そんな毎日


 

ベルがなったから

今日は 何もないよと 扉ごしに答えたら

あなたの望むものが 何か分かるまで

もう 私を呼ばないで下さいと言われた

そんな事 私が頼んだわけじゃない

私はただ 私がここにいることを

知って欲しい それだけだった

何も出来ない自分を 決して責めてはいけないと

誰かが私に教えてくれる

でも私は少しだけ なんだか自分がつぶれそうで 

アドレスをめくり

そしてためいきをついて アドレスを上から下へなぞり

そしてためいきをついて 受話器を置く

携帯も電池切れだ

外を見ても 相変わらず風が吹いているだけ

「そんな毎日」を 沈殿させていくと

私はいつか 積もり積もった 「そんな毎日」の上に立って

もり上がったビンのふちから やっと外の世界をのぞく事が出来る

そして

ビンの中かにたまった水が あふれるように

のらりと外へと流れ落ちる

流れ落ちてあっけにとられる私がいる

その繰り返し

外を見ても 相変わらず風が吹いているだけ

でも私は 外が好きだ ビンの内側も好きだ

流れるまま 流れていけば きっと何かに

たどり着けると思って

「そんな毎日」を 沈殿させていく