シテの皇帝は直面(ひためん)です。佐野登さんが直面なので全然表情変えない感じがしました。
                              
(JK's Sketch Bookさんのホームページより)


●演能記  
金剛流
♪日時:2004.01.25(sun) 15:00 - NHK教育放送 ♪収録:2003.6.21 京都・金剛能楽堂
シテ(皇帝): 廣田陛一   ツレ(亀):豊嶋幸洋 ツレ(鶴):豊嶋晃嗣
ワキ(大臣)、     ワキツレ(従臣)2名    地謡 8名
アイ(官人): 茂山七五三
囃子:    笛、小鼓、大鼓、太鼓、  
 舞台中央に宮と呼ばれる作り物(台状。屋根付き。皇帝の玉座となる)。 アイが登場(狂言方の衣装だが、頭だけが唐人風の帽子でちょっと妙)、皇帝が月宮殿に行幸することになったと告げる。アイが退場すると、シテ(衣装は緑色が基調。中国の貴人が被るような帽子)がワキ、ワキツレらを従えて登場。 シテが台に上がり、腰かける。ワキらはその左手に一列に座る。 ツレが鶴(鶴を象った冠り物。面は女性らしい顔立ち。衣装は紫基調)、亀(亀を象った冠り物。面は老人っぽい顔立ち。衣装は金基調)の順に登場。ワキら右手へ座り直す。ツレら並んで舞い始める。皇帝の長寿を讃える舞い。舞い終わったツレらはシテの右手に座る。これに応えてシテが立ち上がり、唐団扇を手に舞い始める。 舞い終わるとそのシテを先頭に退場。皇帝らは長生殿へと帰っていく。


           
(古代中国関係の謡曲 18曲)
                                        
小原隆夫調べ  
 コード    曲 目     概          説        場所  季節 素謡  習順
内04巻1  鶴  亀  唐の玄宗帝新年春の節会事始め  唐国  春  10分  平物
内08巻3  楊 貴 妃  玄宗皇帝ノ愛妃ノ魂パクヲ探す      唐国  秋  55分  初奥
内12巻5  猩  々  猩々ガ親孝行ノ高風ニ福ヲ与える    唐国  秋  10分  平物
内16巻2  是  界  是界坊ノ野心比叡山ノ僧ニ打砕レル   京都  不  32分  入門
内16巻3  芭   蕉  唐ノ帝芭蕉ヲ愛シタ 芭蕉ノ精僧ニ語ル  唐国  秋  70分  中奥
内16巻5  天  鼓  帝ニ奉セシ天鼓ハ 王伯王母ガ鳴ラス   唐国  秋  45分  初奥
内19巻5  唐  船  日本子ト 迎ニ来タ唐子ノ 情ケト帰国   福岡  秋  50分  初奥
内20巻1  邯  鄲  濾生が夢 50年の栄賀も一炊の夢  唐国  不  38分  初序
外03巻1  項  羽  虞美人草ト項羽ノ物語り         唐国  秋  30分  平物
外05巻1  西 王 母  桃ノ精 御代ヲ寿ぐ             唐国  春  22分  平物
外06巻1  咸 陽 宮  秦ノ始皇帝宮殿ニ燕国ノ刺客ニ襲ワレル 唐国  秋  23分  入門
外06巻5  石  橋  大江定基ガ出家唐(連獅子の舞い) 唐国  夏  25分  初序
外10巻5  鐘  馗  鐘馗ノ悪魔退治             唐国  秋  20分  平物
外13巻3  昭  君  美女昭君ノ異国ニ亡クナリ父母ニ嘆く   唐国  春  45分  中序
外13巻4  三  笑  三賢人ノ談笑               唐国  秋  25分  入門
外14巻1  枕 慈 童  700年前周王ニ使エタ仙家ノ慈童ニ逢 唐国  秋  20分  平物
外15巻1  張  良  張良黄石公ノ沓ヲ取リ兵法ヲ学ぶ    唐国  秋  25分  入門
外16巻1  皇  帝  玄宗皇帝寵妃楊貴妃ヲ助ける     唐国  春  27分  入門


                                        (平成23年4月16日 あさかのユーユークラブ 謡曲研究会)



この謡曲は「鶴亀」が唐の国玄宗帝の新年春の節会事始めを祝い、「猩々」が゙親孝行の高風と言う者に福を与えると言う曲で素謡がそれぞれ10分間かかる180番中でいちばん短い曲の部類です。色変わりの文字の個所は小謡として結婚式等に祝謡として謡われることがある。
                                                      (小原 隆夫)


    鶴 亀          脇能(太鼓あり)  

        シテ 皇帝       季  春
        ワキ 大臣       所  唐土


シテ  「それ青陽乃春になれば 四季の節会の事始め
ワキ  「不老門にて日月の 光を天子の叡覧にて
シテ  「百官郷相に至るまで 袖をつらね踵をついで
ワキ  「その数一億百余人
シテ  「拝をすすむる万戸の声
ワキ  「一同に拝するその音は
地    「
庭の砂は金銀の 庭の砂は金銀の 玉をつらねて敷きたえの 五百重の錦や瑠璃の枢
     しゃこの行桁瑪瑙の橋 池の汀の鶴亀は 蓬莱山も余所ならず
     君の恵みぞ有り難き 君の恵みぞ有り難き

ワキ  「いかに 奏聞申し候 毎年の 嘉例の如く  鶴亀に 舞はせられ
     その後月宮殿にて舞楽を 奏せられうずるにて候」
地   「亀は万年の齢を経 鶴も千代をや 重ぬらん 千代のためしの数々に 千代のためしの数々に
     何を引かまし姫小松 緑の亀も舞ひ遊べば 丹頂の鶴も一千年の 齢を君に授けたてまつり
     庭上に参向申しければ 帝も御感のあまりにや 舞楽の秘曲はおもしろや
地   
「月宮殿の白衣の袂 月宮殿の白衣の袂の色々妙なる花の袖
      秋の時雨の紅葉の葉袖 冬は冴えゆく雪の袂を ひるがへす衣も薄紫の
     雪の上人の舞楽の声々にげいしょう羽衣の曲をなせば
     山河草木国土ゆたかに千代万代と 悦びたまへば官人駑輿丁御輿を早め
      君の齢も長生殿に 君の齢も長生殿に 還御なるこそ めでたけれ


 

このページのトップに戻る

謡曲名寄せに戻る

indexページに戻る