寂しい水玉





夕暮れ ぽつり また降ってきた 雨

色あせたうすピンクの傘 広げれば

アスファルトに 水玉

傘の中は 雨の森の中




寂しいコトバが 私を見つけて落ちてきて

傘の上で跳ねる

そうだね、そうだよね、 

落ちる雨音に いちいち相槌うって歩けば 




いつか ざんざん降りになり

心も 傘の中も 大洪水

電信柱のむこうまでは 我慢したけれど 

もう 森は水びたしで溢れそう




いっそ頭から濡れましょう

森を抜けたら

青むらさきのアジサイと目が合ったよ




雨は小降りになっていた

夕もやが街を包み 西のほうは明るい灰色




泣かないで コトバ

雨が降ったら

またこの傘に落ちておいで