「労働CSR入門」-たたかう労働者の手引き書

トップへ戻る 

非常に興味深い本がありました。

NCPはガイドライン遵守の自国への奨励、ガイドライン実施への問題発生には解決を支援することになっている」と述べ、他の遵守国のNCPと共同して問題解決にあたることもありますと。・・・

「労働CSR入門」(講談社現代新書)で、著者はILOでも勤務経験のある労働法学者で現在九州大学大学院法学研究院の吾郷眞一教授です。

 労働CSRが民主化と基本的人権・労働権の進展をうながすと評価し、その実現手段を具体的な事例をケーススタディしながら説きおこしています。また同時に、労働CSRの影の部分にも大胆にメスを入れ、ある種の外交手段に利用されかねないと警鐘を鳴らしています。

多国籍企業や大企業の規制を労働者の側から考えるとどうなるのかという点で、大変示唆に富む本だと思いました。また今後の労働CSRの方向性についても積極的な発言をされています。

2007年8月刊行の最新の労働とCSRを結合させた良書であり教本です。気のついた目次は;

・労働認証機関(SAIやFLAなど)の役割と限界

・ISOの新たな動きと限界点

・労働認証の経営側からみたメリット

・ILOと労働認証機関の関係

 さらに、多国籍企業の行動を縛るといわれているOECDのガイドラインについて、その背景や文言に込められた意味合いも分析しており、またガイドラインの遵守を守らせる役割を担うナショナルコンタクトポイント(NCP)の役割についても非常に具体的です。例えば、NCPはガイドライン遵守の自国への奨励、ガイドライン実施への問題発生には解決を支援することになっている」と述べ、他の遵守国のNCPと共同して問題解決にあたることもありますと。

NCPはOECDの国際投資・多国籍企業委員会(CIME)に毎年報告することも要求されているそうです。CIMEはガイドラインの運用を監督するOECDの機関であり、ガイドラインの実効性を高める措置を取ることが期待されていると、記述しています。

そして、もちろんネスレに関する記述があります。

概略は、ネスレは環境や健康に焦点を当てた企業憲章があり、活動指針のかなりの部分を人権問題に割いている、その中の多くは労働基準であり、殆どがILOの基本宣言の書き写しであると。しかし、ネスレ日本のホームページには、健康や環境への取組の記述はあるものの、労働基本権の記述はどこにもないと鋭く指摘している。ネスレ日本はそのようなことを企業指針として対外的に誇れる立場にないと思われると、看破しています。以下の同書の原文のままです『すなわち、そこでは組合員の差別がおこなわれ、労働委員会による不当労働行為判定、裁判所(最後は2006年10月最高裁判決)による不当解雇認定が次々出されたのです。これではあまりにもおかしいと判断されたのでしょう。』


 巻末資料には、ILOの多国籍企業及び社会政策に関する原則の三者宣言まで載っている。

なお、本書は全国の書店やアマゾン(Amazon)のオンラインで即購入可です。
http://www.amazon.co.jp/%E5%8A%B4%E5%83%8DCSR%E5%85%A5%E9%96%80-%E8%AC%9B%E8%AB%87%E7%A4%BE%E7%8F%BE%E4%BB%A3%E6%96%B0%E6%9B%B8-%E5%90%BE%E9%83%B7-%E7%9C%9E%E4%B8%80/dp/4062879069

紀伊国屋やオンライン書店のBook Webでも。

http://bookweb.kinokuniya.co.jp/htm/4062879069.html

http://ping.bk1.jp/tbk.cgi/02911707

また、違う書評は、日経オンラインネット他以下でも書かれています。http://business.nikkeibp.co.jp/article/life/20070905/134041/

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2007/08/csr_4b56.html

 さらに、同志社大学の政治学研究会のブログでも「あまりのおもしろさに読み切り、興奮したまま書いています。」と紹介されている。http://www.webseiken.com/marathon/2007082143.html

 トップへ戻る