月 (北風の夜)




月は

家路を急ぐ私を導くかのように

金色の光で

一本道を照らし出す。

 

強い北風に吹き払われて

高い場所に輝くのは光の輪。

 

夜空はしんと深い海のよう。

 

いつか人は

あの月光の輪の中を通るのか。

この世を人が旅立つ時

またたく星にみちびかれ、月の光に包まれて。

 

今夜。

聞こえるのは風の音と私の足音。

帰り道。

月に背中を守られて。