風変わりな景色




夜中に胸が苦しくなり 目がさめると

ベッドの横に 小さな男の子が立っている

私の魂は天井に貼りつき 上から

男の子と ベッドの上の

抜け殻の私を眺めている

そんな夜を何度も繰り返した

サンドイッチのパンの耳

ハンバーガーのパンのはじ

街中でも

つい ヤツにやろうと辺りを見回す

ソファでじっと帰りを待つ 犬

久し振りにナミダが ほほを伝うのを感じた  

泣けたのが はんぶん嬉しくて

事の大きさを 一瞬忘れた

心に鍵をかけていた事も つい忘れた

幾つになっても 物事きちんと受け止めず

当事者でないフリをする。

言葉はいつも 威嚇のためだけ。 

情けなくて また言葉をかさねる

本当にナミダが出たから 電話を切った

それを悟られるのが 嫌だった。

コーンスープで舌を火傷したって

涙は出るんだけど

夜中に耳を澄ますと 誰か外でささやいている

小さな明かりが見える

犬が低くうなる だから本当に誰かがいる

ささやきの内容を聞き取ろうと 耳を済ましているうち

犬も私も 眠ってしまった。