月(春の宵)
大きなまんまるお月さん。
これはこれは、 一杯ひっかけよい気分? あんず色したお月さん。
今宵、出会えて嬉しいです。
私もこれから 一寸だけ頂こうかな。 先ほどまでの重い気持ちも とりあえず、 とりあえず、とりあえず、ね。
沈丁花の 花の香りがどこからかする。 ナマあたたかな風が 横丁を吹いていて ふらふら心が落ち着かない。
あんず色したお月さん。 笑っていないで そちらのほうへ 連れて行ってくださいな。
あなたとしばらく一緒にいたい。 見上げては、ほおっとタメイキ。春の宵。
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