羊 雲 通 信





牛乳びんの底に座ってぼんやり上を見ている

まあるく切り取られた空の

8時の方向から 2時の方向へ

大きな鳥たちがゆうゆうと横切る

ここにも届く かすかな羽音

迷い込んだ風 そよと吹く




もしもし 底にいますか




傍らの小箱は封印中

キラキラ心さそうメロディと溢れるお話




ここから見える近頃の季節

晴れと曇りと 行きつ戻りつ安定せず

小箱のむこうの面影まで

不安に翳ってはいないかと 心 揺れてばかり




ぶ厚いガラスびんとおして差し込む光は 

萌える山々越えてきたよ と 手のひらに

柔らかく 

柔らかくて顔うずめる




羊雲よ

もう少し眠らせてください

「わたしに なにができるだろう」なんて

もう わがまま言わないから