はるかなる場所



夕焼けに燃える赤い山に沿った

海岸線をひたすら走った。

 

冷たい北の海は

私達を拒むようにタイヤのすぐそばまで

波を打ちつけていた。

これ以上、来るな、来るなと言うように。

 

海へ突き出た、切り立った丘のうえには

白い十字架があった

みな黙ってその道を歩いた。

 

登りきると目の下に

海鳥達が白い粉をまいたように

無数に飛び交っていた。

 

私はここにいて良いのか。

私の生きて来た道、そして生きてゆく道など、

ここでは

何かの証拠(あかし)になるのか。

 

小さな黄色い花が咲き乱れ、

ゆるい緑の丘がつづき

その先に

透明な水をたたえた秘密の湖がある

夢のような場所だった。