雨
自分が積み上げた積み木を いったい誰が崩すのだろう はるか山並みから 低く 遠雷が聞こえた気がして 目を上げた 「早くおいで 雨。」 湿った風が 臆病な私に くすっと笑いかけ流れ去る 積み上げた積み木は いとも簡単に崩れ落ち 慌てる私は 斜めになった風景でさえ 必死に守ろうと いいわけの言葉を探している 「…それは自分の心が弱いから」と ずっと前から 繰り返しながら ここまで来た。 やがて 待ち焦がれた雨が 私の街にも 訪れる 外を激しく打つ雨音に そっとまぎれて 私は また積み木を積みはじめるのだ。
|