ベランダで頬を撫でる風
いつかの潮の香りがよみがえる
砂浜なぞって吹いてきたのか
物干しざおには 名残惜しげに麦わら帽子
セミは わが身をいとおしいと思い鳴くのかな
ざわわと震えるケヤキの樹に守られて
あの高台の窓からいつも
午後に流れるピアノの音が
透明になりつつある風にからまり
秋を迎えに行く
日に焼けた少女の見たヒマワリ畑と
茶色く乾いた髪を揺らして