海岸線をひたすら走った。
冷たい北の海は 私達を拒むようにタイヤのすぐそばまで 波を打ちつけていた。 これ以上、来るな、来るなと言うように。
海へ突き出た、切り立った丘のうえには 白い十字架があった みな黙ってその道を歩いた。
登りきると目の下に 海鳥達が白い粉をまいたように 無数に飛び交っていた。
私はここにいて良いのか。 私の生きて来た道、そして生きてゆく道など、 ここでは 何かの証拠(あかし)になるのか。
小さな黄色い花が咲き乱れ、 ゆるい緑の丘がつづき その先に 透明な水をたたえた秘密の湖がある 夢のような場所だった。
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