いつか5月の風の中に



まぶしい緑のくさはらに焦がれ

目を閉じると

あの柔らかい風が吹いてくる。

 

切り取られた記憶のフレーム

草いきれの中に立っている。

 

いつか 帰ろう。

 

いつかあの 5月の風の中に

 

透明な空気の中に立つと

「独り」はいつも自分の手の中にある。

 

緑のくさはらでぐるりと空を見上げ

天空の存在を

この身に取り込もう。

 

誰にも気づかれないよう

そっと

深呼吸をするふりをして。