ガラス窓から朝がやってくる 夜明け前の舟に戻りたがる私の背を 明るいほうへと 押すよ
朽ちかけた板張りの あの建物の壁には 陽だまりのにおいや 鉛筆ナイフで刻まれた言葉とともに 埃にまみれた笑顔やおしゃべりが 取り残されていたから
あちこちにスカートの裾が まあるくひるがえり 手をつないで 夢 語り合ったり でもこの溝を飛べなかった 彼女たちは誰ひとり 私のことは気に留めないから 少し さびしかったよ
目覚めの国へむかう 汽車の切符が温かい
ここに置き去りにされたのではないのだね 安心していいんだね 私は 帰るよ また来るからね
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