初冬 1 2
1
ぽろぽろと しろいばらが散る 静かな雨の明け方に
朝もやの中からやってくる新聞配達の 低いバイクの音にじっと耳を澄ましていた
彼の背中に ひらり ひとひら舞い落ちる 露にぬれたはなびらは 思いをとげて そうっと遠い旅に出る 2
手の中の貝を ぽとんと水面に落とせば ぷくぷくと 小さな泡をつぶやきにかえて しずんでゆく
水底に着いたら 連絡をください そちらのようすも 聞かせてください
時々は 夢であいましょうね